墓参りは「戦後に生まれたレジャー」〜11月29日「くにまるジャパン極」

墓参りは「戦後に生まれたレジャー」〜11月29日「くにまるジャパン極」

Share

墓参りは大昔から受け継がれてきた文化と思いきや、宗教学者で作家の島田裕巳さんによると、“戦後に生まれたレジャー”だという。11月29日「くにまるジャパン極(文化放送)」では、なぜ戦後、墓参りというレジャーが生まれたのか島田さんが分りやすく解説してくれた。

島田「墓参りは戦後生まれた文化なんです」
野村邦丸アナ「そうなんですか?じゃあ戦前はどうだったんですか?」
島田「戦前は土葬が多かったんです。土葬の場合、墓は造らないんです」
野村「えっ?」
島田「だって土葬すると、棺桶も遺体も腐ってしまって陥没しちゃうから、その上に石塔を建てることはできないでしょう」
野村「そうか、自然と一体化しちゃうわけだから、その分、土がだんだん落ちてくるわけですね」
島田「だから墓を建てるっていうのは庶民の場合にはなかったんですよ。代わりに仏壇で供養するっていうのが普通のやり方だったんです」
野村「仏壇の位牌にお祈りするのが墓参りと同じだったわけですね?」
島田「そうなんです」

野村「東京の谷中のように古くからあるお墓は?」
島田「都会の方が火葬が進んでいたので早くから造られたっていうこともあるし、あと立派な家の方や有名人のお墓は造られるようになってきたんです。でも一般人は墓を持っていませんでした」

野村「昭和23年に墓埋法っていう法律ができましたよね?」
島田「墓埋法っていうのは遺骨を墓地以外に埋葬してはならないっていう法律。そういうこともあって、みんながお墓を建てるようになっていきます」

野村「あと、戦後、墓石にもとんでもない技術発展があったそうですね?」
島田「石を切るっていう技術が戦後にできるんです。それで御影石という石が普及するようになって戦後、立派な墓ができるようになりました。また中国から墓石を輸入するようになるなどグローバル化っていうのも墓が増えていく背景にありました」

島田「それから、お墓って都心に造るとお金が大変だから、遠くに造りますよね。それで墓参りには車で行きます。モータリゼーションっていうのも戦後の文化ですよね。墓参りっていうのが親族の集まる一種のレジャーになっていきます。このように戦後的な要素が全部重なってできたのが墓参りなんです」
野村「知らなかった~」
松井佐祐里アナ「勉強になりますね~」

「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

NOW ON AIR
ページTOPへ