気象研究所 研究成果発表会~頻発・激甚化する自然災害と向き合う研究の最前線
毎週日曜朝5時5分からお送りしている「防災アワー」
防災をもっと身近にもっとわかりやすく生活目線でお届けしている番組です。
12月17日、気象研究所 研究成果発表会「頻発・激甚化する自然災害と向き合う、研究の最前線」が気象庁講堂とオンラインで開催されました。
今年起きた様々な災害、「能登半島地震」や「台風10号」などについての研究成果も発表され、興味深いテーマばかりでした。
台風・気象災害研究部の末木健太研究官は、9月に能登半島にかかった線状降水帯の発生要因として、日本海の高い海面水温の影響について発表しました。
日本海の海面水温は平年に比べて4~5度も高く、能登半島付近に流入する空気は、日本海から多量の水蒸気供給を受けていたということです。
平年並みの海面水温に置き換えたシミュレーション実験では、線状降水帯が発生するような大雨は再現されなかったと発表。
元日の大地震後に発生した記録的な豪雨による複合災害は、ここまで海面水温が高くなければ発生しなかったとみられます。
また、応用気象研究部 山口宗彦主任研究官はAI気象モデルを活用した台風予測や強度予測の改良について発表。
AIを活用した天気予報技術の開発が驚異的なスピードで進んでおり、台風の進路予測については、従来の手法よりも高精度で台風の進路を予測したということです。
今後も頻発化・激甚化する自然災害、少しでも被害を減らすための研究が期待されます。
さて、今週の「防災アワー」
東京大学大学院客員教授の松尾一郎先生に「11月の線状降水帯 発生」についてお話いただきました。
11月2日未明に長崎県北部で「線状降水帯」が発生しましたが、本明川では諫早市が水害タイムラインを立ち上げ、四国の肘川でも流域タイムラインを運用したそうです。
気象庁が発表する「線状降水帯」の半日前予測の実績をみると、今年の的中率は約10%、見逃し率は約62%となりました。
今年から都道府県単位での発表が始まりましたが、まだまだ予測は難しいとも言えます。
松尾先生は、3時間前でも即時的に伝える仕組みができないものかと話します。
臨機応変な対応が重要だということです。
聞き逃した方は「防災アワー」radikoでぜひお聞きください。
気象予報士 防災士 都庁・気象庁担当記者 伊藤佳子