「まずやってみよう、それから考えよう」—創業100年を超える「本田屋」の強みは変化への柔軟性
30年を超えるコンサルタント歴の中で8000社を超える企業を見てきたNIコンサルティング代表の長尾一洋さんが、あるときは「孫子」の智恵を応用し、またあるときは「経営者としてのこれまでの経験」をもとにビジネスシーンでの課題をコンサルティングしていく番組・文化放送「孫子であきない話」(月19:30~20:00)
11月15日(月)は、島根県の本格派出雲そば『本田屋』代表、有限会社本田商店代表取締役の本田繁さんにお越しいただきました。
大正2年創業の本田商店の5代目である本田繁さん。「うちは代々、いろんなチャレンジをして変化してきた」と振り返ります。初代はそばづくりの他に、わらじを製造販売していたという記録が残っているそうです。その後も、家具を取り扱ったり、お菓子問屋をやっていたり。世の中のニーズに合わせて「商売」も変えていく。それが本田家に脈々と伝わるスピリッツです。
現在、本田屋では無添加で作られた「本格派出雲そば」がメインではありますが、やはり新しいチャレンジを8年くらい前から始めています。食の多様化を見越しての新商品は「生パスタ」!もちろんこちらも無添加です。
会社のコンセプトとして「食べておいしい 身体においしい」を掲げている本田屋。そばは血糖値の上がり方がゆっくりであることや抗酸化作用を持つルチンが多いことなど、まさに身体にやさしい健康食品。新たな商品を開発する際にも「麺の中で、そばに次いで身体にやさしいものは何か?」という視点で考えたそうです。その結果が生パスタ。パスタは、トマト系などの酸味のあるソースと一緒に食べると血糖値が上がりにくいということがわかっています。
結果的に、この生パスタは各方面から高い評価を得て、今では全国の無印良品の店舗や成城石井などのスーパーでも取り扱われる人気商品に育ちました。
開発当時は結果がどうなるかはまったくわからなかったけれど、「まずやってみよう、それから考えよう」の精神だったと笑う本田社長。無添加なのに常温でそばなら3か月、生パスタは180日間の日持ちを実現できているのも、「やってみよう」と社員が一丸となって挑戦し、さまざまな試行錯誤を重ねてようやくたどりついた成果です。お客様の声を聞きながら、成し遂げたい目標に向かって組織の形を柔軟に臨機応変に変えることができるのも「小さい組織だからこそ」の強みです。
そんな本田さんにぴったりの孫子の兵法の言葉を長尾さんがご紹介。
「兵は多きを益ありとするに非ざるなり。惟だ武進すること無く、力を併せて敵を料(はか)らば、以て人を取るに足らんのみ。」
(戦争においては、兵員が多ければ良いというものではない。兵力を過信して猛進するようなことをせず、戦力を集中させ、敵情を読んで戦えば、敵を屈服させるに充分である)
今後は、社員のみなさんがますます「胸を張れる」会社であり続けるために、観光工場をつくる計画があるそうです。お目当ての建築家さんとの話し合いも始まっているそうで、これからの「本田屋」さんの新たな展開にも注目です。
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