吉崎達彦氏「絶好調のアメリカ経済に学ぶ!良いインフレ・悪いインフレって一体何?」

吉崎達彦氏「絶好調のアメリカ経済に学ぶ!良いインフレ・悪いインフレって一体何?」

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先週行われたアメリカの金融政策決定会合によって、世界中で株価が下がっている。エコノミストの吉崎達彦氏は2月1日の「くにまるジャパン極」(文化放送)にリモート出演し、この事態を詳しく説明するとともに、「良いインフレ・悪いインフレ」について解説した。

吉崎氏「先週1月27日の木曜日の朝に、アメリカのFOMC・連邦公開市場委員会が開催する金融政策決定会合があって、そこが『思いきり金融引き締めだ!』って方向に出たもんですから、株価が世界中でかなり下がって、とうとう日経平均は2万6000円台のかなり下の方まで行きました。その後、引けにかけて戻して2万7001円という、まことに微妙なところに止まったわけです」

野村邦丸アナ「取引開始の午前9時の時点では2万6000円台ですが、午前9時20分現在では2万7200円になっていますね」

吉崎「私もマーケット番組などに結構出ている人間なんで、年初から1割下げているわけですよね。そうするとみんな疲弊していまして、『もう、こんなことになっちゃってどうなっているんだ』と。1月の前半の間はみんな岸田総理の悪口を言っていたんですよ。『岸田さんはマーケットに関して理解が無い』とかね。逆に言えば『前の安倍さんと菅さんは株式市場をちゃんと見てくれた』っていう思いがあるんですけど、先週のFOMCの結果を受けた後なんて言うと『どうすりゃいいんだ!』と、今週もなかなか疲れそうな感じになっています」

一体、その原因は何なのか。吉崎氏はこう解説する。

吉崎「これはやっぱり、アメリカ経済の調子が良すぎるからなんです。先週は10月~12月期のGDPも発表されましたが、その数値が6.9%増!それで2021年通年のGDPは5.6%ですよ。アメリカは世界最大の経済大国で、GDPは年間20兆ドルぐらいですが、これが5%成長すると、それだけで1兆ドル(およそ115兆円)増えるわけです。アメリカって冗談じゃないぐらいコロナで人が亡くなっていて、直近の通算死者数がおよそ88万人ですよ。さらに感染者数はおよそ7000万人と、こんなにコロナでやられている国は無いんだけど、あんまり気にしないで経済活動をやっているもんだから、むしろ経済絶好調なんです」

邦丸「最近アメリカ経済っていうとインフレがどんどん進んでいて、いいって言う人もいれば、一般消費者の方は『また値上がりしちゃってるのよ!』と言う声もあって、どっちがいいのかな~ってよくわからなくなるんですが」

吉崎「今月号の文藝春秋でエコノミストの熊野英生さんが『良いインフレ・悪いインフレ』って言う記事を書いているんですが、熊野さんはインフレを2種類に分けています。まず『デマンドプル』っていうのは良いインフレで、『コストプッシュ』は悪いインフレと、そういう整理をしているんです。『デマンドプル』とは需要が強すぎて起きるインフレ。例えば賃金がどんどん上がってゆく。今のアメリカは多分にそうなっているんで、これは良いインフレです。逆に今日本で起きているのはどちらかというと悪いインフレ。それにしたってまだ日本の消費者物価指数って0.5%とか、あんまり大したことはないんですが、これも一応去年の4月に菅さんがやってくれた携帯料金値下げ効果分っていうのが入ってて、今年の4月になると効果が剥落し、日本も消費者物価指数が2%近くなるんじゃないか、と」

消費者物価指数が上昇すれば、家庭の消費支出は増加し、収入が増加しなければ、生活は苦しくなるから大きな問題だ。

吉崎氏は「悪いインフレ」の解決策のひとつとして「意外にみんな忘れていますけど、去年の秋に通した補正予算って結構大きな規模なんですよね。あれをもうちょっとうまく使うことによって、賃金と物価が同時に上がるような状態に持っていかなきゃいけない」と、日本政府に呼び掛けた。

「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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