第98回箱根駅伝 みどころ

第98回箱根駅伝 みどころ

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駒澤大学の連覇か、青山学院大学の王座奪還か、はたまた東京国際大学の初優勝か…
史上稀に見る「戦国駅伝」の様相を呈する第98回箱根駅伝。みどころを紹介します。

目次

  1. 優勝争い
  2. シード権争い
  3. エース
  4. 初出場! 駿河台大学
  5. 個性派ランナー

みどころ1 優勝争い

史上稀に見る「戦国駅伝」。優勝争いに注目が集まりますが、一つのミスで大きく順位が変わることがあるので最後まで優勝の行方はわかりません。

有力校の中でも筆頭に挙がるのが駒澤大学。前回大会は10区で逆転劇を演じ、先頭を走った距離わずか2.1キロで優勝をもぎ取りました。
今季は躓きもありましたが、トラックシーズンは順調そのもの。キャプテンの田澤廉(3)が日本選手権10000mで2位に入ると、準エース・鈴木芽吹(2)が3位。さらに唐澤拓海(2)も関東インカレ2部5000m、10000mともに日本人トップとなるなど存在感を示してきました。
駅伝シーズン、三冠を狙って挑んだ初戦の出雲駅伝では、鈴木芽吹の故障欠場、主力選手の不調などで、結果はまさかの5位。駒澤大学ほどの戦力を有しながらも故障者が出る、あるいはミスがあると厳しい結果になることを突き付けられる、まさに「戦国駅伝」を象徴するレースになりました。
「三冠」の目標は潰え、さらに目標を「3位以内」と下方修正して挑んだ全日本大学駅伝では、8人中4人が三大駅伝初出走とフレッシュなメンバーで挑み、見事優勝。選手層の厚さを見せ、最多を更新する14度目の優勝で連覇を達成しました。この全日本に出走はならなかった唐澤も、11月の世田谷246ハーフマラソンでは3位で表彰台に上がるなど調子を上げきている様子です。
箱根連覇がかかる駒澤大学。鈴木芽吹の復帰はあるのか、エース田澤はどんな走りを見せてくれるのか、優勝候補筆頭の駒澤大学から目が離せません。

青山学院大学は王座奪還を狙います。昨シーズンは7年ぶりに無冠に終わり、今季も出雲、全日本ともに2位。しかし、このまま終わるチームではありません。
特にキャプテン・飯田貴之(4)は、全日本のアンカー8区で優勝した駒澤大学と並走しながらも最後は届かず、わずか8秒差での2位でフィニッシュ。悔し涙を流した雪辱を、箱根路で晴らします。
今季、原晋監督が挙げた3本柱は近藤幸太郎(3)、佐藤一世(2)、若林宏樹(1)。特に近藤は今季5000m、10000mともに青山学院大学記録を更新。駅伝でも出雲は1区区間賞、全日本は7区で田澤に次ぐ区間2位とチームのエースに成長してきました。箱根での走りにも注目です。

さらに、そこに割って入ろうというのが創部11年目の東京国際大学。10月の出雲駅伝では、史上初、初出場初優勝を達成。三大駅伝初優勝を果たしました。箱根駅伝2区、3区の区間記録保持者、史上最強の留学生の呼び声も高いイェゴン・ヴィンセント(3)はもちろんですが、日本人選手も負けていません。出雲3区で先頭に立ち優勝の立役者となった丹所健(3)は、全日本では本調子でないながらも6区区間新記録で区間賞を獲得するなど、今季の学生長距離界の主役の一人に。尊敬する先輩・伊藤達彦(現Honda)の背中を追い、地道に泥臭く力を付けてきた成果を箱根路で発揮します。

他にも東京オリンピック3000m障害、日本人史上初の7位入賞を果たした三浦龍司(2)を擁する順天堂大学や、27分台トリオ=中谷雄飛(4)、太田直希(4)、井川龍人(3)を擁し、スピードには絶対的な自信を持つ早稲田大学。宮下隼人(4)・松山和希(2)の2枚看板にスーパールーキー石田洸介が加入した東洋大学國學院大學にはエース藤木宏太(4)、中西大翔(3)に加え、2つの駅伝を回避し山上り対策に徹してきた殿地琢朗(4)もいます。

217.1キロのフィニッシュ・大手町に最初に飛び込むのはどのチームになるのか。今回も最後まで分からないレースになりそうです。

 

みどころ2 シード権争い

箱根駅伝は上位10校にシード権が与えられます。シードを落としたチームは予選会からの再出発を余儀なくされますが、その予選会は過酷なレースになることは言うまでもありません。また、箱根駅伝のシード校がそのまま出雲駅伝への出場権を得ることになります。シード権を獲るか否かは、翌年度のチームの明暗を握ると言っても過言ではありません。

前回大会では明治大学が11位でシード落ち。優勝候補に名前が挙がりながらも、10位東京国際大学に26秒及ばず予選会にまわることになりました。このように、優勝候補であっても一つのミスでシード権争いとなるのが箱根駅伝の怖いところです(辛うじてシード権を死守した東京国際大学が出雲駅伝で優勝を果たしたことからも、シード権の重要性がわかります)。

予選会からの出場校では明治大学のほかに、全日本で8位に入った中央大学、9位の法政大学などもシード権争いに絡んでくることが十分考えられます。
命運を分ける10位と11位の差。シード権争いにも注目です。

 

みどころ3 エース

エースの走りは、単にタイムを稼ぐだけではなく、チームに勢い、勇気をもたらします。そのエースをどこに配置するかは戦略上のキーポイントになるので、この点もみどころの一つです。

エースが多く投入されるのは「花の2区」。1区が出遅れた場合に挽回する必要がある区間であり、また距離が23.1kmと9区に並んで長く、さらに終盤には権太坂や「戸塚の壁」と言われる上り坂が待っています。走力、精神力ともにタフな選手でなければ攻略できないのが2区なのです。

その2区で前回大会、区間記録を樹立したのがイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)。今回も2区で自身の持つ区間記録に挑むことになりそうです。世界レベルの走りを箱根駅伝で見られるでしょう。
そこに挑むとみられるのは、学生長距離界のエース・田澤廉(駒澤大)。前回は2区で8人抜きを見せ、今季はトラックでも駅伝でも日本人エースとして確固たる地位を確立してきた田澤は、今回もダイナミックな走りで魅せてくれそうです。

また、近年エースを1区や3区に投入するチームも増えています。出遅れが許されないと考えるチームは1区に、また1・2区に準エース級を投入できるチームは3区で逃げ切りを図ることができるからです。東洋大・宮下隼人のようにエースが5区を任されるケースもあります。
順天堂大学のエース、オリンピアンの三浦龍司は前回1区を担いましたが、今回はどこに配置されるでしょうか。

青山学院大のエース・近藤幸太郎、1年生から三大駅伝すべてに出走してきた早稲田大・中谷雄飛、過去3度1区を走っている國學院大・藤木宏太、前回1区区間賞の法政大・鎌田航生、3区の日本人記録保持者・遠藤大地、明治大の主将・鈴木聖人、日本選手権にも出場した東海大・市村朋樹、10区区間記録保持者の創価大・嶋津雄大、前エース・池田燿平の背中を追う日体大・藤本珠輝、箱根予選会日本人トップの中央学院大・栗原啓吾……各校のエースがどこに配置されるか、またどんな走りを見せるのか。注目です。

 

みどころ4 初出場! 駿河台大学

今大会唯一の初出場校となった駿河台大学。率いるのは、かつて法政大学時代に茶髪&サングラスで「ビジュアル系ランナー」と呼ばれ、箱根を沸かせた徳本一善監督。監督として20年ぶりに箱根路に戻ってきます。

チームも個性豊かで、4年生には勤めている中学校を休職し、編入で駿河台大に入った31歳ランナー・今井隆生もいます。徳本監督が「法政の時に一泡吹かせたいなと思ってやってきたし、今回もそういうチームカラーで挑むことになる。箱根駅伝を楽しみたい」と語っていたように、本戦でどんな仕掛けをし、どんな戦いを見せるか。目が離せません。

 

みどころ5 個性派ランナー

箱根駅伝を走るのは、当然ながら学生です。メディアに取り上げられる機会は多くなりますが、普段、一般の学生と同じように授業を受け、さらに競技に打ち込んでいます。そんな学生たちの中には個性的な経歴や趣味を持つ方もちらほら。

経歴という点で異色なのが、駿河台大学の31歳教員ランナー・今井隆生。日体大時代にはトライアスロンに打ち込み、卒業後は体育教師として中学校で教鞭をとっていました。卒業後の4月からはまた教員として働くそうです。さらに、関東学生連合チームに「東京大学大学院から」選出されたのは古川大晃。博士課程1年に在籍する26歳ですが、出走となれば東大院からは初の箱根ランナーになります。

昨シーズンまでの取材だと、佐々木亮輔(神奈川大)はコンクールに入賞したほどのバイオリンの腕の持ち主だったり、法政大の清家陸、松本康汰はドラマを自主制作していたり、嶋津雄大(創価大)は小説を執筆していたり。趣味が勉強でTOEIC860点という山口賢助(早稲田大)のような選手もいます。

文化放送は毎年、出場する21チーム(20校+関東学生連合チーム)の監督とエントリー16名全員に、お話を伺うかたちで取材しています。コロナ禍の影響でリモート取材も増えていますが、この取材をもとにした選手の横顔を、中継の中でもお届けしていく予定です。


◆文化放送 箱根駅伝実況中継◆
1月2日(日)・3日(月) 7:30~14:30

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2024年1月2日(月)・3日(火) 7時30分~14時30分

その他の主な出演者

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