【アナコラム】長谷川太「こだわりの腕時計」
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「アナウンサーコラム」。週替わりで文化放送アナウンサーがコラムを担当しています。この記事では全文をご紹介!
▼7月5日配信号 担当
長谷川太アナウンサー
今回はちょっとマニアックな話を。
アナウンサーはストップウオッチは必需品ですし、
常に時間を気にして仕事をするわけだから、いつも正確な時計が必要です。
僕が愛用している腕時計はアナログの「針式」ですが
時間をいつでも計測できるストップウォッチの機能がついています。
この機能がついている腕時計のことを「クロノグラフ」といいます。
何のことやらと思うかもしれませんがしばしお付き合いを。
実はこの時計、NASAの宇宙飛行士が
スペースシャトルの船外活動時に使用することで有名で、
「月面に降り立った最初の時計」との刻印がされているのです。
僕は子供のころから宇宙とこの時計に憧れて、
手に入れたのはアナウンサーになって2年目。
池袋のビックカメラから小さな包みを抱えて帰るときのうれしさは今でも忘れませんね。
それ以来30年愛用しているのです。
時計なんて時間がわかれば何でもいいじゃないかと言われればその通りなのですが、
この時計の最大の特徴は「圧倒的な時間の読みやすさ」にあって、
その理由は、「長針」と「秒針(ストップウォッチの針)」が
「文字盤の目盛に重なっている」からなのです。
今、「何時何分何秒」ということがこれほど見やすくわかりやすいアナログの時計は
他には絶対にありません。
僕はスポーツアナウンサーだから、仕事場は会社のスタジオというより野球場や競馬場の放送席です。そこにはもちろんデジタル式の時計はあるのですが、「あと何秒喋れるか」という感覚で喋ることが多いので、アナログ式の時計のほうが僕は好きなのです。
実況前にこのストップウォッチを時報に合わせてスタートさせると、
秒針として機能させることができ、正確な時計として使うことができます。
実況前にいつもスタートボタンを押すことが僕の儀式みたいになっていて、
試合が終わるとディレクターから「現場終了21時15分55秒」といった指示が来るのですが、僕の場合いつも自分の腕時計でこの時間読みをしています。
ベルーナドームでも東京競馬場でも国立競技場でも、この時計、仕事の大切な相棒なのです。
古い機械式の時計なので、2年に一度くらいはオーバーホールをする必要があって、
お金もかかるし手間もかかるのですが、「圧倒的な時間の読みやすさ」には代えられません。
ところで時計メーカーの方に伺いたいのですが、なぜ他のメーカーは
「見やすいアナログ腕時計」を作らないのでしょうか。
「長針」と「秒針」を文字盤の目盛りと重ねるだけでよいのですが、
すべてのアナログ腕時計は、「秒針」はともかく「長針」が文字盤の目盛りに重なっていません。これでは「今何時何分か」が一目で正確にわからないのです。
画像をご覧ください。「長針」が「文字盤の目盛り」と重なっていて、
今「12時6分10秒」ってことが一目でわかるでしょ。
いやもっと正確にいえば「12時6分9秒8」ですね(^^)