臨床心理士が解説。心の問題の「ケア」と「セラピー」とは?

臨床心理士が解説。心の問題の「ケア」と「セラピー」とは?

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大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、10月9日の放送に臨床心理士の東畑開人が出演。発売中の著書『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』に関連し、自身が行なっているカウンセリングの仕事について語った。

大竹まこと「東畑さんはいまどういったことを生業にしているんですか?」

東畑開人「臨床心理士なので毎日、カウンセリングの仕事をしています」

大竹「開業してそこに患者さんが来て、心の問題をお話ししていると。いま患者さんは増えているんですか?」

東畑「増えている気がします。ご家族の世話をしているといろんな悩みが出ますよね。子供のことで困った、親御さんとの関係で困った。そういった、人と関わって困る世代の人が来ている気がします」

大竹「御本(『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』)では、心のケアは始まるものではなくて、ある日“始まってしまうもの”だと。どういうことですか?」

東畑「ある日突然、周りの人の具合が悪くなるんです。予告がないんですよ。ある朝起きると子供が『学校へ行かない』と渋ったり、突然親が『離婚する』と言い出したり。襲いかかってくるというか。それで驚く。身近な人だと逃げられないんですよ。(人のケアを)自分でやるぞ、というよりは始まってしまうと。慌てて事態に追いつき始めるのが心のケアというものではないかなと」

大竹「そういうことに対する薬みたいなものはあるんですか?」

東畑「薬も役に立つんですけど、それだけではなかなか人というのは変わっていかない。ご家族や同僚など、いろいろな人が関わってケアしないといけない。いくら科学が発展してもケアというのはなくならないのではないか、と思います」

大竹「ケアとセラピーという2つの方法があると。セラピーというのは?」

東畑「この本でケアとセラピーというのを分けて書きました。人と人との関わり方の2種類です。たとえば部活の顧問が生徒に関わるのもケア的なとき、セラピー的なときがあると。ケア的とはどういうことかというと、『傷つけないように関わる』」

大竹「はい」

東畑「セラピーというのは『傷つくことと向き合おうとして関わる』ということです」

大竹「もう少し詳しくいうと?」

東畑「傷つけないというのは、相手が求めることをやってあげるということですね。仕事ができなくて困っているとき、ケアするというのは代わりにやってあげること。セラピーというのは『自分でやってみよう』と、できないことに向き合ってもらうこと。これがケアとセラピーの違いですかね」

大竹「両方必要なんですね?」

東畑「そのときどきでどっちをやるというのかは(違う)。でも基本的には仕事とか、代わりにやってもらって、元気が出てきたら自分でやってみようとなるじゃないですか。ケアが先にあって、そのあとセラピーがやってくる、といった話ですね」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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