アナ歴40年！邦丸が様々な エピソードを語る連載企画㉞

【野村邦丸 ワタシの履歴書 ～アナウンサー歴40年記念特別連載企画～】

『第３４回　ねちっこいおねだりで「木綿のハンカチーフ」生弾き語りが実現！』

お酒大好きな太田裕美さんとのスタッフ一同食事会を終えて、
家が同じ方向だった私はタクシーで裕美さんとご一緒させて頂きました。

伺っていた番地に近づいたところで声をかけたら
「こんなとこ知らない！　初めて来た！」

呆然自失の運転手さんと私。
仕方ないので、車でその付近をゆっくり、ゆっくり回り始めました。

「この辺りですか？」
「知らない！」
「こちら側の景色は？」
「知らない！」

そして、いきなり、
「あ！　これ知ってる！　ここだったらすぐ帰れる！」
と、おっしゃったので、運転手さんも私もホッとして裕美さんを降ろし、
再び車をスタートさせたのですが…。

「お客さん、料金高くなっちゃって申し訳ないです」
「いえいえ、仕方ないです」
「でも、先ほど降りて頂いた場所、最初にお声がけした場所と同じですよ…」

そんな所も、一切合切、全部ひっくるめて「かわいらしい人」、
それが太田裕美さんという方でしたね～。

現在の番組になってから、スペシャル・ゲストとしてお越し頂いて、
スタジオでの弾き語りをお願いしたことがありました。

その時、打ち合わせから「絶対に木綿のハンカチーフだけはやんない！」って、
頑なだったんです。

たぶん、コンサート以外では、生ではやらない、
と決めていらっしゃったんだと思います。

と言うか、ラジオやテレビの生放送では、
基本的に弾き語りをやらないのが当時の方針らしく、
そこを口説いてご出演頂いたので、
なおさら「木綿」だけはやらない、
と固く心に誓っていらしたんでしょう。

でも私がねちっこく「木綿」「ハンカチ」…と
おねだりし続けたら…演ってくださったんです。
それも、フルコーラス…！

その節は本当にありがとうございました。
太田裕美さん！
甘えてばかりで、ゴメンね。

そんな熟女の皆さんとの楽しい日々にも、
終わりが近づきます。

「ごきげん！二重丸◎」は、２年半続いた番組でしたが、
最後の方になると、熟女の皆さんもビッグネームばかりになって、
番組の予算が大変なことになってきちゃったんです。

しかし、当時のプロデューサーだったＳ君が、
編成局長の「予算をカットしろ」という指令に対して激しく抵抗。

「番組のクオリティを保つためには、カットできません」
編成局長は、
「邦丸はどうなんだ？」と、私に水を向けるので、

せっかくこのスタイルが根付いているんで、
変えるのはどうなのかなって思いますけど…」と返事。

編成局長も困って、
「じゃあ、日にちを改めて、メシでも食いながら話そう」
と、言う事になりました。

局長が指定した店は、麻布辺りだったかなあ。
だだっ広い、コンクリート打ちっ放しの、
自腹だとけっこうキツいだろうなと思えるような店でした。

当日、早い時間から、局長は高そうなワインを注文していきます。
店構えにビビらされ、さらに高級ワイン攻撃。

まあ、向こうの作戦通りに進んでいる感じでしたね。
「じゃ、Ｓ、続きを始めようか」と、局長。
Ｓ君、緊張の面持ちで話を始めたのでしたが…。

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野村邦丸：1957年1月17日生まれ。川崎生まれ、日大明誠高校・日大法学部新聞学科を経て1981年茨城放送入社、
フリーを経て1991年文化放送入社。2017年定年退職、再びフリーとなる。
「くにまるジャパン極」パーソナリティ。
家族・高校野球・シカゴ（ロックバンド）、そして酒と肴をこよなく愛する。
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