進む洋服作りの3D化…メリットは莫大なサンプル費の削減と会社に来なくて良い
アパレル業界では、3DのCADを使った洋服作りなどのデジタル化が進んでいる。5月23日放送の「L is B presents 現場DX研究所」は、ゲストにsat.合同会社の郷家ゆみ氏をお迎えし、アパレル業界のデジタル化の現状とこれからについて詳しく話を伺った。
今回のゲストの郷家ゆみ氏は、長年勤めたアパレルメーカー大手のTSIホールディングスを退社し、「sat.合同会社」を立ち上げ、3DのCADを使った洋服作りなど、アパレル商品の企画業務のDX推進を行っている。そのきっかけとなったのが、アパレル業界のデジタル化の遅れを肌で感じたからだという。
sat.合同会社・郷家ゆみ氏「私はアパレル一筋でやってきて、時代とともに移り変わるアパレルを見ながら、この後、アパレルはどうなっていくだろうなということを考えたら、必ずデジタル化が必要になってくるとなという風に感じていたんですね。例えば、自動車業界って、3DのCADを使って、バーチャルでサンプルを作って、ゴーグルをして乗ってみたり、車の色をその場でぱっと変えられる。でも洋服だけは全然なんですね。相変わらず、ペンで書いた紙をみんなでテーブルの上で検討したりしていて、何十年も前から変わっていない。これはどうなの?って思ったんです。会社の体制自体はデジタル化に伴って色々な部署ができたりしたんですけど、企画の部分は誰も手を付けてなかったんです。企画は会社の財産、根源だから、そこに手を付けて、企画の業務をデジタル化する、DXを推進するということは全然出来るんじゃないかなと思って、今はその辺りを企画職の人たちと一緒にやっています」
L is B代表・横井太輔氏「sat.合同会社さんは、企画の業務のDX推進ということですね」
郷家「そうです」
郷家氏が手掛ける業務の1つが3DのCADを使った洋服作りだ。では、3D化することでどんなメリットがあるのか?
郷家「今は3Dで洋服を作っているんですね。洋服は、作るまでにいっぱいサンプルを作るんですが、その間に着れないサンプルが何着も出来てくるんです。年間のサンプル費を計算したら莫大なお金がかかってるんですね。無駄なサンプルにかかる費用を削減することができる。さらに、試作用の生地をパタンナー(服にするための型紙を起こす人)が、ピンを打ちながら、ボディに着せてというので、会社に来ないと出来ないんです。それを持って帰ることもできないし、生地も広い所に広げてアイロンをかけたりするので、会社に来ないとできない。」
横井「物理的に必ずやらなきゃいけないことがあると…」
郷家「それが出来上がって、デザイナーの人に見せる時には、デザイナーも会社に来なきゃいけない。そこで、3D化、デジタル化したらどうなるか?全部家で出来る。さらに、海外のデザイナーとやりとりすることも出来る」
松井「興味深いお話ですね」
そして、郷家氏がもう1つデジタル化で取り組んでいることが、L is Bの現場向けのチャットサービス“direct”の導入だ。これにより大幅に労働時間の短縮につながったという。
郷家「DXというのは、働き方が変わっていかないとダメなんだと思うんですよね。何かを取り入れたことによって劇的に何かが変わるということを目指していかないとただのツールが変わっただけになってしまう。“direct”で働き方が劇的に変わりましたよね。何より時短、時間が短縮できるんですよ」
具体的にどういうことなのか?
郷家「以前は、メールをして、見てくれましたか?と内線をかけると、
横井「ありがとうございます」
松井「最後に郷家さんの今後のビジョンは?」
郷家「過去になくなった仕事っていっぱいあると思うんです。電話交換手とか代書屋とか。職業がどんどん変わっていくと思うんです。今まではデザイナーを絵を描く人、パタンナーは型紙を作る人、それから営業の人がいて、生産の人がいてというアパレル業界の形がどんどん変わっていくと思うんですね。そういう意味では、新しい職種を作って、どんどん新しくしていきたいなという風に考えてます」
「L is B presents 現場DX研究所」は毎週月曜20時~20時30分まで文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。日本最大級の音声プラットフォーム「Voicy」でもアーカイブ配信しています。
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この記事の番組情報
L is B presents 現場DX研究所
月 20:00~20:30
『温故知新』をテーマに、建設業や小売業など現場向けのビジネスチャットツール『direct』などをリリースする会社L is Bの横井が、様々な企業の代表者と対談…