基礎年金の目減り防止策、本格検討 厚生年金の積立金活用案が有力 藤井氏「増税の布石を打っているとも考えられますよね」
8月22日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、基礎年金の底上げに関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「デフレがずっと続いているから必然的にこうなった」
基礎年金(国民年金)など公的年金の目減りを防ぐため、厚生労働省は基礎年金部分の底上げ策の本格検討に入った。会社員らが入る厚生年金の積立金を使う案が有力だという。ただ、将来的に兆円単位での国の負担が必要となり、財源確保が課題ともいわれる。来年の年金制度改革に向け、年末までに議論をまとめるとしている。
寺島アナ「国民年金の目減りを防ぐために厚生年金を使うという案なんですが、藤井さん、これはどう思われるでしょうか?」
藤井氏「最終的にはこれ、真水が必要になるということですね。厚生年金の積立金の活用ですけど、でも最終的には財源が要るっていうことですよね。経済がちゃんと成長すれば厚生年金も維持できるわけですから、こういった問題が出てきたのもデフレがずっと続いているから必然的にこういうことになったんでしょうね。だからこういったところにも真水を普通に出しておけば積極財政の一環になりますから、これで経済低迷っていうのが防げることにもなるし、経済が悪くなってきた緊急事態ということで、国債で充当すればいいですよね。それで経済がちゃんと正常化すれば、こういった目減りの問題も無くなっていくでしょうから。っていうのが本来の方法ですけども、そうやらないとどうなるかっていうと、また増税するしかないでしょうね」
寺島アナ「ここで増税ですか?」
藤井氏「これのために増税だっていう布石を打っているとも考えられますよね」
7月に公表された公的年金の将来見通しによると、就業する人の数や賃金上昇のペースが鈍いと想定した「過去30年投影ケース」では、給付水準は現在よりも2割ほど減少するという。特に基礎年金の減少が目立ち、対応が急務だといわれている。現役の手取り収入に対する年金の割合を示す「所得代替率」をみると、基礎年金は2024年度の36.2%から57年度には25.5%に下落する。
公的年金は、1階が基礎年金で2階が厚生年金。公的年金には、人口減少や長寿化に応じて給付を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがある。支え手が減る中でも収支を調整する狙いだが、こうした基礎年金の目減りにもつながっている。
そこで厚生労働省は、厚生年金の積立金の活用を検討する。過去30年投影ケースで57年度まで続く想定の基礎年金の抑制期間を、36年度までに縮めると、厚生年金の報酬比例部分と合わせた所得代替率全体が5.8ポイント増の56.2%に上がる。国民共通の基礎年金の底上げは、ほぼ全ての厚生年金の加入者の年金額も引き上げる。
しかし、基礎年金の半額は国の支出で賄う仕組みのため、巨額の財源確保が課題となる。基礎年金が引き上げられればその分、国の支出も増えて、40年度に5千億円、50年度以降には1.8兆~2.6兆円になると見込まれている。政治的影響も大きく、同省も慎重に議論を進めるとしている。
寺島アナ「年金の目減りを防ぐために、先ほどチラッと藤井さんからも出ました、増税……」
藤井氏「そうですね。特に年金なんていうのは全員に関係しますし、毎年必要なものだから、こんなものを国債で賄うわけにはいかないだろう、だから税金でなきゃダメだよって言いたいんでしょうね。でもそれは増税しなくても(経済が)成長すれば税収が増えるんだから、それを充当するなり何なり方法が出てくるんですけども『成長なんてするかどうかわからないじゃないか』とか言って。するかどうかわからない言うてるから成長せぇへんねん。世界中が成長しとんねんから。うちらだけ成長せぇへんかったら、俺らは敗北を喫するしかないんだということなんですけど、まぁ増税したいんでしょうなぁ」
寺島アナ「でも、そのためにも総裁選、誰が(総裁に)なるか、どういう思いの人に一票を投ずるかっていうのは大事ですね」
藤井氏「だから積極財政の人じゃないとダメなんですよ」
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