東京パラ5000m銀メダルの唐澤剣也選手「世界新で今年を締めくくる」 ~12/28ニュースワイドSAKIDORI
東京パラリンピックの陸上5000m視覚障害のクラスで銀メダルを獲得した唐澤剣也(からさわ・けんや)選手が、28日、文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」内『応援!ユニバーサルスポーツ』に電話出演。12月25日にマークした世界新記録や2人の伴走者(ガイドランナー)について語った。
年の瀬にビッグニュースが舞い込んできた。唐澤は東京パラリンピックの3ヵ月前に非公認ながら世界記録を2秒ほど上回る15分9秒94をマークし、一躍、本番での金メダル候補に躍り出て、東京大会では銀メダルを獲得。その後、12月25日に横浜市の日体大健志台陸上競技場で行われた日体大記録会で、14分55秒39の世界新記録をマーク。目標としていた14分台を叩き出した。日本パラ陸上競技連盟は、今回の世界新記録について、日本ブラインドマラソン協会を通じて世界パラ陸上競技連盟に申請するとのこと。2年8ヵ月後のパリ・パラリンピックに向けて、今、唐澤は最高のスタートを切っている。
唐澤は1994年生まれ。小学4年生の時、網膜剥離で視力を失う。2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックで、視覚障害の選手が活躍したことを知り、陸上を始めると、2018年のアジア大会5000mで金メダル。翌年の世界選手権では銅メダル。東京パラリンピックでは銀メダルを獲得した。現在、前橋市にある群馬県立点字図書館に勤務している。パラリンピック初出場となった東京大会の5000mは、国立競技場のラスト1周をトップで迎え、残り150mでブラジルの選手の猛烈な追い上げによってかわされたが、思い切って攻めた上での価値ある銀メダルだった。
斉藤キャスターがレースを振り返ると、唐澤は「正直、金メダルを目標にやっていたので、銀メダルで悔しい気持ちがあるが、ガイドの方、応援してくれる方に喜んでもらい、嬉しい」と答えてくれた。
視覚障害のあるランナーにとって一心同体であるのが、一緒に走るガイド(伴走者)の存在だ。唐澤には2人の伴走者がいて、1人は中央学院大学で4年連続箱根駅伝を走った小林光二(こばやし・こうじ)さん。もう1人はインターハイ3000m障害で3位の実績がある茂木洋晃(もぎ・ひろあき)さんだ。東京パラリンピックでは、4000mの時点で、伴走者が小林から茂木に交代した。1人の伴走者と一緒に最後まで走る選手がいる一方、どんな理由で唐澤選手は2人の伴走者が必要なのかを松井アナが訊くと、唐澤は「伴走者が1人でガイドをして選手がメダルを獲った場合、その伴走者もメダルをもらえるルールはあるが、今回の東京のパラリンピックでは、とにかく勝ちに行くことを考え、戦略として2人(のガイド)にした。というのも小林さんはレース運びと位置取りが上手。最後の1000mの茂木さんはとてもスピードがあり、私のラストスパートを活かしてくれると思ったから」と教えてくれた。
12月25日に打ち立てた14分55秒39の世界新記録について、斉藤が「レース前から行けそうな雰囲気はあったのか」と尋ねると、唐澤は「12月4日の記録会でも15分3(秒台)で走っていて調子もよく、行けるのかな思った」と答え、「25日の5000mでも伴走者が2人だったのか」と斉藤が問うと、唐澤は「今回は小林さんが5000mを全部担当した。小林さんの調子が良かったというのもある」と話した。今はいろいろなパターンを試すことができる時期でもあるのだろう。斉藤が続けて「ガイド2人に違いはあるか」と振ると、唐澤は「小林さんは淡々と走る。茂木君はスピードランナーなのでガンガン攻めるタイプ」と異なるタイプのガイドが2人いて心強そうだった。そして唐澤は「今年は14分台の世界記録を目標にやってきた。(それで)今年を締めくくれるのでとても良かった」と喜びがスタジオに届いた。
唐澤は普段、群馬県立点字図書館に勤務しながら、どんな風に、1日のトレーニングの時間を確保しているのか、松井が訊くと、唐澤は「午前8時半から午後5時半まで勤務時間なので、その前後に(確保する)。付き合ってくれる伴走の方がいるから練習できる。職場の理解もあって、そうしたことがモチベーションになっている」と答えた。松井が「クタクタにならないのか」と心配すると、唐澤は「いやぁ、それが当たり前になっているので全然大丈夫です」と力強かった。
東京大会で4位だった1500mの強化、群馬県立点字図書館等については時間がいっぱいとなり訊けなかったが、電話越しに唐澤の誠実な人柄が伝わってきた。パリ・パラリンピックで金メダルを獲得するため、これからいっそう激しいトレーニングを積む唐澤に最大級のエールを送りたい。
(構成・後藤)
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