吉崎達彦氏「アレの正体がついに判明!?『物価とは○○』だ!」
毎日新聞の経済面によると、2021年の最終利益の合計が新型コロナウイルス感染拡大前を上回るなど、東証一部上場企業の業績回復傾向が鮮明になっているという。その一方で商品の値上げが相次いでおり、厳しい状態が続いている業界も。エコノミストの吉崎達彦氏は2月8日の「くにまるジャパン極」(文化放送)で、なかなか掴みきれない「物価」の実態についての説を紹介した。
野村邦丸アナ「2月になってから特に食品関係ですよね、これが、企業努力一所懸命しているってわかるんですよ。値上げ幅も微妙な幅になっているんですけども、いずれにしても物価上昇には一応繋がってきているという状況ですが」
吉崎氏「最近の値上がりの話で言うと、カルビーのポテトチップス。何でじゃがいもが上がっているのか。てっきり私は海外のじゃがいもの値段が上がっているのかと思ったら、なんか色々あれは違うんですね、調べてみたら。北海道のじゃがいもが値上がりしているんですって。今、マクドナルドのマックフライポテトが入って来ないって話がありますが、マックフライポテトはちょっと違ってて、あれはアメリカの独自のブランド『ラセットバーバンク』っていう特別な品種で、無茶苦茶デカいサイズのイモなんですが、それをを日本で育てると大きくなんないんだって。だから結局アメリカから買ってくるしかなくて、そうすると今、西海岸の港湾の問題があるんで、MサイズLサイズを日本で売らない。で、一方カルビーは別の問題で、気候変動のせいで品薄なんですって」
邦丸「確かに台風とかもあったし、あと暖かくなかったんですよね」
吉崎「それで1割ぐらい値段が上がるらしいんですけど、結局今年の夏の新しい北海道産のじゃがいもが潤沢に出て来ないと、問題は解決しないんですって。で、ただそうすると、ポテトチップなんて所詮は惰性で買うもんじゃないですか。内心もっと言うと後ろめたい思いをしながらつい買っちゃって、家でオリンピック観ながら口もと淋しくて開けちゃうという、罪深い食べ物ですよね、それが1割上がってたら惰性よりも理性が勝っちゃって『今日はやめとこ』って思うじゃないですか。物価がもろに売り上げに響いちゃって、今、一般消費者向けの商売というのは同じ製造業でもかなり厳しいんじゃないかと思いますね」
そして吉崎氏は今日のテーマである「物価」についての新しい考えを紹介した。
吉崎「物価とは何か?というと、たまたまなんですけど、この週末に日本における物価の第一人者である東大教授の渡辺努さんの本が出てるんですよ。そのまま『物価とは何か』というタイトルの。この本の冒頭に素晴らしい比喩が出てくるんですけど、『物価とは、蚊柱である』という」
邦丸「蚊柱?」
吉崎「真夏の海際の夕方なんかに、蚊の大群が渦巻き状になっていて、そこだけ黒くなって見えるってやつですよ。1匹1匹の蚊が、1つ1つの物価なんですって。全体として蚊柱が止まっていれば物価は安定していて、蚊柱が動いている時は物価上昇だったり、物価下落だったり。要はインフレ・デフレってことなんだと。で、1つ1つの蚊の動きを見ていても、蚊柱は見えて来ない。だから部分をトータルしたことが全体を語ることにはならないんだっていうのが、物価なんだそうです」
邦丸「今リスナーの皆さんの頭の中には『木を見て森を語らず』っていう言葉が浮かんだかと思いますが、そういうことですよね?」
吉崎「ポテトチップの話とか面白いけど、それは所詮は蚊のほんの1匹に過ぎなくて、結局全体としての蚊柱を動かしているのは何か?というと、それは消費者の金銭に対する期待感みたいなもの。そういう、モヤッとしたもので実は決まっているんだっていう話です」
物価を蚊柱に例えた斬新なこの説、貴方はどんな風に受け止められただろうか?
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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