「参議院政倫審~世耕氏、自信たっぷりに曖昧答弁~」
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その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
3月14日、参議院で初となる政治倫理審査会が開催された。トップバッターで登場したのは清和政策研究会、安倍派の幹部、世耕広成前参議院幹事長。安倍派をめぐる裏金問題について詳細を知る人物の1人と目されている人物だ。
冒頭の弁明で世耕氏は「還付金問題で国民の信頼を失ったことについて幹部の一人として深くお詫びする」と陳謝した。そして政治資金の取り扱いについては一切関与したこともなく、パーティ券のノルマ超過分の還付方法について相談を受けたこともないと強調。その上で、自身が清和研から受けたキックバックについては、現金で秘書が受け取ったが、使途についてはすべて政治活動費として記載できるもので、裏金的な支出は一切ないと明言した。
立て板に水
質問に立った立憲民主党の蓮舫氏は、2022年4月、安倍元総理が止めようと指示したパーティ券のノルマ超過分のキックバックについて、
「なんで突然、(キックバック)継続の方向が決まったのかわからない。誰が決めるんですか」と畳みかけた。
これに対して世耕氏は、
「私自身、はっきり言って知りたいという思いだ」と他人事答弁。
また世耕氏はその年の8月、安倍元総理死去後に開かれた幹部会で、キックバックの継続が決まったことは断じてないと強調。さらに参議院選挙の年は、対象となる参議院議員にはノルマ超過分だけでなく、全額キックバックしていたことについても「働きかけはまったくしていないし、相談も連絡もなかった」と自身の関与を否定した。
世耕氏に対する政倫審は、約1時間45分。その間、「知らない」「記憶にない」という言葉が何度も飛び出した。30回は優に超えていただろう。
答弁は、立て板に水を流すがごとく、時折不遜な笑顔ものぞかせながら自信たっぷりに曖昧な答弁を続けた世耕氏。やはり新たな事実は一つも出てこなかった。
「正直な話をしてほしい」という言葉を投げかけて質問を始めた蓮舫氏。知らない、記憶にないで押し通した世耕氏に対し、最後に「何の弁明で来られたのか。分からない政倫審の限界を感じた」と述べ、質問を締めくくった。
「爆弾男」
週明け18日午後には、衆議院で同じく安倍派の幹部、下村博文元文部科学大臣に対する政倫審が開かれる。下村氏は、安倍元総理がパーティ券のノルマ超過分のキックバック中止を指示した2022年4月の会合と、安倍元総理死去後、キックバック再開を決めたと言われる8月の会合、両方に出席していて、真実を知る1人とみられる重要人物だ。
これまで政倫審に出席した安倍派の塩谷立座長は、「(8月の会合では)今年に限ってキックバックの継続はしょうがないとの話し合いがされた」と答弁。一方、西村康稔前経済産業大臣は「結論は出なかった」と発言。認識に食い違いが出ている。
下村氏をめぐっては、清和研の陰のオーナーと言われる森元総理との確執がある。安倍元総理死去後、清和研の集団指導体制から下村氏が外されたのは森元総理の意向ともいわれている。その遺恨から清和研、森元総理、それに自民党に対して都合の悪い発言が下村氏の口から飛び出す可能性があるのではと野党も注目している。
下村氏は何を知っているのか・・・自民党にとって爆弾のような存在かもしれない。
取材後記
衆議院の政倫審が行われた部屋には、弁明に立った安倍派5人衆の塩谷氏や西村氏とちょうど向き合うような位置に安倍元総理の肖像画がかけられていた。偶然なのだろうが、弁明者の塩谷氏らが少し目線を上げると、ちょうど眼に入る位置で安倍元総理が微笑んでいるという構図だった。心理的なプレッシャーはなかったのだろうか。
一方、参議院の政倫審では、世耕氏の伯父である世耕正隆氏の肖像画が掲げられていた。伯父から和歌山選挙区の地盤を引き継いだ世耕氏。政倫審の間、伯父の肖像画の方向にちらりと目をやることもなかった。そこに伯父の肖像画があることに気付かなかったのかどうかはわからない。
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