2025年中小企業の経営者は7割が70代!?「事業承継は今」

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。

2024年2月12日の放送では、一般社団法人ベンチャー型事業承継 事業戦略統括兼九州エリア責任者・山岸勇太さんと、株式会社グリーンエルム代表取締役社長・西野文貴さんにお越しいただき「事業承継は今」をテーマにトークを展開しました。

入山：跡継ぎの実情や現状について山岸さん、いかがですか？

山岸：事業承継ですと「2025年問題」というのがあります。2025年になると、70％以上の中小企業の経営者が70歳以上を迎えて高齢化して、いよいよ経営者不足、後継者不足となります。

入山：これ、来年ですね！日本の中小企業の経営者の7割が70歳以上だと！

山岸：そのうち、後継者未定の会社が半分なので、日本の事業承継における課題のど真ん中ですね。

入山：後継者がいないところは、廃業なのか、M&Aなのか、どういう形で解決すべきですか？

山岸：中小企業の後継者のいない会社が半分なのですが、例えば、同族承継する人がいないケースは、そもそも事業承継を切り出していないという所もたくさんあると思っています。一方で、ここには、我々は打てる手段は沢山あるとも思っています。

入山：例えば、古い考えのところだと、息子なら跡を継いでいいけど、娘はかわいいから辛い経営は継がせられない。お嫁に行ってほしいとか…

山岸：めちゃめちゃありますよね、それ。

入山：その辺の意識を変えられれば、チャンスはありますね。

山岸：仰る通り、我々の中でもアトツギファーストという39歳以下の跡継ぎが勉強するコミュニティを運営していて、国内450人の人たちと勉強をしています。その中で、「娘さんが家業を継ぎたいけど、親に反対されていて」とか、「お嫁さんが継ぎたい」という人がいたり…

入山：おおお！そういう時はどんなアドバイスを？

山岸：悩みを持つ後継者のメンター（指導者）として、国内で事業承継した40代の先輩経営者110名にご協力いただいて、「自分の時はこうやって説得した」という選択肢をお伝えしています。

入山：そうか、そんなの教科書載ってないもんね。西野さんは、2025年問題の現状をどうお考えですか？

西野：跡継ぎがいないなら、それが第一次産業なのか、第二次産業なのか深堀しないとと考えています。100年前は第一次産業が7割を占めていたのに、いま逆転しているので、そうした社会背景の中でどう打破するのか？当事者だけではなく、皆で解決できないといけないのではないでしょうか。

入山：西野さんご自身は、事業承継をされるときはどの辺が難しいと感じましたか？

西野：僕がやっているのは第一次産業に近くて、苗木を生産して販売する。高付加価値はつけられないうえに、いわゆる昔の３K。これは厳しいなと思いましたが、そこと向き合えたのは、「親父がやっていたから自分もやらなきゃ」という使命感が芽生えました。その向き合うきっかけがないと、すれ違いが起こるんじゃないですかね。

入山：お父さんのやってきたことと向き合わないと、うまくいかないと！

西野：一回お互い膝を付け合わせて、話し合う。お互いが持っている強みと弱みをノートに書きだすとか、それで打破できるなら「やってみたい」という気持ちがわいてくると思うんです。

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本日のお客様
山岸 勇太さん
大学卒業後、NTT西日本に入社。サービス企画・開発に従事された後、2013年福岡県庁に入庁。福岡・九州発のスタートアップエコシステムの構築に従事。2022年4月より一般社団法人ベンチャー型事業承継に参画し、中小企業庁「アトツギ甲子園」をはじめ全国のアトツギコミュニティを支援している。

西野 文貴さん
大学卒業後、鎮守の森のプロジェクト技術部会部会員を務め、2014年、グリーンエルムに入社。その後、きながら大学院に通われ、林学博士を取得。家業であるグリーンエルムにて複合的な「森づくりビジネス」を展開しながら、国内外含めて数千か所の森林の実地調査を行い、ヨルダン、インド、中国などで森づくりの指導を行っている。

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