【第101回箱根駅伝】みどころ

【第101回箱根駅伝】みどころ

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史上稀に見る混戦必至! 第101回箱根駅伝のみどころです。

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目次

  1. 國學院大學、悲願の初優勝なるか!?
  2. 王座奪還を目指す駒澤大学、連覇を狙う青山学院大学
  3. シード権争い
  4. エース
  5. 個性派ランナー

國學院大學、悲願の初優勝なるか!?

今季、ここまでの学生三大駅伝の主役は國學院大學と言っていいでしょう。10月の出雲駅伝で5年ぶり2度目の優勝を飾ると、11月の全日本大学駅伝では初優勝。箱根駅伝では初優勝と学生駅伝三冠がかかります。

特筆すべきは選手層の厚さ。出雲、全日本はいわゆる“つなぎの区間”で区間賞を獲得し、流れをつかみました。

チームの中心はエースでキャプテンの平林清澄(4年)。2月の大阪マラソンでは初マラソンで2時間06分18秒のタイムをたたき出して優勝、初マラソン日本記録と日本学生記録を更新しました。出雲駅伝では駒澤大学の篠原倖太朗(4年)が追ってくる展開でのアンカー勝負となりましたが、ロングスパートで制して優勝のフィニッシュテープを切りました。前田康弘監督は「ハーフマラソン以上の距離は学生の中でナンバーワン」と平林の走力を評しますが、同時に、キャプテンシーや競技者としての姿勢も高く評価。チームの中間層の底上げにも「平林たちがうまく引っ張ってくれて下級生が育っている。平林がリーダーシップを取ってチームをまとめている結果」と信頼を口にします。

その平林が今季常々口にしてきたのが「勝ち切る」ということ。チームの主力だけでなく「全員が出るレースで勝ち切ることを目標にしてきた」と言います。平林の大阪マラソン優勝以外にも、2月の宮古島大学駅伝では5区間全区間で区間賞を獲得し優勝、3月の日本学生ハーフでは青木瑠郁(3年)が優勝と「勝ち切る」ことを積み重ね、出雲、全日本も制覇。勝ち切ることをチーム全員で体現してきました。
「平林に勝とうと挑む選手がたくさんいる」(前田監督)というように、選手層はチーム史上過去最厚。昨年の駅伝シーズン故障に苦しんだ山本歩夢(4年)は、今年は駅伝シーズンになって調子を上げ、全日本では6区区間賞で区間記録を樹立、MVPを受賞しました。

上原琉翔嘉数純平の“沖縄コンビ”に、高山豪起ら、3年生も元気。上原は出雲5区区間賞の活躍でチームをトップに押し上げ、全日本ではアンカー8区で優勝のフィニッシュテープを切りました。
さらに、辻原輝野中恒亨の2年生コンビにも勢いがあります。辻原は出雲、全日本ともに3区でチームの順位を押し上げると、野中は三大駅伝デビューとなった出雲4区で区間賞、全日本でも5区で区間賞を獲得。チームの屋台骨としてもはや欠かせない存在になっています。

今季のチームのスローガンは『歴史を変える挑戦~EP.3』。このスローガンは勝負年にのみ使用されるものです。エピソード1は2010年度、87回大会(2011年)の“寺田交差点”でよく知られていますがアンカー寺田夏生がフィニッシュ直前でコースを間違えながらもかろうじて10位に入り、初めてシード権を獲得した年。エピソード2は2019年度、出雲駅伝でアンカー土方英和が逆転で勝って三大駅伝初優勝を果たした年。そしてエピソード3が、今年。これはつまり、今回の箱根で初優勝を掴み取る決意と覚悟です。今の4年生が入学してきたときから「101回が本当の勝負」(前田監督)と、スカウティングも含めてチームを作り上げ、雰囲気を醸成してきました。

チームは「三冠」という言葉をここまで使わず、目の前の試合を1つ1つ勝ち切ることで、2つのタイトルを掴んできました。勝負の年を迎えた古代紫が新たな輝きを纏うことになるのか、駅伝ファンならずとも注目です。

 

王座奪還を目指す駒澤大学、連覇を狙う青山学院大学

駒澤大学はここまで出雲2位、全日本2位と、いずれも優勝には手が届いていないものの感じさせるのは「強さ」です。
というのも、チームは前期シーズン、苦しんでいました。2年連続三冠を目指した反動から故障者が出て足並みは揃わず、結果も出ずにいました。関東インカレでも入賞は2人だけ。「このまま夏を迎えるわけにはいかない」と藤田敦史監督が口にしたほどです。

しかし夏を経て、チームは様変わりしました。立役者は篠原倖太朗キャプテン。今年はGgoat(OBの田澤廉、鈴木芽吹ら、大八木弘明総監督が指導するチーム)での海外合宿へは行かずに夏合宿をチームと過ごし、チームを引っ張ってきました。上のレベルでやりたいと思うのは競技者として当然のことですが、「1月4日、主将になったときからチームのための1年にすると決めていた」と、献身への覚悟を語ります。
「普段Ggoatで練習している者として、(チームでの)絶対に垂れられないと思う練習は苦しかった」とも話しましたが、それが、競技力も、心をも強くしました。そして9月28日、Yogibo Athletics Challenge Cup 5000mで13分15秒70をマークし、屋外日本人学生記録樹立。ともに夏を過ごしたチームメイトに勇気と勢いを与えました。
「チームが“俺たちいけるんだぞ”って自信を取り戻すためにも勝ちたい」と臨んだ出雲駅伝は、アンカー勝負に敗れて2位。人目もはばからずに泣いた篠原ですが、「夏までのチームは自分が崩れたら終わり、自分が最後の砦だった。(出雲は敗れたが)チームの地力がついたことを感じられた。自分がチームを支えてきたつもりが、支えられていたのは自分だったのかもしれない」とチームの成長への実感を口にしました。その後、全日本ではエース区間の7区を走り、得意とは言えなかった単独走で区間賞を獲得(しかも青山学院・太田蒼生や國學院・平林清澄をしのいで)。ひたすらに前を追う果敢な走りは、駒澤のエースの姿そのものでした。箱根では初の2区に挑むことになるのか、注目です。

篠原とともに主力となるのが山川拓馬(3年)。全日本では3位で襷を受けましたが、2位・青山学院大との2分37秒差を逆転する激走を見せ、フィニッシュ直前で2位に押し上げました。それでも「渡辺康幸さんの記録に届かなかったので悔しい」と、満足はしていません。3度目の箱根に向けては「5区で68台を出したい」と意欲的に話します。
全日本では、同じく3年生の伊藤蒼唯も3区区間2位、9人を抜く力走(日本学連を含む)を見せました。1年時に6区で区間賞を獲得している伊藤がどこに配置されるかも注目です。
強い主力に加え、桑田駿介谷中晴(ともに1年)ら新戦力の台頭もあり、春先不安視された選手層は厚みを増しつつあります。

さらに、これが佐藤圭汰(3年)を欠いた結果ということも忘れてはいけません。今年は箱根駅伝直後に行われたボストンの室内5000mで13分09秒45(日本歴代2位、室内日本記録、日本人学生記録)をマークしたものの、その後故障が続き、出雲、全日本は欠場となりました。箱根で復帰となればチームにとっては大きな力になるでしょう。

シーズン当初、4年生のリーダーシップに苦言を呈すこともあった藤田監督も「いいチームになりました」とたしかな成長を語ります。2年生から主務をつとめる並木大介(4年)も、今のチームは「強いんじゃなく、強くなったんです」と語ります。さらに「三冠を達成した時と同じ雰囲気が出てきた」とも。
藤田監督は、全日本で力を発揮できず泣く桑田に8区山川の迎えをやらせたそうです。泣いている暇はない。失敗を失敗で終わらせない。それを箱根で勝つための負けにしなければならない――。箱根路では藤色の本物の強さを見ることになるかもしれません。

前年度の箱根王者・青山学院大学も優勝を狙う一角です。三冠を目指して挑んだ駅伝シーズンは、出雲、全日本ともに3位。國學院、駒澤の後塵を拝しています。しかし過去10年で7度の優勝を誇る青山学院大学は、勝ち方を今もっとも知るチームと言っていいでしょう。
タレントぞろいのチームの中で、なんと言っても光るのは鶴川正也(4年)。5月には関東インカレ2部5000mでは留学生にも勝って優勝。6月には日体大長距離競技会5000mで13分24秒90をマークし日本選手権出場を掴むと、その日本選手権では13分18秒51をたたき出し、当時の5000m屋外学生記録を樹立しました。駅伝シーズンも好調を維持し、出雲、全日本ともに区間賞を獲得。その後も勢いの止まらない鶴川はMARCH対抗戦で10000m27分43秒33をマークし青山学院大学記録を更新と、まさに手がつけられない状態です。

そんな鶴川は、高校3年時の都大路1区で区間賞を獲得し「世代のエース」と言われて青山学院に入学したものの、大学ではなかなか結果を出せませんでした。過去3度の箱根駅伝では献身的にチームをサポートする一方、同級生を送り出して涙したこともありました。チームが優勝しても悔しさばかりが募りました。陸上を辞めたいと思ったこともあります。それでも「自分が走ってチームを勝たせたい」という想いは捨てきれませんでした。4年目にしてやっと掴んだ箱根路でどんな姿を見せるのか、楽しみで仕方ありません。

前回大会2区で好走した黒田朝日(3年)は、関東インカレ2部10000mで27分52秒02をマークし、チーム史上初の27分台ランナーになりました。前回、3区で駒澤・佐藤圭汰との先頭争いを制した駅伝エース・太田蒼生(4年)は関東インカレ2部ハーフマラソンで日本人トップの2位を獲得、全日本でも國學院・平林と同タイムをただき出す強さを見せました。さらに、過去2度5区を担い、前回大会では区間2位ながら区間新のタイムで走破した若林宏樹(4年)もいます。「箱根以上の目標はない」と大学で競技引退予定の若林ですが、最後のトラックレースとなったMARCH対抗戦では27分台をマーク。競技人生最後の大舞台にかける想いは強いでしょう。
ほかにも、宮古サーモンハーフで優勝した宇田川瞬矢(3年)、前回箱根8区区間賞の塩出翔太(3年)、1年生も強力で世田谷ハーフ優勝の安島莉玖佐藤愛斗小河原陽琉黒田朝日の弟・然ら、挙げるときりがないほどに力のある選手がいます。全日本のあとの故障で折田壮太メンバーを外れましたが、黄金時代の幕開けを感じさせる戦力と言っていいでしょう。

このタレント揃いで個性の強いチームをまとめてきたのはキャプテン・田中悠登(4年)です。箱根駅伝で競技を引退し、地元・福井の放送局にアナウンサーとして就職を決めている田中ですが、箱根駅伝ではいろいろな景色を見てきました。1年の時は世田谷ハーフで優勝しながらも出走できず、チームの優勝の歓喜の輪を悔しい思いで眺めていました。2年の時は出走したもののチームは3位、箱根は勝たないとおもしろくないんだと痛感しました。3年生の時は故障で走れず、大晦日に片桐悠人(現主務)とお守りを裁縫で作ってチームをサポートしました。優勝したチームを見て、個人の悔しさよりも、最後まで投げださずにサポートを続け一緒に戦ったことを誇らしく思えました。だから、最後の箱根は、走って優勝したい。誰かに勝たせてもらうのではなく、「俺が勝たせる」。
フレッシュグリーンが大手町で笑う姿が見られるか、楽しみです。

創価大学は出雲、全日本とも3強に次ぐ4位に入っていて、安定した強さを見せています。吉田凌キャプテンと吉田響の“W吉田”(ともに4年)に加え、スティーブン・ムチーニ(2年)、今季4年目にして三大駅伝デビューを果たした小暮栄輝、全日本8区2位の野沢悠真(3年)、駅伝力の高い山口翔輝(1年)らを中心に初の箱根制覇を目指します。

中央大学は箱根予選会6位、全日本12位と駅伝シーズン力を発揮できていませんが、「駅伝に対しての取り組みがまだまだだっていうことに気付けた。もう少し気持ちを強く持って、泥臭くやっていこうと熱意を持ってやっている」と吉居駿恭(3年)が言うように、MARCH対抗戦で変わりつつある姿を見せ優勝を果たしました。吉居も27分台をたたき出し、溜池一太(3年)が持っていた中大記録を更新しています。箱根は目標を7位と下方修正して挑みますが、個々の力があるだけに、かみ合ったときの力は計り知れません。

主力に故障者がいない早稲田大学も、少数精鋭ながらポテンシャルの高いランナーが揃います。

217.1kmのフィニッシュ・大手町に最初に飛び込むのはどのチームになるのか。101回大会も最後まで分からないレースになりそうです。

 

シード権争い

箱根駅伝は上位10校に翌年のシード権が与えられえます。またシード校が出雲駅伝の出場権を得ることになるので、シード権を獲るか否かは、翌年度のチームの明暗を握ると言っても過言ではありません。

シードを落としたチームは予選会からの再出発となりますが、その予選会が過酷なレースになることは言うまでもありません。異例の酷暑のなか行われた101回の予選会では、記念大会だった前回の13校から3校少ない10校の狭き枠を、43のチームで争いました。専修大学と東京国際大学が2年ぶりに本戦復帰を果たした一方、前回10年ぶりに箱根路に戻ってきた東京農業大学がわずか1秒の差に泣いて予選落ち(ハーフマラソンを走って一人0.1秒の差で、です)。また、箱根常連校の明治大学、国士舘大学、前回2度目の出場だった駿河台大学も予選落ちとなりました。東海大学はフィニッシュ直前で10人目の選手が脱水症状となり棄権、予選会14位となり本戦出場が11年連続で途切れることとなりました。前回大会11位の東海大学、12位の国士舘大学が翌年には予選落ちという結果からも、予選会を勝ち抜くことの厳しさがわかります。

前回大会は、優勝候補の一角と目されていた中央大学が直前のチーム内での体調不良が響きまさかの13位、オリンピアン・三浦龍司を擁して挑んだ順天堂大学が17位とシードを逃す結果となりました。有力校であっても(時に優勝候補に挙がりながらも)、1つのミスでシード権争いに巻き込まれることになるのが箱根駅伝の怖いところです。

今回、予選会からの出場校では日本体育大学、中央学院大学、中央大学、日本大学、東京国際大学などがシード権に絡んでくることが考えられます。全日本は初出場で7位に入りシード権を獲得した立教大学は、箱根でも初のシード獲得に挑みます。命運を分ける10位と11位の差、シード権争いにも注目です。

 

エース

エースの走りは、単にタイムを稼ぐだけではなく、チームに勢い、勇気をもたらします。そのエースをどこに配置するかは戦略上のキーポイントになるので、この点もみどころの一つです。
エースが多く投入されるのは「花の2区」。1区が出遅れた場合に挽回する必要がある区間であり、また距離が23.1kmと9区に並んで長く、さらに終盤には権太坂や「戸塚の壁」と言われる上り坂が待っています。走力、精神力ともにタフな選手でなければ攻略できないのが2区なのです。

その2区で前回区間賞を獲得したのが黒田朝日(青山学院大3年)。初の箱根出走で歴代4位、日本人としては相澤晃に次ぐ2位のタイムをたたき出し、一躍学生トップランナーの仲間入りを果たしました。今季は関東インカレ10000m(2部)で自身初の27分台をマークすると、MARCH対抗戦で27分49秒60までそのタイムを伸ばしました。全日本でも4区で区間新記録を樹立するなど、ロードでもトラックでも力を発揮しています。前回同様、2区に黒田朝日、3区に駅伝エース・太田蒼生が配置されると、それだけでほかの大学から見ると脅威でしょう。

國學院大學のエースは平林清澄。前述した通り2月の大阪マラソンで優勝し、初マラソン日本記録と学生記録を樹立しています。夏は調子の上がらない時期もあったと言いますが、それでも駅伝シーズンに入って、出雲6区で区間賞、全日本は7区で区間2位と、いずれもチームを優勝に導く成績をおさめています。三大駅伝皆勤賞がかかるのも、今の4年生世代では平林ただ一人。秋はトラックには一切出場せず、駅伝に向けた練習をひたすら積み重ねてきました。
駒澤・篠原倖太朗はハーフマラソン日本人学生記録に加えて、9月には5000mで13分15秒70をマークして屋外日本人学生記録を樹立。前回箱根1区、今季は全日本のエース区間7区で区間賞を獲得しています。

創価の吉田響(4年)は今季5000m、10000m、ハーフマラソンで自己ベストをマーク。「4代目山の神」襲名を目標に5区に挑みます。城西大学・斎藤将也(3年)は2年前の激坂王で、区間記録保持者・山本唯翔に1分近い差をつけて優勝している実力者。5区に配置されれば大きなアドバンテージになりそうです。順天堂の山上り候補、川原琉人(1年)の箱根デビューも注目です。

中央には吉居駿恭溜池一太(ともに3年)、本間颯(2年)の27分台トリオに力のあるルーキー・岡田開成がいます。箱根予選会日本人トップ、中央学院大学・吉田礼志(4年)は過去2回の箱根はいずれも2区を走って二桁順位、最後の箱根でリベンジを狙います。法政・武田和馬(4年)は前回区間賞を獲得した6区か、あるいは往路での勝負もあるかもしれません。前回出走できなかった悔しさをバネに練習を積み重ね、5000mと10000mで法政大記録を塗り替えた大島史也(3年)にも注目です。帝京大学を引っ張る山中博生キャプテン(4年)は関東インカレ2部10000mで帝京大学記録を樹立、駅伝シーズンに入っても他大学のエースと互角に戦う力があることを証明しました。
ハーフマラソン早大記録保持者の山口智規(3年)、大東文化には西川千青(4年)に加え入濵輝大(3年)、大濱逞真(1年)、さらには上尾ハーフを61分38秒で制しU-20日本記録を樹立した棟方一楽(2年)もいます。日本大学のシャドラック・キップケメイ(2年)は箱根予選会2年連続全体トップ。11月に亡くなった横溝三郎監督への哀悼の想いを込め喪章をつけて戦う東京国際大学は、4つの学生記録を持つリチャード・エティーリ(2年)が初の駅伝に挑み、佐藤榛紀(4年)も初の箱根路に挑みます。順天堂・浅井皓貴(4年)や専修・新井友裕(3年)、日本体育大学は平島龍斗、山崎丞、田島駿介の3年生トリオに注目です。東洋大学には酒井俊幸監督がエースと名指しした梅崎蓮キャプテンに加え、復活を期す石田洸介(ともに4年)がいます。石田はかつて「トラウマ」と話した箱根路でリベンジを果たすことはできるでしょうか。
チームの命運とプライドをかけたエースの走りが新春の箱根路を沸かせます。

 

個性派ランナー

箱根駅伝を走るのは、当然ながら学生です。メディアに取り上げられる機会は多くなりますが、普段、一般の学生と同じように授業を受け、さらに競技に打ち込んでいます。そんな学生たちの中には個性的な経歴や趣味を持つ方もちらほら。

関東学生連合チームに「東京大学大学院から」選出されたのは古川大晃。98回、99回大会に続き、2年ぶり3度目の学生連合チーム選出です。博士課程4年に在籍する29歳ですが、出走となれば東大院からは初の箱根ランナーになります。

日本体育大学の高村比呂飛(4年)も異色の選手です。2024年シーズン、1500mで関東インカレ、日本インカレを制したチャンピオンで、中距離から箱根駅伝への挑戦となります。「学生のうちにしかできないことに挑戦したい」と、駅伝挑戦を明かしたのは関東インカレを制した直後のこと。実際に夏合宿の半分を中距離で、半分を長距離で練習し、距離を踏んできました。迎えた駅伝シーズン、狙っていた全日本大学駅伝ではエントリーはされたものの出走には至らず。箱根はそれより長い距離ということもありメンバー選考ぎりぎりのラインでしたが、「学生が高村にメンバーに入ってほしいと言ってきた。彼の人柄が箱根駅伝につながった」(玉城良二監督)と、明るく、かつ謙虚に素直に練習に取り組む姿勢を称えました。かつて日体大の中距離からは石井隆士さんが53回大会(1977年)、1区を走って区間新記録を樹立して区間賞を獲得。最近では99回大会(2023年)に廣澤優斗選手が8区で出走しています。1500mチャンピオンが箱根路を走るのか、注目です。

また現役学生の中には“2世ランナー”も多く在籍しています。今回エントリーはなりませんでしたが、青山学院大学の徳本陽(1年)の父は「オレンジ・エクスプレス」の異名を取り法政大学で箱根路を坪田智夫現監督とともに沸かせた徳本一善さん(現駿河台大学監督)。黒田朝日・然兄弟の父・将由さんとは法政大学でチームメイトでした。親子2代にわたってチームメイトということになります。
その法政大学には順天堂大学で活躍した高橋謙介さんの息子・一颯(4年)が所属。國學院・辻原輝(2年)の父・幸生さんは神奈川大学で3度箱根を走り総合優勝も経験、中央大学の浦田優斗選手の父は浦田春生元監督……とまだまだいます。
ちなみに創価大学・榎木和貴監督の息子・真央さんは主務をつとめており、部には監督の甥・凜太朗(1年)も所属しています。

 

文化放送は毎年、出場する21チーム(20校+関東学生連合チーム)の監督とエントリー16名全員に、直接お話を伺うかたちで取材しています。この取材をもとにした選手の横顔を、中継の中でもお届けしていく予定です。文化放送の緻密なレース実況と、それを支える膨大な選手情報で、来たる第101回大会をお楽しみください。

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