日本の物流はポテンシャルが高い「北欧のまちづくりから考える物流」

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。

2024年12月2日,9日の浜松町Innovation Culture Cafeは、「北欧のまちづくりから考える物流」をテーマにCBcloud株式会社代表取締役CEO・松本隆一さんとロスキレ大学准教授、北欧研究所代表・安岡美佳さんをお招きしトークを展開しました。

入山：日本の物流の現状から伺います。特に物流は「2024年問題」といって、トラックドライバーの残業の上限規制が始まったせいで、人手不足・荷物が届かないというのが昨年から指摘されていました。松本さんに伺いたいのですが、この辺の現状をどうご覧になられていますか？

松本：労働力不足の中での時間制限になるので、配送の価値が上がって、価格が上がっています。意外と運送業界の方々は頑張って、どうにか運べているのが今の実情です。

入山：いろいろ工夫されているそうですね。無駄な仕組みを変えたり。

松本：そうです。テクノロジーを使いながら生産性をあげる仕組みを使っていたり、あとは買収をしたり。

入山：これ、中・長期的に日本の物流は、どういう風になるとお考えですか？

松本：ドライバー不足の中だからこそ、私たちのようなスタートアップがあるのだと思います。「ドライバー業を魅力ある仕事に変えていきたい」「ドライバーの価値を上げていきたい」というのが私たちのミッションで、そういった中で新規参入も結構多く、そこまで悲観的に見なくても良いのかなと。

入山：新規参入というと、運送業に？

松本：そうですね。私たちのサービスに新規参入で入ってくるドライバーさん多いですよ。

入山：そうか！これからドライバーの価値が上がるから、むしろ転職先として個人事業主としてドライバーやってみようという方がいると。

松本：そうですね。あとは良いか悪いかわかりませんが、バスの運転手さんが物流のドライバーになるケースが多いです。

田ケ原：ああ！

入山：なるほど、バスは自動運転も入るし、需要が減ってきているから、そういう流れなんだ。安岡さん、今のお話はいかがでしょうか？

安岡：私も全然、日本の物流がどうなっているか、知らなかったので面白いですね。同じような問題も北欧で抱えているはずなんですけどね。

入山：確かに、北欧も高齢化が進んでいるし、人手が足りないですよね。北欧はこのあたりどうなんですか？

安岡：もちろん、ＩＴを使って効率化を図るのもありますが、あえて言うなら「届けない」「無理はしない」そういうような様子も見受けられますね。

入山：届けないね(笑)デンマークってそういう国ですもんね(笑)

安岡：そうですね。1週間の労働時間が37時間って決められているので、これは法定ではなくて三者間協議で決められているんですけど、働いている人も無理しないので、他の方法を考えるしかないんですよね。

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本日のお客様
松本隆一さん
高校時代に独学でプログラミングを修得され、高校卒業後、航空保安大学校を経て国土交通省に入省。航空管制官として羽田空港に勤務した後、2013年に転職。他界した義父の運送業を継ぎ、CBcloud株式会社を設立されました。自身の会社だけでなく、あらゆるドライバーの環境を改善することで業界全体をより良くすべく、ITによる業界変革を決意。これまでに、ドライバーに意思決定権のある自由な働き方、効率的な稼働、正当な業務評価により努力が可視化される環境を提供。

安岡美佳さん
京都大学大学院情報学研究科修士、東京大学工学系先端学際工学専攻を経て、2009年にデンマークのコペンハーゲンIT大学博士を取得。北欧におけるITシステム構築手法としての参加型デザインやリビングラボの理論と実践、それら手法の社会文化的影響に関心を持つ。専門はスマートシティだが、近年は、IoTやコンピュータシステムが人々のより良い生活にどのように貢献できるか、社会課題の解決に、参加型デザインやリビングラボの知見を応用するプロジェクトに取り組んでいる。

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