【101回箱根駅伝】青山学院大学・原晋監督 「チーム青山、勝ちました」~復路終了インタビュー~

【101回箱根駅伝】青山学院大学・原晋監督 「チーム青山、勝ちました」~復路終了インタビュー~

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――久しぶりの連覇ですね
「逆の発想でいえば本当は4連覇(91〜94回大会)したあとも5連覇、6連覇できたはずです。 正直そこまで欲はないんですよ、実は。大体勝ったら負けが続くので、年度初めに気を引き締めて臨みました。だから今年は勝てる布陣です。今年勝てなかったら原メソッドそのものを根から変えていかないと、これからの箱根駅伝は戦えないと思っていました。 それがこうした結果になったんで、基本的に箱根駅伝を戦うメソッドというものをある程度確立できてたなと思います」

――勝つべき時に勝てた要因は何ですか?
「勝っているときに負けたケースがもう3回あったので、5連覇目(2019年)なんか絶対勝たなきゃいけないタイミングだったんですよ。 それで負けていることが3回もあるので、勝ってるけど、取りこぼしなく勝った8回目なんですよね。悪口言うつもりはないですけども、勝てるチームたくさんあるはずなんですよ。確実に勝てる時に勝つということの難しさであるとともに、それが自信につながる。チームの力に変わってくる。今年は勝てる布陣だったので、そこを取りこぼすことなく勝ったということが、やはり青山学院大学の時代になっているのがかなり世の中に広まってくると思います」

――青山学院大学の各選手はアディダスのシューズを履いている選手が多かったですが
「青山学院大学はアディダスにスポンサードしていただいているので、優先的にウェア着用やシューズを履くことにはなっていますが、シューズは機能が良いから履いています。一時期はナイキ一強時代でしたが、アディダスのシューズも機能性が数段も上がり、自分のパフォーマンスを向上させるために機能の良いシューズを履くのであって忖度で履いてはいないです」

――大作戦の総括をお願いします。
「言うことないです。皆さんにも会えたわけですから。優勝しないとこんな風に皆さん来てくれません。勝つことで多くの出会いが待っていると。新しい出会いをこれからも。変な意味じゃないですからね。色々な出会いがこれからも待っているものだと思いますよ」

――8回の胴上げはいかがでしたか?8回目はちょっと上がっていませんでしたが…。
「奥さんと比較して、私はまだ太いんだなと思います。気分的には天高く上がってるんだけど、もう6回目ぐらいからそろそろやめようという雰囲気がありました。でも一応8回上げていただきました」

――どんな気分でしたか?
「最高ですよ。大手町でゴールさせてもらって、そして学生に胴上げしてもらえるなんて。 私も3月で58歳になりますけども、こんな58歳いませんよ。これほど幸せなことはないですよ。ただ、真面目な話をすると、それだけいろんなことを犠牲にして、夫婦でこの箱根駅伝の舞台を人生かけて戦っているってことなんです。 これまで奥さんをフィニッシュに入れ込んだことは1度もないんです。 でも、その裏方で頑張ってる人間が表に出て表現されるっていう流れを私が作らないと。そういう道は私がやるから、少々叩かれてもいいんですよ。 例えば大八木さん(駒澤大総監督)の奥さんが駒澤大学が優勝したときに出てくるとか、色々な大学の二人三脚でやってる人が舞台に出て大勢に賞賛される。そういう頑張った人が報われる社会を僕は作りたい。その1つに今回なれたかなと思います」

――今年は原メソッドの改良はありましたか?
「全体の大枠は変わらないんですよ。やはり学生たちの能力の先にある目標やタイム基準を設定して基準を上げていくという形。だから、昔は28分台を10人揃えるなんて発想はなかったわけですよ。5年ぐらい前は私が13分台10人揃えるって言ったら、みんなきょとんとしてましたよ。それがもう当たり前だったじゃないですか。 だから、育成するメソッドや体系的なものは、流れは変わらないけれども、そこに組み込む練習の質とか量とか、脳の意識を変えていくんです。昔は400mを68秒で走っていたのが64秒になって、今では60秒でもそんなに速くない。 例えば往路でも2区でみんな13分台とか28分台に入って1時間5分台があれだけ出る。今回2区で1時間9分いないですからね。5年前では考えれないですよ。それはある意味、昨年黒田(朝日、3年)が2年生でもう6分7秒で走って、もう5分台出る空気感がそうさせているんですよね。 人間の成長というのは脳内改革、その思考を変えること、常識を変えること。これが大切になると思います」

――3連覇、4連覇への意欲はいかがですか?
「結局確率なんですよ、成果を出すっていうのは。この10人のメンバーと同じように練習をやってる選手は次の代にもいます。成長するんですよね。ただ、残念ながら4年生が主力の次の年は究極の実戦練習である大会での実績がないから不安なんです。 実績がある方が成果を出す確率は上がります。でも、同じ練習をやってる選手は今回走った10人プラスアルファ10人いるんですね。だから来年も同じようにタイムは成長すると思う。ただ、大会で成果が出る確率は低いです。でも今回10時間41分を2回連続出しましたので、チームとしての当たり前の基準は11時間じゃないですよ。もう10時間41分が基準で物事を考えていくようになってるんです」

――時代が新しくなったように感じた瞬間はありますか?
「まず普及というPR的なところでいったら、若い層が増えた。ファンの皆さん、若い層の方が朝早くから沿道に駆けつけてくれて、あるいはオールで芦ノ湖に行く多くのファンの皆さん、特に女性のファンの皆さんが増えましたね。駅伝も捨てたもんじゃないなと思いました。各大学の各指導者が一生懸命やっているので、実際に事実として27分台が20人近くいるんですかね。調べてもらったんですけど、27分台と28分台合わせたらもう約200人近くいるんじゃないかなと。150、160人くらいいるんですよ。それはもう5年前、10年前じゃ考えられないこと。フィニッシュタイムもシード権から漏れる11位が10時間55分とか、5、6年前だったら優勝できた記録。だから、この学生陸上界のレベルアップというのは本当に本当に素晴らしい」

――都道府県駅伝も青学の選手がたくさん出ますね。
「普及という面でいえば箱根を走った選手と一緒に各都道府県の中学生、高校生エースたちが混ざるんですね。やはり陸上を続けてよかった、大学でも陸上をやりたい、そういう雰囲気作りをしてほしい。大学生アスリートは憧れのスター選手ですから、それが青山学院大学だけじゃなくて各大学でも各都道府県出身の選手が出てきますから、箱根に出る文化に憧れていいんだよっていうのは中高生の皆さんに親しんでほしいなと思います」

――エキスポにはどういうメンバーで挑みますか?
「エキスポ駅伝はずばり優勝を狙っていきます。日本人同士で戦いたいと思っています。社会人は今の大学生の力を実際に肌で感じてほしい。そのためにも日本人のガチンコ対決を期待します」

――3年生以下ベストメンバーですか?
「これまた流動的。ただ、マラソンとか挑戦する選手が多いから、どうなるかですよね」

――その選手たちのマラソン、何人か予定してると思うが、そこへの期待は?
「これはまず、私どものマラソンは、登竜門的にやるから、 いわゆる昔ながらの40kmを何本もしてマラソントレーニングを準備してやるという方針ではないので、まずは自分自身の心構え、マラソンに出たいという思いがないと無理やりは出さない。せっかくなんで箱根駅伝仕様でやる。箱根駅伝において平均的な一区間は約23km。ただ、起伏等もあるので実質30km仕上がっているようなものなんですよ。それだけ仕上げてるんだから、残り12.195キロ、 楽勝なんですよ。あとは自分がここまで練習を継続的にやったんだから、今年度の集大成として2月にマラソンにチャレンジしてほしい。つまり最後は意気込みだけ。それが出るかどうか。優勝して、温泉でも浸かってゆっくりしたいなという子が無理やりマラソンにチャレンジしても良いことないかな」

――今後についてご自身はどう描かれていますか?
「私今年で58歳なんです。いつまで私に現場責任者をやらせるんですかっていう話なんですよ。だから私は組織の根の部分で青山学院大学陸上競技部を成長させるというメソッドでやっているんです。原がいるから強い。原がいなくなったら弱くなるという組織にはさせたくなかったので。 明日、来年、再来年という話じゃないですけども、近い将来バトンタッチするタイミングが来ます。今はコーチの伊藤コーチが入ってやってくれてますし、そろそろOBが現役を引退する歳に差し掛かってますから、上手に引き継ぎをしつつ、評価も止めずやっていく時期に来ているということで。5~8年前だったらそんなこと考えないです。私、大八木さんじゃないですからね。ただ、来年は2度目の3冠、3連覇のチャンスがあるのは現実に私どもだけですから、狙わない手はないので。布陣的には今年よりかは落ちるけども、決して狙えない布陣ではないと思ってるので、2度目の3冠、3連覇を目指して頑張りたいと思います」

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