【101回箱根駅伝】「別のチーム」で箱根に挑む 順天堂大学

【101回箱根駅伝】「別のチーム」で箱根に挑む 順天堂大学

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そりゃあ誰だって心配する。
名門順天堂は前回の箱根駅伝で最後までタスキを繋げなかった。
さらに今年11月の予選会では、ぎりぎりの最下位通過。しかも11位の東京農業大学とは、わずかに「1秒差」だ。出走上位10人の合計タイムがわずかに1秒差まさに薄氷を踏む思いでの箱根本大会出場となったのだから。しかしはっきり言えることは一つある。箱根の順天堂は11月とは別のチームである。

12月10日発表されたエントリー16人中1年生が5人もメンバー入りした。予選会で6人出走した4年生は本戦では3人に減り、1年生は2人から一気に5人に増えた。今年のチームスローガンは「下剋上」である。4月に決定したというこのスローガン。昨年の様々な悔しさを晴らす、箱根で上位に進出する、当然こういったスローガンになるだろう。しかしこの「下剋上」は他チームに対してではなくまずチーム内で激しくなった。

主将の服部壮馬がメンバーをはずれた。服部は、6区の候補として早くから期待された選手だ。

3大会前6区で区間賞を獲得した当時4年生の牧瀬と1年生にして同じ練習ができていた選手なのだ。しかし6区候補は「下級生の方が、その他のものが服部の力を上回った。特殊区間は何人もメンバーにも入れるわけにはいかないので服部が外れました。怪我等ではありません」(長門監督)下級生の突き上げが大変大きかったのだ。

1年生の「玉目陸」は長門監督が「ロード適性は抜群、これから学生のトップレベルになっていくんじゃないかなというふうに思っています」と太鼓判を押す。12月1日に熊本でおこなわれた甲佐10マイルロードレースで、パリ五輪マラソン代表の小山直城になんと残り2キロで競り勝って優勝した。順天堂で67回大会から4年連続2区を担当したレジェンド本川一美さんは叔父にあたるそうだ。順天堂の長い歴史のなかで4年連続2区を走った選手は数名しかいない。玉目もその域に達するのではないかと長門監督も期待を口にする。

同じく1年生の「永原颯磨」は、8月ペルーで行われたU20世界選手権で3000m障害5位入賞しかも記録がU20日本歴代2位の8分30秒37である。順天堂の先輩である三浦龍司の高校記録を2度更新した実力者だ。
偉大な先輩の背中を追って、トラックとロードの「二刀流」だ。

1年生「川原琉人」は上尾ハーフで1時間2分42秒の好タイムをたたき出した。順位は11位だがこれは1年生だけの順位でいえば2位だ。長崎県五島列島福江島の出身。通っていた中学校に陸上部はなく、競技経験のある祖父高宏さんとトレーニング。中学生3000mの全国1位のタイムをマークした経験を持つ。

勢いのある一年生と、5000mの高校記録を持つが伸び悩む2年生の吉岡大翔あたりの力が融合すれば、充分に上位を狙う力はある。

メンバー入りを逃した服部主将は、長門監督からこれを伝えられて泣いた。その日、しかし主将が率先して皆が使う寮の風呂掃除をした。ピカピカに風呂場を磨き上げた。箱根当日主将は走らない。でもこの服部主将の立ち振る舞いは、伝統の白と赤のタスキに見えない力を注ぎこむはずだ。

(写真提供:順天堂大学)
スタート&フィニッシュ実況担当:長谷川太

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