「能登半島地震から1年」七尾市・和倉温泉は一歩ずつ前進するも課題は多く…
毎週日曜朝5時5分からお送りしている「防災アワー」
防災をもっと身近にもっとわかりやすく生活目線でお送りしている番組です。
きょうの「防災アワー」は「能登半島地震から1年」七尾市の様子をお伝えしました。
およぞ1年ぶりに訪れた七尾市。
和倉温泉は公費解体中の所もありましたが、大きな10階建て以上の旅館の建物にヒビが入って傾いていたり、塀がくずれたまま、地面が盛り上がってガタガタという所もありました。
和倉温泉旅館協同組合・宮西事務局長は
「1年あっという間だった。1日1日が復旧復興の流れの中で毎日疾走していた。復旧は正直なかなか進んでいない状況。大きな旅館がたくさんあって、建物が傾き、護岸が壊れ、インフラも甚大な被害を受けた。
外的要因として「護岸の復旧」公的な護岸と旅館が持っている民有の護岸がある。公的な護岸は国が直し、民有の護岸も国の支援を受けるが手続きも必要。相当に時間がかかる。護岸が先か、旅館の建て替えが先か計画が立てにくかった。そして「公費解体」旅館の建物が大きく特殊で、公費解体も難航、なかなか進まない。
内的要因として「資金」コロナで3年半ダメージを受けた。さあこれからというところで地震。金融機関の融資(借入)と資金繰りの計画もなかなか難しい」と。
そういう中、今年は21軒中9軒が営業予定です。
宮西事務局長は「まだ復旧道半ばだが、一歩ずつ前進している。ぜひ来ていただき、楽しんでいただきたい。営業を再開できない旅館もある、心を寄せていただきたい。必ず復活させます」と。
また、1年前にも取材させていただいた「ホテル海望」の倉本三賀(くらもと・みか)さんは
「今悩ましいのは雇用の維持、従業員の仕事をどう捻出するか。雇用調整助成金は1年間延長したが、その次の年はどうなるかわからない」と話していました。
また老舗旅館「加賀谷」は現在休業が続いていますが、2026年の冬、今の場所から500m離れたところに新館を建設する計画を示しました。
設計は隈研吾さん、客室数はこれまでの4分の1のおよそ50室、全室温泉を引く予定だそうです。
取材に伺うと「おもてなしの真髄は守りつつ今のニーズにあった新しい加賀屋をつくる。加賀屋だけが再生すればいいわけではない。まちづくり、和倉温泉全体で、もっと言えば能登全体でやっていかなくてはならない」と話してくれました。
一方、七尾市の一本杉通り商店街に行きますと、1年前には大きく傾いていた建物などはかなり更地になっていました。
一本杉通り振興会会長・高澤ろうそくの高澤久代表は
「あっという間、とにかく大変だった。断水が長く続いたので生活や会社の再建に毎日取り組んできた。まだまだ元通りにはならない。観光客は本当に少ない。温泉が再開できないと…和倉温泉が観光のメイン。そこがお客様を受け入れ始めると我々周辺もお客様をむかえられるんじゃないかと…。」
和倉温泉の護岸工事には2年、旅館の完全復活には3年以上かかるとみられています。
「防災アワー」では、能登の様子をできるだけ頻繁にお伝えしてまいります。
気象予報士 防災士 都庁・気象庁担当記者 伊藤佳子