新規事業の社内公募に200件!その仕組みは?

新規事業の社内公募に200件!その仕組みは?

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様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。

2024年3月18日、25日の浜松町Innovation Culture Cafeは出張版!大阪にある積水化学工業株式会社の水無瀬イノベーションセンターからお届けしました。テーマは「新規事業・イノベーションをいかに起こすか」中心に考えました。同席したのは、常連さんのカーマインワークス合同会社代表・深田昌則さんとお客様・積水化学工業株式会社コーポレート新事業開発部部長・吉岡忠彦さんのお二人。

入山:吉岡さんに伺います。新規事業を行うにあたって「一番大事なこと」は何ですか?

吉岡:文化だと思いますね。スタートアップと大企業でクリエイティビティが違うかというと、そこに差は無いと思います。大事なことは、そういう個人のアイディアを出す力、提案する力で、そういう力の阻害する組織要因だったり、文化を取っ払うと、個人だったりチームの力を120%発揮できると考えています。

入山:そういう意味では、積水化学は売上げ1.2兆円の会社ですし、化学メーカーといえば、1件の投資も大きいから、一見守りに入りがちな組織になりがちになると思います。社員が「こんなこと提案しても、大丈夫だ」という文化を作るのは難しいと思うんですが、その辺への取り組みは?

吉岡:「新しいことにチャレンジしよう」という文化に変えないといけないということで、それを推進するエンジンとして、2021年に新しいチームを作りました。そのチームを設計して3年経過し、新しいプロジェクトも1つ、2つと出てきました。誰かが引っ張る「人依存」ではなく、制度に落とし込もうということで、部署関係なく全社から新しいアイディアを手挙げ式で集めて、セレクションして絞り込む公募形形をとっています。

入山:積水化学という会社の本社部門に新規事業専門部署を作り、そこにさらに全社からアイディアを募集すると。アイディアを出した人が、その新規事業を担当できて、出したアイディアが良かったら、積水化学が投資しますよと、そういう仕組みを作ったんですね。

吉岡:そうです。最初は100件集まるかどうか、というところでしたが、200件くらい集まって、その中から3つに絞って徹底的に支援する体制を取っています。

入山:それは、積水化学の中にも、新しいことを提案したい人がいたんだけど、その場がなかったり、「こんなこと言ったら目の前の仕事をしろ!」と言われる文化があったかもしれない(笑)。それを取っ払うために、こういう組織を作ってみたら、やっぱり皆さん、新規事業への想いはあったと。

吉岡:これが面白いことに、研究部門から、営業部門、スタッフ部門、年齢層も色々な所から200件集まったのが良かったです。手をあげる仕掛けは作ってあげただけで、そういうポテンシャルはもともとあったんですね。そういう会社の眠っている底力を感じて、これからが楽しみです。

入山:深田さん、ここまでのお話どうですか?

深田:素晴らしいですね。大体、大企業での新規事業コンテンツは、イベントで終わりがちなんです。ちょっと社員のガス抜きでやってみて、それで人事部門も「うちの社員も良くやるよね」と。出したアイディアが本当に経営幹部に認められていく仕掛けっていうのは、どんな風にしていますか?

吉岡:我々が、徹底的に伴奏するんですが、自分たちの目線だけではなく、審査員もとして会社外のベンチャーキャピタルの方をお招きして、見てもらっています。

入山:バリバリの投資家に来てもらって、社員が出したアイディアを判断してもらうと!?

吉岡:これが良いアイディアだったら、本当に自分が出資するのかと。しかし、100人中100人がOKというテーマは、面白くないので、ダメな部分があったものもあります。ですが、それが次のアイディアにつながったり、あるいはイベントで終わらないために、終わってからも応募者コミュニティを作っているので、そこで、似たようなテーマに関心があった人を集めたり、「もっとここを練り直して来年頑張ります!」という人を応援する仕組みにしています。

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本日のお客様
深田 昌則さん
1989年 松下電器産業に入社。AV機器の海外マーケティング、オリンピックプロジェクト・リーダー、パナソニック・カナダ市販責任者などを経て2016年より、未来のカデンをカタチにするパナソニック・アプライアンス社の活動「GameChangerCatapult」をスタート。2021年より、パナソニックを退社され合同会社カーマインワークスの立ち上げや、SUNDRED株式会社に参画されより一層活躍の幅を広げている。

吉岡 忠彦さん
大学卒業後、積水化学工業に入社。機能性フィルムの開発、技術サービスを国内外で担当。新製品立上げでグローバルマーケティング、海外ロビー等を経験され、自動車関連材料企画室長、インドのSEKISUI DLJM MOLDING PRIVATE LTD.取締役、CEOを歴任。2016年より高機能プラスチックスカンパニー開発研究所開発企画部長に就任され、在任中の水無瀬イノベーションセンターを設立。2020年よりコーポレート新事業開発部長。2021年に社内外のメンバーで構成したイノベーション推進グループを立ち上げ、社内融合や社外との共創を加速。


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