「これはやっぱり、投資が必要なんですよね」国交省 自動物流道路の検討開始
2月22日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、自動物流道路に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「下部構造のインフラをちゃんとやらんことにはダメ」
国土交通省は増大する物流需要やトラック運転手不足に対応するため、高速道路などで荷物を自動で運べる「自動物流道路」の検討に乗り出す。技術開発や法制度など課題を洗い出し、夏ごろに想定ルートを含めた方向性を打ち出す。今後10年で実現を目指す。
自動物流道路は高速道路の路肩や中央分離帯、地下空間などを活用することを想定する。自走するカートなどが無人で荷物を運搬できるよう道路を整備し、物流業務の効率化を目指す。道路上の安全確保など技術面の課題を洗い出してルートを詰める。
物流道路を走行するカートは再生可能エネルギーを使う案があり、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減して脱炭素化につなげる。
スイスでは主要都市間を結ぶ地下トンネルで自動運転カートを走行させる構想を掲げている。イギリスでは鉄道レールの横にリニアモーターを活用した物流専用道をつくる計画を進めているという。
寺島アナ「日本では、国交省がトラック運転手不足にも対応するために、自動物流道路の検討に入るということです。藤井さん、これはどうですか?」
藤井氏「これはやっぱりね、投資が必要なんですよね。いまの高速道路のままでいっときましょうか、というわけにはいかんわけですよね。元々、新しい道路をつくるときに3車線にして、1車線は自動物流にしようみたいな議論もあったぐらいなんですけども。一部それができるようになってるとは思うんですけど、それがないと難しいんですよ。ここの車線を全部物流だけ、ってやったら随分楽にオペレーションができる。だからスイスとかイギリスでは専用のそういうのをつくろうとしているわけで」
寺島アナ「地下だとかね? 鉄道脇とかに」
藤井氏「だから結局、スイス・イギリスではちゃんと道路の新しい投資を物流時代に向けてやるわけですから、それをやらない限りはうまくいかないでしょうね。ある程度は導入できるでしょうけど、大してうまくいかないですよ」
寺島アナ「そうですかぁ」
藤井氏「結局、IT技術だけやったところで、下部構造のインフラをちゃんとやらんことにはダメだということになると思いますね、僕は」
寺島アナ「『2024年問題』の影響などで、30年度には輸送能力が34%不足する恐れがあるという試算が出ているわけですね。これをなんとかしようということで、国交省によると貨物1件あたりの貨物量は直近の20年で半減する一方で、物流件数が1.5倍ほどになってると」
藤井氏「そうそう。いわばコンビニの『ジャストインタイム輸送』っていうのがあるんですけど、あれがダメなんですよ。宅急便だとかAmazonも増えとるし、もう過剰サービスを要求しすぎなんですよ」
寺島アナ「まぁね、利用する側はとても便利だとは思いますが……」
藤井氏「そうそう、過剰要求なんですよ」
寺島アナ「藤井さんご指摘の通り、物流の小口化、あと多頻度化。まぁ何度も何度も小っちゃい物を運ばなきゃいけないという、これが同時並行で進んじゃってると」
藤井氏「送り手側も受け手側も図に乗りまくってるんですよ」
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