『危機管理の専門家はこう見る、まん延防止等重点措置の適用拡大! 』 ~ニュースワイドSAKIDORI!

『危機管理の専門家はこう見る、まん延防止等重点措置の適用拡大! 』 ~ニュースワイドSAKIDORI!

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政府は1月25日、北海道、大阪府、福岡県など18の道府県に
まん延防止等重点措置を適用することを決めた。
重点措置の適用対象は明日から34の都道府県に拡大する。
まん延防止等重点措置の適応地域が更に拡大することを
危機管理の専門家はどのようにみているのか?
日本大学危機管理学部の福田充教授が解説した。

まず、重点措置の適用地域が拡大したことについて。
「いままでの制度のスキームやシステムを改良せず、
そのまま繰り返しているだけだと感じている。
デルタ株からオミクロン株に置き換わって来たにもかかわらず、
まん延防止等重点措置の具体的な指示の内容は変わっていない。
飲食店への時短営業などを指示するだけで、
あとは国民に不要不急の外出自粛を要請しているだけ。
これをいつまで繰り返すのか。
このワンパターンの繰り返しでは、コロナ対策は
永遠に終わらないと考えている」と考えを述べた。

「25日の朝日新聞に
『重点措置などを出して人流を制限するのは一番楽な危機管理。
住民を信頼していないと言える』というコメントを寄せたが、
楽な危機管理というのは、大きな網で大雑把に強制力を発揮して言うことを聞かせる、
という簡単な方法だ。

まん延防止等重点措置も緊急事態宣言も、
人の行動を抑制するために動物のしつけで使われるような恐怖による説得、
もしくは外部の圧力による個人の行動の統制と言える。

その結果、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が出たら、
人は仕方なく行動を抑制するようになり、出ていない場合は開放感一杯で
ハメを外してしまうようになる。これは誤ったやり方だ。

本来、新型コロナウイルスのような新感染症パンデミックの感染予防というのは、
感染者数が多いときでも少ないときでも、常に変わることなく
マスクや手洗い、ソーシャルディスタンスや黙食を行うことなのだ。
しかも外部から強制されるのではなく、個人の中に公共性を取り入れることで
個人が主体的に自主的に習慣づけられるものである。
多くの日本人はあとちょっとでそれが出来るようになってきていると思う」と述べた。

ここで斉藤キャスターが
「と言うことは、政府が国民を子ども扱いしてると言うことか?」と問うと

「そういうことだと思う。行動を規制しないと人々はその通り動けないと
政府は考えているのではないか。
国が「OFF」と言ったら自由にやっていいのだろう、
反対に「ON」と言ったら抑制すればいいんだろうと思うようになり、
まさに他人任せの危機管理を国民はやってしまっている。
いまはそういう悪いスパイラル状態に陥っている」と福田氏は答えた。

「でもその方が楽だともう人もいるかもしれない」と発言すると
福田氏は
「そういう人は多いかもしれない。しかしそれを繰り返している限り、
いまの状況は続き、出口が見えなくなってしまう」と忠告した。

さらに
「福田さんは『出口戦略を構築することが危機管理の要諦である』と言う趣旨の
発言を再三行っているが、ここで言う出口戦略とはどういうものなのか」と質問。

これに対し福田氏は
「感染者数の増減だけで社会活動や経済活動を止めるというのが
今までのやり方だったと思う。その考え方を根本から変えないといけない。
いままでのやり方を繰り返していくと、経済や文化、社会活動が死んでいってしまう。
それを避けるための「ダメージ・コントロール」という発想が必要だと思う。

先ずは、経済活動や社会活動を積極的に回していくんだということを人々に訴えかける。
その上で、今後ある程度の感染者が出ることは受け入れること。

次に感染者数が増大しても医療が崩壊しないような医療ロジスティクスの拡充を
今後も継続、もしくは拡大していくことが必要だ。
病床も医療従事者も予算や人員を増やし、社会インフラとして整備していけば
社会活動や経済活動を止めなくていい。
こうなると確かに医療コストは増えるが経済成長は持続できる。
つまり高コストだが高リターンとなるわけで、
こういう考え方に早く切り替えるべきだと思う。

いまの日本は低コストで何とかやっていこうとしているから低リターンとなっている。
以上のことを岸田政権は国民や自治体、企業と議論して、合意形成する。
これがリスクコミュニケーションで一番大事なところだ。

このような出口戦略の説明をこれまでの政権は避けてきた。
もうこれ以上避けるべきではない、逃げるべきではない」と力説した。

その上で
「現状でゼロと言っていいのが医療ロジスティクスの確保。
まったく確保されないままに第6波に突入してしまった。
先ほども述べたように、ここを社会インフラにしてしまい、
感染が収まっても減らすことなく維持していく。
予算や人員をいくら割いてもいいから維持していく。
今後も新型コロナのような強力な感染症が繰り返し発生する可能性が高いだけに、
このことは急務である」と述べた。

ここで水曜コメンテーターで作家の古谷経衡氏が
「出口戦略が上手くいっている国はどこか?」と質問。

これに対し福田氏は
「イギリスは社会・経済活動を回していき、
ある程度感染者が増えることは容認すると決断した。
そしてその責任を政権がとると言った。これは日本が見習うべきものだろう。

ただ『マスクはつけなくていい』『快食はOK』と言う点は見習うべきではない。
これをやると感染者数が跳ね上がってしまう。
日本人はマスクや黙食は続けることは出来るし、
それを続ければヨーロッパのような感染拡大は防げる」と答えた。

『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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