経営者必見!「頑固オヤジのラーメン」で学ぶ利益創出方程式『長尾一洋 ラジオde経営塾』4月11日(月)放送
約8,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答しました。
ご相談はIT/通信業役員の方から。戦略的な稼げる組織の作り方についてのお悩みです。
長尾社長からは『利益創出方程式』の活用が提案されました。
「頑固オヤジのラーメン店」を例にとり、どんな企業にも普遍的に適用できる方程式をご紹介します!
■少数精鋭企業の役員「戦略的に”稼げる組織”を育成するには?」
ご相談者『イッコー』さんのプロフィールは以下のとおりです。
・会社役員
・IT/通信業
・会社の規模は11名
イッコーさんの会社はIT/通信業。少数精鋭体制のもと「1人あたりの粗利が高いこと」そして「社員全員が能動的に、戦略的、利益観点で動けること」を理想とし、17年継続している企業です。
そんなイッコーさんが長尾社長に聞きたいことは2つ。
・戦略的な「稼げる組織」とは、どのような組織ですか?
・その組織を育成するのに必要なことは?
長尾社長は、どのように回答したのでしょうか。
■「粗利が高い」をどう捉える?
「17年も続いているということは、勘所は掴んでいるはずですね」と話し出した長尾社長。戦略的に稼げる組織という条件では、まず”粗利が高い”ことの捉え方を考えるのが重要だと言います。
一般的に言われる”粗利が高い”は、付加価値が取れているということ。もちろんこれは良いことですが、別の観点で捉えると、粗利の高さは企業にとって必ずしも良いことでない場合もあります。
例えば開発の仕事では、通常の販売費で捉えれば、仕入れが無く粗利は大きくなります。
しかし社員の工数を原価に入れると粗利が下がることも。この場合粗利を高くするには、社員さんを安く使うということになります。
しかし少数精鋭の組織にとって、それは本当に良いことかはわかりません。粗利が下がってでも、社員さん1人1人が高給取りになる方が、継続的な利益アップにつながる場合もあると長尾社長。「稼げる組織」育成のためには、そんな観点から考える必要もあります。
■価値の掛け算で利益を増大させる『利益創出方程式』
そして、いよいよ長尾社長からの本格的なアドバイス。
「ご質問は”戦略的に稼げる人材”ではなくて、”稼げる組織”。それを育成していきたいとのことなので、『利益創出方程式』をご紹介したいと思います」。
『利益創出方程式』は各項目の掛け算し、その値が大きくなると、利益が出るという方程式。
独自性×加工錬成度×拡販可能性×顧客固定度
・独自性:オリジナリティ、ユニークさ。
・加工錬成度:付加価値を載せるため手を加える度合い。手間ひま。
・拡販可能性:拡大する販売の可能性。スケーラビリティ
・顧客固定度:お得意様。これはサスティナビリティがあるかどうか。
この方程式を活用することで、どんな会社でも利益につながると言います。
■頑固オヤジのラーメン店で考える『利益創出方程式』
利益創出方程式について、長尾社長が例に取ったのが「頑固オヤジさんのラーメン店」。この掛け算がビジネスに与える影響がわかりやすく説明されます。
【独自性】
頑固オヤジさんのラーメン店は、オリジナルレシピでとても旨いラーメンを作ります。
【加工錬成度】
何日もかけスープを煮込むので仕込みに時間がかかりますが、そのぶん旨いので高く売ることも可能です。
このように頑固オヤジさんのラーメン店は「独自性」と「加工錬成度」がとても高い店です。ところが、その2つが高いゆえに上げにくいのが「拡販可能性」です。
【拡販可能性】
オヤジさんがこだわり作りこむからこその味、オヤジさんがいるからこその店の空気感。それをチェーン店のように拡販するのは簡単ではありません。
この独自性&加工錬成度と、拡販可能性の間のジレンマが、個人商店的なビジネスから組織的なビジネスに移行するための1つのハードルとなると言います。
■ご相談者の会社で考えると…
ご相談者の会社も11名という少数精鋭の組織。1人1人がノウハウを持って付加価値が高い仕事ができ、自分たちの独自領域を持っていると考えられます。これは「加工錬成度」や「独自性」が高いということ。
しかし現状で利益率が高くても、利益全体を上げようとすれば、人を増やすなど拡販可能性を上げる必要が出てきます。増員した場合、ベテラン11人だからこその独自性や加工錬成度は、習熟の浅い人が増えることで上がりにくくなると考えられます。
■拡販可能性を上げるには「職人仕事を工業化する」
では独自性と加工錬成度が飛び抜けたビジネスで、拡販可能性を上げるにはどうすればいいのでしょうか?長尾社長によれば方法は「職人仕事を工業化する」こと。
頑固オヤジのラーメン店なら、例えばコンビニチェーンに「こだわり店のカップ麺」を出すなどの方法を取ると一気に拡販可能性が上がります。
ご相談者のようなIT業であれば、パッケージシステムやクラウドサービスにして展開するようなことがこれにあたります。
ただし注意が必要なのは、利益創出方程式は単純に各項目を上げられるものではないこと。頑固オヤジのラーメン店の美味しいラーメンも、カップ麺では味が再現できず、お客さんをがっかりさせ店の方にも影響が出る…ということも考えられます。
このようにどこか上げれば、どこか下がるのが利益創出方程式。拡販可能性アップの結果、独自性や加工錬成度が落ちていくことがあります。全体のバランスを上げ、掛け算の答えを大きくしていくというように考えるといいと長尾社長は言います。
■現代ならではの「顧客固定度」の上げ方
さらにイマドキの対応が求められるのが「顧客固定度」です。
ラーメン屋さんで言うなら、顧客固定度を上げるというのは、「いつものね!」「はいはい、いつものチャーシュー麺ですね!」という馴染みのお客さんを作ること。
しかし現代では、「いつもの」を人の記憶に頼っていては拡販可能性が落ちてしまいます。コネクティッド的なサービス、ポイント制、アプリのプッシュ通知等のデジタルの活用で、お客さんを固定していく必要があります。
■現在の強みを維持しながら、さらに成長するには…
このように利益創出方程式の各ポイントをもとに、長尾社長からご相談者へは以下のようなアドバイスがありました。
まず今在籍しているベテラン陣は独自性や加工錬成度を上げることに注力すること。
そして新しい人材を入れるときには、拡販可能性を上げる方向へ。習熟度が低くても数を稼げる仕事をする人を入れ、拡販をしながら養成をしていくのが大切ということです。
またお付き合いのできたお客さんの固定度を上げるために、継続性を作る仕掛けを。「これはIT/通信業であればお得意ですね」と長尾社長。
ご相談はIT/通信業の方からでしたが、この方程式は、どんな企業にも活用できると言います。
■イッコーさんのお悩みへの回答まとめ
・「粗利が高い」の捉え方をまず考える。
・「独自性×加工錬成度×拡販可能性×顧客固定度」の利益創出方程式を活用。
・ベテラン陣による独自性と加工錬成度アップを続ける。
・組織拡大の際は「拡販可能性」に注目。スキルが無くても数を稼げる仕事をする人を入れ、拡販しながら養成していく。
・顧客固定度はIT系の強みを生かし、デジタル活用で上げていく。
■長尾社長へのご相談を募集中!
リニューアルした『長尾一洋 ラジオde経営塾』では、パーソナリティ長尾一洋へのご相談やメッセージを募集しています。
お仕事のお悩みや、経営戦略のご相談などに長尾一洋が番組内でじっくりご回答いたします。