中国のTPP加盟申請、その思惑は?~9月24日(金)斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!
「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」のメイン・コーナー「ニュースサキドリ」では、中国と台湾の相次ぐTPP(環太平洋経済連携協定)加盟申請を受けて、元経産官僚で、日米の通商交渉などを長らく担当してきた明星大学 経営学部教授の細川昌彦さんに電話を繋ぎ、話を聞いた。
中国はなぜこのタイミングでTPPに加盟申請したのか?
-中国の習近平国家主席は昨年の11月に、加盟を積極的に検討すると明言していたので、今回の申請は既定路線。来年シンガポールが議長国となるので今申請を出すとタイミングが良いと思ったのではないか。
中国はTPPが要求する高いハードルをクリアできるのか?
-中国は加盟交渉が始まりさえすればなんとかなると思っているのだろう。加盟交渉は加盟各国それぞれと個別に行われる。中国は魅力的な国内市場を武器に、相手国ごとに、このルールについてはこういう例外を認めて欲しい、というような駆け引きを行い、各国を抑え込むつもりではないか。ただこのような形でルールの例外を認めていくと、せっかく作ったTPPの高い水準のルールが損なわれ、TPPの意義が無くなってしまう。それを避けるためには、個別交渉に入る前に中国がルールの順守する事を前提とする必要があるのだが、既にマレーシアやシンガポールは中国の加盟を歓迎する意向を示しており、TPPの加盟11ヶ国が同じ思いを持っているとは必ずしも言えない。中国は11か国を分断すればいいと思っているのではないか。
アメリカはこの状況にどう対応するのか?TPP復帰の可能性は?
-アメリカではTPPの様な自由貿易が国内の雇用を奪っている、という考えが支配的で、TPPに対して反対意見が強い。TPPへの復帰は当分見込めないだろう。
細川さんは「習近平政権が国内制度を変えてTPPのルールを順守する覚悟があるとは到底思えない。」と、中国のTPP加盟に懸念を示している。TPPはその存在意義を失うことなく、中国を取り込むことができるのか?議長国日本の手腕が問われている。
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