完全燃焼―羽生結弦の北京オリンピック ~2月10日(木) 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!
北京オリンピック・第7日目、フィギュアスケート男子のフリーが行われ、アメリカのネーサン・チェンが金メダル、日本の鍵山優真が銀メダル、宇野昌磨が銅メダルを獲得した。
今大会でフィギュアスケート史上初となる、4回転半に挑戦することで注目を浴びていた、羽生結弦は4位だった。この結果を、スポーツライターはどのように受け止めているのか。「ニュースフカボリ」(午後4時41分~)では、昨年、羽生選手との共著『羽生結弦 未来をつくる』を出版した、スポーツライターの折山淑美さんに取材中の北京の会場からお話を伺った。
羽生選手の結果について、開口一番、「やっぱりショートプログラムの失敗が悔しかったですね」と
話した折山氏。「あれさえなければ、ネーサン選手と面白い闘いもできたかな」と振り返った。
羽生選手はショートプログラムで、氷の穴にハマる不運なアクシデントで4回転サルコーが1回転となってしまい、8位と出遅れた。このアクシデント、ショープログラムの演技について、どう見たのか?
―たまに(自身がつけた穴にハマることが)羽生選手はある。2019年の世界選手権の時、6分間練習で自分が飛んだところの穴にハマり、(ジャンプを)失敗していたこともある。それだけいつも
正確なコースを滑り、正確なタイミングでジャンプができるところが、羽生選手の強みでもある。そのため、今回は気を付けていて、6分間練習では別のコースを使ったが、ちょうど(本番で滑ったコースに)他の選手があけた穴があったという、本当に不運ですね。
一方、「氷の穴にハマった」と説明したことが、これまで「言い訳を一切しない」というスタンスを貫いてきた羽生選手の心境に変化があったのではと、指摘する一部報道があることについては、「心境の変化ではない」ときっぱり。「言い訳をしない」のは、怪我や自分の気持ちについてで、実際に試合であったことについては(これまでも)いつも正直に説明してくれている、と報道を否定した。
きょうのフリーの演技についてはどう感じていたのか?
―きのうの公式練習で最後に飛んだ時に右足首を痛めていた。
かなり痛そうにしていて、きょうの朝の公式練習も(曲をかけて練習をすることなく)途中であがり、治療をして出場したという感じ。そのような中でどこまでできるか心配だった。4回転半もしっかり挑戦して、いままで見た中で一番回っていた。転倒したが、本当にすごい挑戦をしてくれた。残念なのはその後の4回転サルコーで転倒したが、それもちょっと(足首に)痛みがあって、踏ん張れないような感じの転び方だった。その後は本当にミスなく、しっかり滑り続けてくれた。やっぱり羽生結弦選手だな、彼のプライドを感じた。
演技後のインタビューで、「(今後については)少し考えさせえてくれ」と言っていたという羽生選手の今後について、折山氏は「僕はもう少し続けると思う。しっかり(4回転半を)飛びたいのではないか」と羽生選手の気持ちを代弁するかのように続けた。「成功した4回転半を入れた『天と地と』(の演技=北京オリンピックのフリーで披露した演技)を見せたいという気持ちがあると思う」と。
また、目覚ましい活躍を見せた鍵山選手の成長・活躍ぶりについて話を向けられると、
「(父親がコーチということで)スケーティングの基礎が子供の頃から叩き込まれている選手」とした上で、「(基礎が出来ているからこそ、成長して筋力がついてくると)難しいジャンプに挑戦しても、短時間で自分のものにしてしまう才能の凄さがある」と評した。そして、羽生選手や宇野選手がいるからこそ伸び伸びとやれている、何も背負うものもなく、怖いものもない状態で臨めているのではないか、と自論を展開した。
選手の競技への向き合い方は様々である。本人のコンディションだけでなく、出場している他の選手、審判員、周囲の環境等に左右されることも少なくない。極限の中で自らに目標を課し、挑んでいく選手の姿は人々に感動を与える。その感動に出会える瞬間をもう少しの間楽しみたいと思う。
『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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