軽石漂着で沖縄の港は今 ~11月5日(金) 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!

軽石漂着で沖縄の港は今 ~11月5日(金) 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!

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小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火によって発生した大量の軽石が沖縄本島や奄美群島などに漂着している問題で、金子農林水産大臣は5日、被害の現状について説明(※)を行った。そこで今、沖縄の港にどのような被害が出ているのか、軽石の撤去作業は進んでいるのか、「ニュースサキドリ・前半」(午後3時42分~)で沖縄県北部農林水産振興センター所長の桃原聡氏に現地の状況について聞いた。

まず、北部農林水産振興センター管轄の辺土名(へんとな)漁港と安田(あだ)漁港の現在の軽石の撤去状況について。辺土名漁港では10月29日から撤去作業を開始、11月2日にはかなりの量の撤去を終えた。現在は港内に軽石が入って来ないようフロートを設置し、取り残した軽石の撤去作業を進めているという。

これまでに600㎥から700㎥、トラック280台分の軽石を撤去する一方、安田漁港でも(11月)3日から同様に撤去が始まり、早急な作業の完了を目指しているとした。そして、桃原所長から、実は35年前(1986年)にも同様に火山の噴火により軽石が漂着したことがあったが、今回のように大量でなかったため、それほど大きなニュースにならなかったことも伝えられた。

具体的にどのような被害が出ているのか?

― 漁船に関しては深刻で、エンジンを冷やす冷却機は海水を使っているため、(その際)軽石が入って冷却機が機能しなくなり、エンジンがオーバーヒートするといった状況が続き、海上で漂流している漁船もある。また、養殖している魚に関しては、軽石を食べたことで「大量死する、出荷出来ない」といった被害が出ている。

撤去された軽石はどこかに集められているのか?

― 現在、県有地に一時仮置きして、成分の検査をしている。12月中旬、一定の調査機関に依頼したものの結果が出たところで、処分をするか、利活用するかを決める。しっかり検査してどのような処分をするのか、計画していく。

港内の軽石の撤去が進められているものの、港外にはまだ軽石が漂流していて、エンジントラブルが起こる恐れがあるので、現時点では漁には行けない状態が続いているのだという。では、その間の漁業者への補償はどうなっているのか?

― 通常、漁業の共済があるものの、1年間の生産額をみての補償となるためまだ先のこと、それから申請、審査を受けてのこととなる。今、生活をしなければならない漁業者には厳しい状態。国頭村では、厳しい状況も鑑みて、臨時議会で、ある程度の給付を考えていると聞いている

「(漁業者は)ガソリン高で漁に行くのも大変、資源が枯渇してきて(魚も)取れなくなっている、更に軽石と3重苦。(彼らの)生活をどうやってフォローしていくのか、国が力を上げてやって上げないと、本人たちだけでは無理ですよね」と金曜コメンテーターの荻原博子さんも懸念する。

港内における軽石の撤去は災害復旧事業により、国が80%を補助、地元が20%を負担する形で進められている。しかし、港外の軽石の浮遊がいつまで続くのか?漁に出られるようになる見通しは全くたたないのが現実である。漁業者と接して、「直近の生活に必要なものを望んでいると感じる」と桃原所長は言う。

29日、街頭演説で「漁業に大きな影響が出ている。しっかりと対応する」と述べた、岸田総理大臣。先々の支援より、現状への迅速な対応=補償が望まれている。

 

※軽石が漂着した46の漁港のうち、38の漁港は漁船の出入りに支障がない状況。残りの8漁港については、災害復旧事業等を活用して、除去等の応急措置で現在対応中であり、漁船や漁業の被害については、漁業保険制度によって支援することにしたと説明。

※この記事で使用している画像は、10月31日、名護市幸喜ビーチの様子です。

旬のニュースをジャーナリスティックな視点で掘り下げる文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」は月~金 午後3時半~5時50分に放送中。

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