ウクライナ侵攻の現状、佐藤優はどう見る?今後、世界はどうなっていく?
共同通信によるとウクライナのポドリャク大統領顧問は3日、ロシアとの2回目の停戦交渉で戦闘地域から一般市民を退避させる間、双方が一時的に抗戦を停止することで合意したことを明らかにした。3月4日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)で、このニュースを受け、元外交官で作家の佐藤優氏はロシアのウクライナ侵攻の現状と今後の世界情勢について解説した。
野村邦丸アナ「佐藤さん、今の状況どう見てますか?」
佐藤「そろそろ終局面に近づいてきたと思います。今まで住民たちが外に出られなかった。住民たちが逃げてる間は停戦をするという合意ですから、その後、残るのは戦闘員。最後まで戦闘を続けるというのがウクライナ側の意思表示ですし、ロシア側も最後まで戦闘を続けるということですね」
邦丸「プーチン大統領は”すべての課題を達成しつつある”と自信を表明したとありますが、最終的にウクライナはどんな国になっていくのですか?」
佐藤「ロシア側がゼレンスキー政権に要求してるのは、ウクライナの中立化とクリミアの承認と今回の事態に対する責任者の処罰。これは事実上の降伏文書にサインしろということだから、ウクライナ側としては降りられない。今のこのままの流れで行って、ゼレンスキー大統領が応じないとなると、ウクライナは首都をキエフからリヴィウに移転してそこを拠点にした国家を作る。その後、他の地域は、いくつかに分かれると思うんです。ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国のようにいろんな国が独立宣言する可能性があります。そういうような形にしてロシアは中長期的に併合していきますね」
邦丸「世界的にロシアが孤立しているようにも見られますが…」
佐藤「ロシアが孤立してるというのは大きな間違いです。イラン、中国、インドもダブルスタンダードなんです。それから、トルコ、サウジアラビア、こういうような国とネットワークを作ってきます。世界は、アメリカを中心とする紛争は戦争という形で解決しないで国連とか話し合いで解決していこうという価値観の国々とそうではない国々に分かれていきます。そしてこれからは戦争が多発していくと思われます」
邦丸「ロシアへの制裁を強化する動きについてはいかがですか?」
佐藤「経済制裁の我慢比べはロシアが勝ちます。今回の制裁は、例えばロシアの特定の銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から外すということを言ってますけど、昔ながらのテレックスで送金できるわけですから銀行間取引を禁止してるわけではないんですね。それから最大手のガスプロムバンクを外してますので、これはガスが買えなくなるとヨーロッパの国々が困るわけですよね。ヨーロッパは腰砕けでロシアで本質的な影響を与えないんですよ」
邦丸「プーチン氏の行動を暴走、独走だと言われることもありますが…」
佐藤「暴走、独走じゃないんです。むしろ怖いのがロシア人が普通に考えていること。武力で実現しようとしていることは、プーチン氏だけじゃなくロシア全体の考えなんです。ロシア国内の反戦デモの報道を日本やアメリカが伝えていますがあれはごく一部。ロシアの知識人たちも”この戦いは断固として完遂すべきだと言っている”。国民、知識人もプーチン氏の周りに結集しています」
邦丸「この先、日本はどうすべきですか?」
佐藤「まず日米同盟が大切です。それから情報。自分の頭でよく考え多面的に情報を集める。情報を冷静に見て、とにかく、ロシア、中国、北朝鮮が日本に攻めてこないようにする。脅威としてのロシア、脅威としての中国、脅威としての北朝鮮ということを念頭に置いて、知恵を働かせて、生き残りを図らなければいけない。こういう時代に転換したということです」
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