女子マラソン金の道下美里「支えてくれる仲間にメダルをかけたかった」~ニュースワイドSAKIDORI!

女子マラソン金の道下美里「支えてくれる仲間にメダルをかけたかった」~ニュースワイドSAKIDORI!

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東京パラリンピックの女子マラソン(視覚障害のクラス)で、金メダルを獲得した道下美里選手が、19日、文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」内『応援!ユニバーサルスポーツ』に電話出演。伴走者への感謝を語った。

2019年8月27日以来の電話出演となった道下選手。前回は、銀メダリストとして1年後の東京パラリンピックに挑む挑戦者だったが、今回は悲願を達成し、チャンピオンとしての風格が漂っていた。

5年前のリオデジャネイロ大会で、道下は銀メダルだった。金メダルの選手とは5分9秒もの差があった。ゴール後、「日差しが強くペースアップが出来なかった。悔しさも残るけど、嬉しい銀メダルです」と答えているが、そこで残った悔しさは日増しに大きくなっていく。44歳で迎える東京大会に向け、月に800キロ以上走り込み、去年は自身の持つ世界記録を2度も更新。万全の状態で国立競技場に立ち、30キロ地点でロシアパラリンピック委員会のエレーナ・パウトア選手を突き放し、勝ち切った。

松坂大輔ラスト登板直前スペシャルのため、メットライフドームにベタ付きの斉藤一美キャスターに代わり、この日は松井佐祐里キャスターが主に進行を担った。東京パラリンピック最終日(9月5日)の国立競技場は朝から雨で肌寒かったが、道下がゴールする時はドラマティックに光が差し込んだ。ゴールテープを切った時の思いを松井が訊くと、道下は「5年前の忘れ物を絶対に獲りに行くぞと思って臨んだ大会で、思い通りの走りが出来て、結果につながったので、本当に感無量、幸せいっぱいという感じでした」と振り返った。電話口からも道下の笑顔が想像できた。

そして道下の人間性が垣間見えたのが、表彰式だ。自身に金メダルをかけるよりも先に、レース前半を一緒に走った伴走者の青山由佳さんに金メダルをかけたのだ。これについて道下は、「私は一人では走れないし、支えてくれる仲間がプロフェッショナルだったからこそ、ここに辿りつけた。支えてくれる仲間にまずはと(メダルをかけたかった)」。あの光景は東京パラリンピックの、いや過去のパラリンピックの中でも指折りの名シーンではないだろうか。

視覚障害のあるランナーは、伴走者(ガイドランナー)と一緒に走る。2人が握り合うのは長さ30センチのロープで『絆』と呼ばれている。伴走者は視覚障害のあるランナーの目となって、一緒にゴールを目指す。普段からのコミュニケーションも大事なテーマとのこと。道下と話していて気持ちが温かくなってきた松井が「レースの後半を伴走した志田淳さんを含め、多くの“チーム道下”とはどんな風に信頼関係を築いてきたのか」と畳みかける。道下は「みんなでLINEやSNSでつながり、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)を徹底し、なるべく会話の中で嬉しかったこと、良かったことを言葉で伝え、常にありがとうのコミュニケーションをとっていたように思う」と教えてくれた。

さらに、道下の代名詞は笑顔だ。それについて道下は「自分が笑顔でいないと、周りも笑顔でいられなくなるのでは。常に笑顔のキャッチボールができるように自分が笑顔でいるようにするし、笑顔になれない時もあるが、その時は周りが笑顔で迎えてくれる」と、ここでもチーム道下の絆の強さが感じられた。他方、東京のコースについて松井が振ると、道下は「ものすごく舗装がきれいで、車いすの選手が走りやすいように仕上げてくれた。ブラインドの選手も走りやすく、沿道からも(応援は)自粛だったが、たくさん声が聞こえてきて、すごく走りやすかった」とか。

東京パラリンピックが終わって、しばらくゆっくりできるのかと思いきや、何と道下は今月11日のボストンマラソンを走った。東京大会前から招待されていたそうで、現地の様子について「すごく陽気な雰囲気で、コロナなのかと思うくらい、たくさんの方が沿道で声をかけてくれた。very strong!とか、oh,beautiful!とか。ゼッケンにMISATOと書いてあったので、ミサト~って呼んでくれたり・・・」。道下の笑いは止まらなかった。(レースについては、楽しむことを重視し、3時間8分14秒でゴール。女子視覚障害の部でもちろん1位!)

最後に松井が今後の目標について訊くと、道下は「今、職場で一緒に走っている方と世界大会でメダルが獲りたいな」と答えた。道下はここでも自分のことだけではなく、伴走者と一緒にメダルを獲ることを優しい語り口で強調した。道下の話を訊くと何故元気になり、強張った心がほぐれていくのか。それがわかった気がした。電話越しでこれほど温かい気持ちになるのだから、実際に道下に会って、一緒に走っているランナーたちや会話をしている人たちは、どれだけ元気になるのだろうか。道下にはこれからも周りを明るく照らす存在で、あり続けてほしいし、いつまでも、どこまでも走り続けてほしい。  

『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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