
「南海トラフ地震」に関する気象研究所の取り組みとは?気象研究所・中本能久所長に聞く
毎週日曜朝5時5分からお送りしている「防災アワー」
防災をもっと身近にもっとわかりやすく生活目線でお届けしている番組です。
今週も気象研究所の中本能久(なかもと・よしひさ)所長へのインタビューをお送りしました。
第3回は「南海トラフ地震」に関する気象研究所の取り組みについてお話いただきました。
南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくない、30年以内に80%の確率で発生すると言われています。
「南海トラフ地震」とは駿河湾~日向灘沖にかけての広いプレート境界を震源域として、概ね100年~150年間隔で繰り返し発生している大規模な地震。南海トラフ巨大地震が発生すると、最大の被害想定では、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、関東から九州にかけての太平洋沿岸の広い地域で10mを超える大津波の襲来が想定されています。
(気象庁HPより)
中本所長によりますと「南海トラフ地震そのものは周期的に起こるとはいえ、メカニズムがまだ詳細にわかっているわけではない」とのことです。
地震には非常に大きな揺れを伴って断層や境界が破壊されるものもあるが、それとは違い「揺れを感じないもの」もある。それは「ゆっくりすべり」「スロースリップ」などと言われていて、非常に長い時間をかけてすべっているが、これが南海トラフ巨大地震と関連があるのではないかと言われている。気象研究所では、南海トラフ地震のメカニズムを考えていく上で、その「ゆっくりすべり」を詳細に把握する研究をおこなっているということです。
具体的には例えば海底に敷設されている「光ファイバー」を使って、地震活動を把握する研究をされているとか。
また、南海トラフ地震に限らず「緊急地震速報」の精度を上げていく研究も進めているそうです。
気象研究所に伺ってインタビューをさせていただきましたが、気象庁の敷地内にある「フェーズドアレイレーダー」を、気象研究所の屋上から見せていただきました。
中本所長によりますと、もともとイージス艦などミサイル防衛のために使われていた技術で、気象に応用する研究が2000年代からアメリカで、2010年代から日本でも進められたもので、3次元の立体構造をすぐに捉えることができるとか。
10秒~30秒の超高速スキャンが可能な新型のレーダーで、局地的大雨・竜巻等の突風など、短時間で急速に発生・発達する現象を詳細に観測することができるそうです。
詳しくは「防災アワー」radikoでもぜひお聞きください。
気象予報士 防災士 都庁・気象庁担当記者 伊藤佳子
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