リニアは急ぐ必要なし!中止すべき!が有権者の7割? 静岡県知事選の実態を聞く
お笑いタレント、大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30)が5月27日に放送され、リニア中央新幹線の工事を巡る問題に詳しいジャーナリストの樫田秀樹氏が出演。静岡県知事選などについても話を伺った。
大竹「樫田さんは、この問題にどのくらい取り組んでいらっしゃるんですか?」
樫田「かれこれ12~13年ぐらいになるでしょうか」
大竹「今回、静岡県の知事が変わりますね。新しい知事、鈴木康友さんはリニアの問題についてどう考えてらっしゃるんですか?」
樫田「まず、今回の静岡知事選についてNHKの出口調査では、有権者の7割が「リニア建設は急ぐ必要がない」もしくは「中止すべきだ」と回答したんですね。鈴木さんは立候補を表明した直後、リニアについては「ゼロベースで始める」という回答をして、対抗馬で自民党の推薦を受けた大村慎一さんも「抜本的に見直す」という、県民からすれば2人ともすぐにでもリニア着工を認めちゃうんじゃないの?みたいな表明をしたんです。その後、静岡県の市民団体が各候補者に公開質問状を送ります。多分その間に鈴木さんは、リニアを心配する民意をちょっと汲んだと思うんですけど、前・川勝知事の政策を踏襲するような慎重な回答に変わったんです。例えば今、JR東海と静岡県との間では協議が10年ぐらい続いてるんですけど、この協議を「継続して尊重する」と回答したんですね。ところが一方の大村さんは「就任後に判断します」としたんですね」
大竹「濁したと」
樫田「さらに彼は選挙公約で「リニア問題は1年以内に決着をつける」としていて、ちょっとこれはすぐにでも着工を許可しちゃうんじゃない?みたいなことを言っちゃったんですね。多分、これに危機感を覚えた県民が多かったのが、今回の大村さんの敗因じゃないかなと思います。ただし鈴木さんも一応リニア推進を打ち出しているので、安心しきれる結果ではないなと県民は思っているはずです」
大竹「なるほど。前の知事の川勝さんがお辞めなった直後ぐらいに、池が枯れてただとか異変が起こったとか、いろんな情報が新聞に出ましたね。それも影響していますか?」
樫田「そもそも私は、静岡県は真っ当な訴えをしていたと思っています。川勝さんはネットの世界や一般メディアでは、リニアを邪魔している悪者のような書き方をされていましたけど。(笑) 彼は、JR東海が2013年9月に出した環境アセスメントの報告書に、静岡県の水源である大井川が1秒で、…1分じゃないですよ、1秒で2トン減ると言う予測が出ていたのに驚いて、工事で失われる水は全量を大井川に戻せと、そういったことを話し合うための協議会にJR東海も参加せよと言ったんです。それで10年前の4月に、県・JR東海・有識者の三者が話し合う、中央新幹線環境保全連絡会議が始まり、まだ続いているんです」
大竹「はい」
樫田「話し合いが続いているということは、まだ全量戻しの方法とかが確定していないわけですよ。この間、川勝さんはただ純粋に、水を守ってくれと、生態系を守ってくれと訴えていただけなんです。ところが、これがネットの世界では、「川勝はリニアを邪魔している」と「JRとかにいちゃもんをつけている」とされたんですね。でもそうじゃなくて川勝さんは極めて真っ当な市民感覚で、水を守れ、生態系を守れと要請をしてきただけなんです。こういったことは、あまり静岡県以外のメディアで報道されませんでした。そして川勝さんが辞められた直後、岐阜県の水枯れが突然わーっと報道されたので、私はちょっと驚きました」
大竹「そうですね」
樫田「というのは、他に山梨県のリニア実験線の周辺でも、水枯れなんて20も30も起きてるんですよ。そういったことは、ほとんどローカルメディア以外で報道されなかったのに、なぜ今回に限ってこんなに報道されるのか。それが非常に引っ掛かりましたね」
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