デフレ脱却は「認識」の変化から 労使交渉と円安に見る突破口
自動車大手の労働組合は、令和4年(2022年)春闘の要求書を経営側に提出して労使交渉を開始した。2月17日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、この話題について木曜コメンテーターでストラテジストの嶋津洋樹氏と、寺島尚正アナウンサーが議論を交わした。
嶋津氏「賃金を上げて前向きな流れを生み出し、デフレ脱却を目指すべき」
ホンダ、マツダ、三菱自動車の各労働組合は、2年ぶりにベースアップ(ベア)を求めており、これは新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ業績の回復を反映している。
「長引く半導体不足などで事業環境は依然厳しく、経営側は『慎重に判断する』としています。電機大手の労働組合の要求は今日出揃う予定で、個別企業の労使交渉が本格化します。経営側の回答は3月16日に集中します」(寺島アナ)
これについて見解を求められた嶋津氏は、次のように語った。
「ポイントとなるのは原材料価格が上がってきた時に、それを誰に負担してもらうのかということです。インフレが世の中で是として、人々の認識として『(原材料)価格が上がったら物の値段も上がるよね』という世界では、商品価格や小売価格に反映させることで物の価格が上がり、『物の価格が上がるので賃金を上げてください』という前向きな循環になります。一方で従来の日本というのは、原材料価格が上がるとその分だけ『コスト削減だ』と言って、首を切ったり(解雇)賃金を下げたり、といったデフレの世界でした。ですので、デフレから脱却するには、賃金が上がると同時に物の価格を人々に負担してもらう流れを作るのが重要です」
また、嶋津氏は昨今の円安についても言及。「悪い円安と言われていますが、ベアの交渉を先導するのは自動車大手や電機大手のように円安が最もメリットのある代表的な業種ですよね。彼らの業績が良くなり賃上げを認めることは、日本全体にも前向きな動きを示すのではないかと思っています」とした。
「これがうまくいくためにはどうすれば良いですかね」との寺島アナの質問に、嶋津氏は
「究極的には景気を圧倒的に良くすることですね。人手が足りていないので賃金を上げたり、労働環境を良くするのがポイントだと思います。自動車業界は台数が作れないけれどニーズがある状況なので、前向きな動きが広がっていけば良いなと思います」と見解と期待を述べた。
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