吉崎達彦氏「2022年に予定されている東京証券取引所の改革で日本の株式市場はどう変わるのか?」〜8月3日「くにまるジャパン極」
東京証券取引所が運営する株式市場は、現在「市場第一部」「市場第二部」「マザーズ」「ジャスダック」の4つに区分されているが、2022年4月よりこれが新しい区分となる。この改革についてエコノミストの吉崎達彦氏が8月3日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)で詳しく解説した。
まず、なぜこういう改革をしなければいけないのだろうか?
吉崎氏「一部上場企業っていうのは一種のステイタスですが、東証一部は今年の1月時点で2000社以上もあって多すぎるんですよね。つまり会員のほとんどがゴールドカードというカード会社みたいなもので、企業の側に立って作ってきたもんだから、投資家目線じゃないんですよ。特に外国人投資家から見たら日本株をちょこっと買いたいんだけど何買えばいいの?一部が2000社以上あるといわれると、そこでぶっ飛んじゃうわけです。」
この状態を改善するために、今回の改革が必要となったという。
吉崎氏「従来の東証1部の中でも流動性の高い大型企業向けの市場を『プライム』に、現在曖昧になっている新興企業向け株式市場のマザーズとジャスダックを『グロース』に統合、中間を『スタンダード』にするというのが今度の改革の狙い。」
しかし、実際に一部上場に相当する「プライム」に移行する基準を、およそ30%にあたる664社が満たしていないという。これについて吉崎氏は…
吉崎氏「基準を満たしていない中で一番大きいのが『ゆうちょ銀行』なんです。何で資格を満たさないかというと、時価総額はめちゃくちゃでかいんだけど、ほとんど株を持っているのが日本政府なので、流動株がすごく少ないんです。それだと投資家が全然売買してないってことになるので、投資家目線で考えると『こんな株、プライムじゃないじゃん』。ところが、日本郵政はゆくゆくは持ち株を売りたいのでプライムにしなきゃいけない。ということで、基準を満たすためには相当苦しいことになりそう。」と予想する。
また、これとは逆の動きもあることを吉崎氏は語った。
吉崎氏「今までジャスダックやマザーズにいたけども、新しい基準で堂々プライムになる会社ってのも出てくるわけですよね。みんなが知ってる会社でいうと『日本マクドナルド』や『メルカリ』など。これから多分再編が起きて『東証のプライム』というと外国人投資家に見せて恥ずかしくない、そういう銘柄を中心に再編したいっていう考え方ですよね。」
投資家目線に市場が変わっていくことは大きな意義があると吉崎氏は評価するが、来年4月の再編を前に、「プライム」への生き残りを強いられる上場企業は、これから大きな正念場を迎えそうだ。
<参考ニュース>
東京証券取引所は2日、1部上場2191社のうち取締役全体に占める独立社外取締役の割合が3分の1以上に達する企業が72・8%だったと正式発表した。前年に比べ14・1ポイント増えた。経営の監督機能向上のため、東証が来年4月の市場再編で最上位に据える「プライム市場」で上場企業に求める基準で、3割弱の未達企業は早急な統治体制拡充が課題となる。東証は独立社外取に関し、6月に改定した上場企業の行動指針「コーポレートガバナンス・コード」で、1部に相当するプライム市場の企業には3分の1以上、プライムに準じる「スタンダード市場」は2人以上の選任をそれぞれ求めている。
(共同通信ニュースより)
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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