「土偶は植物をかたどった精霊の入れ物」異例のベストセラー作者が縄文時代の謎に迫る~10月1日「くにまるジャパン極」
日本の考古学で大きな謎とされる「土偶」のモチーフを独自の視点から解き明かす話題の書籍「土偶を読む」の著者、竹倉史人さんが10月1日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)に出演。注目の自説や本にも書かれていない土偶研究の最前線を解説した。
竹倉さんはこれまでの縄文時代の常識を覆す様々なデータから、土偶の意外な事実に気づいたと話した。
竹倉氏「統計データを見ると縄文時代の人口の増減と、土偶の増減は相関していないんです。土偶はこれまで出産や安産と関係があると言われていましたが、それが関係がなさそうだということが見えてくる。また私が中学生ぐらいの時は、縄文人は狩猟で生活していたと習ったんですが、ここ2~30年の研究で、縄文人は我々の想像をはるかに上回る量の植物を食べていたということが明らかになっています。こういったデータを分析した結果、土偶はどうやら植物が関係がありそうだと着想しました」
土偶のモチーフに気づいたのは、竹倉さんがかつて美術大学に通っていた異例の経歴が役にたったのだという。
竹倉氏「土偶は変な顔をしていますが、今の考古学では全部ただのデフォルメで意味がないという前提で研究しています。ところが私は美大に行った経験もあるので、どう見ても具体的なモチーフがあるに違いないと確信していました。顔がハート形の土偶も、何か植物をかたどってると思ったわけです。そしてフィールドワークの傍ら森に入ってオニグルミという木の実を拾って割って食べた時に、そこにハート形の顔があったんです。オニグルミというのは100万年ぐらい前から日本に自生してる固有種で、薄皮のえぐみもないし、飽食の時代の私が食べても感激するほど濃厚でおいしいクルミなんです。まして縄文時代の人たちからしたら、とてつもなくスペシャルなものだったでしょう」
変わった形をしている土偶の顔の部分について、竹倉さんは実は本物の顔ではないと説明した。
竹倉氏「土偶の顔は全部仮面なんです。もちろん諸説ありますが、明らかに仮面の紐が後頭部に造形されている土偶もありますし、土偶の顔は大体平面状に作られています。私が分析したところ、土偶の顔はみんな仮面で植物や貝などの食べ物を象っているらしいというのが研究の結論です」
実は来年に出版予定の「土偶を読む」の続編には土偶の用途について書く予定だというが、その一部を明かしてくれた。
竹倉氏「土偶は恐らく植物の栽培と関係があったと思われます。大きめの木の実を選抜して、自分たちで植えて育てるということが縄文時代にはもう既にあった。その時、精霊が木の実の中に入ると発根・発芽すると考えていたのでしょう。例えば人間の妊娠も植物も、縄文人は恐らく同じメカニズムだと考えていた節があり、木の実は植物の卵だと思っていました。恐らく土偶は、精霊を木の実に入れる儀礼に使ったので、あれはつまり精霊を入れる一種の容器なのでしょう」
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