【101回箱根駅伝】帝京大学・中野孝行監督「いい人材を発掘してくれることが箱根駅伝の価値」~復路終了インタビュー~

【101回箱根駅伝】帝京大学・中野孝行監督「いい人材を発掘してくれることが箱根駅伝の価値」~復路終了インタビュー~

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――白熱したシード権争いでしたが、いかがでしたか?
「10区の小林咲冴(1年)には出走前に『スピードはあるから最後でいい』と伝えていましたが、このステージで8~11位争いの四つ巴という緊迫する中で、仮に11番目になってしまったとしてもいい経験できたことは人生の教訓にもなったのではないかと思います。順天堂の選手もこのままではないと思いますし、学生スポーツでは成功している人よりも、失敗している人の方が多いです。失敗がたまたま箱根駅伝であり、逆に『絶対に勝ってやる』という気持ちを芽生えさせたのかもしれないので、争った4人は本当によく頑張ったと思います。今回の10区は小林と、2年生が2人(順天堂・古川達也、東洋・薄根大河)で、3年生が1人(東京国際・大村良紀)でしたが、彼らもあのような経験はなかなかできないと思います。あのような場面にいれることはすごい幸せだと思います。俳優の和田正人から、メールで”盛り上げていますね”と連絡がきました。冗談じゃないよと、思いつつ、”台本があったら楽なのにな”と返信しましたが、いや、台本はないからスポーツはいいなと思いましたし、本当に一期一会で、彼ら4人は最高のレースをしたと称賛したいなと思います。ただ単に勝ってるだけではなく、失敗した時の方が学び、 反省し、成長します。順天堂大学の選手(古川達也・2年)も今後存在が怖いですし、個人的にも注目したいと思っています。」

――10位という結果は中野監督の計算どおりでしたか?
「往路は14位。8位の立教大学を意識しつつ一斉スタート組が後ろから33秒差で迫ってくることを踏まえると、一斉スタート組と一緒に前を行って欲しいと考えていました。仮に抜かれたとしても、負けなければよいと考えていましたし、一斉スタートにならなかったことで気を楽に持てましたし、想定どおりに8~14位の争いを力で手繰り寄せることができました。4年生が2、7、8、9区で出走しましたが、ポイントのところでしっかり走り切ってくれました。学生スポーツの力は3年間分の年輪を重ねた4年生がしっかりやることでいいものができるはずで、箱根駅伝もそういったものであって欲しい。101回目の継走はまさにそういったことで、102、103回目といい人材を発掘してくれることが、スポーツ大会だけではない人づくりという箱根駅伝の価値だと思います」

――4年生が繋いできた襷を最後の10区は1年生に任せる判断をした
「力があったから起用しました。私は1年生を過去十何回前に1回だけ起用したことはありますが(85回大会、渡辺克則)、その時は6つ順位を下げてしまいました。そのことが頭をよぎったものの、間違いなく力をつけてきて、逆に私が自信を持てるような選手に彼がなってくれました。また、区間配置として今回はバント主義として6~8区で繋ぎ、9区で広げ、10区でダメ押しするような思い描きをしていましたが、それ以上の結果を残すことができました」

ーー廣田陸(2年)を6区に起用した理由は
「本当は6区を走る選手をもう1人準備していて、 悪くはなかったものの、6区で競う展開が欲しかった。準備していた彼の場合は6区以外でも、5区でも平地でもいけるので、ワイルドカードみたいにどの区間でも起用できる選手。往路の結果が14位であったこともあり、戦略上反撃として9区でシード権をこじ開けるため、6~8でコツコツと前の8番手集団を詰めていくための第一章として6区に廣田を起用しました」

ーー2区を走りたいという選手が増えていることについて
「私が求めるのではなく、学生たちが求めてくれたらそれに合わせたいと思っています。 今回も目標を決めてもらいましたが、そのためには”これが必要だよね”ということや、”まだ早いよね”ということを話しながら進めていきたい。もちろん2区を走りたいという選手はもっと増えてほしいですし、2区を走れるということは5区も走れることに繋がるので、2区を希望することは嬉しいなと思います。そういった選手はやれると思いますし、やらせたいと思います」

ーー今回の目標と結果のギャップについて
「今回の学生の目標は過去最高順位という3位で、結局優勝は目指していない格好です。簡単ではないと言い、覚悟しなさいという意味で、練習や夏合宿はガンガン取り組ませ、彼らは耐えました。 箱根駅伝1週間前も結構いい感触があり、本当にいい状態で、帝京の中ではいい状態だなとはちょっと思いましたが、結果的に優勝を目指しているチーム、三冠を狙うチームが3位でしたね」

ーー4年生はどのような学年ですか
「高校3年生の時、インターハイがコロナでなかった世代であり、入学した時に全日本も箱根駅伝の予選会を経験していません。”出られるのは当たり前なんだ、予選会は出なくても出られるんだ”と思っていた選手がほとんどで、シード権を取れなくなり、全日本では予選落ちも経験し、箱根駅伝もシード権を落としたりもしました。いいところもあり、悪いところもある。と均し、何が将来幸せになるかということ、例えば、いいところしか経験してないのと、悪いところしか経験してない、その差は全然違うと思います。社会に出た時に、彼らはそれを経験として役立たせてもらいたいです」

ーー和田正人さんからメールが来たのはレース中?
「はい。メッセージだけ見て、終わってから返信しました。彼は教え子(実業団の時の選手とコーチ)で、演技指導したのも私だから(笑)」

ーー今年度、3年ぶりに三大駅伝に出場しましたが
「なんとも言えないですね。あくまでも最終目的は箱根駅伝。なので、箱根駅伝を目標に出雲も全日本も戦っていこうかなと思います。ただ、全日本はシード権があるので、何が何でもシード権を取って行きたいと思います」

ーー来年はシード権を取って三大駅伝全てに出場できますが、目標はありますか?
「こういう時って危ない。安心して出場できるという権利がありますが、逆に予選落ちするかもわからない方が緊張感があって強くなりそうな気も。また鍛え直します」

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