能登半島地震 七尾市・内灘町 取材後記
文化放送と全国32局の制作協力で、月曜日から金曜日の午後5時からお送りしている「ニュースパレード」
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。
1月1日午後4時過ぎに最大震度7を観測した「能登半島地震」
石川県の発表によりますと、1月14日現在亡くなった方は221人、安否不明者は24人にのぼっています。
1月7日から10日にかけて、七尾市や内灘町、金沢市などを取材させていただきました。
ほぼ全域で断水が続く「七尾市」
一本杉通りでは薬局が傾き、瓦屋根の古い家屋は倒壊していました。
ほとんどの被災者は「水が出ないことが一番困る。トイレも使えない、お風呂にも入れない」と話していました。
七尾市役所には全国から物資が届いており、水やおでんの配給もしていました。
取材した7日の時点では、市役所の担当者は「物が集まっているけれど、道路はいたるところで隆起や陥没が起きている。道路状況が悪く、届けきれていない。トイレの問題が一番大きい。断水は復旧の見通しがつかない。衛生面が緊急の課題。ガソリンや暖を取るための燃料、灯油も必要」
「被災して家が壊れ、みなさんブルーシートを求めている。物資で頂いてもすぐに切れてしまう状況」などと話してくれました。
七尾市の避難所「矢田郷コミュニティセンター」の飯田伸一さんは
「食や支援物資はある程度整ってきて、次はお風呂に入りたい、シャワーを浴びたいという声があがってきた。一番の問題はトイレを使えないこと。仮設トイレをいち早く18基設置。バキュームで吸い取りをしても処理場がない。金沢、加賀までピストンで運ぶ体制を作って回っている。次のフェーズは住宅」と七尾市が民間の賃貸住宅を借り上げ、応急仮設住宅として提供する「賃貸住宅型応急住宅」などの案内を見せて下さいました。
和倉温泉も道路は隆起しアスファルトはめくれ上がり、建物の壁は崩れ、窓ガラスは割れ、巨大な石も倒れていました。
和倉温泉のホテル・旅館は全館休業。
「ホテル海望」のさかもとさんは「玄関も地盤が緩んで建物自体が傾いている。根本から直さないとお客様をお迎えはできない。復旧のめどは半年、1年か、なんとも申し上げられない。この地域、全員が経験したことのない災害。でも輪島市や珠洲市の方はもっともっとご苦労している」と話して下さいました。
一方、金沢市の北隣に位置する内灘町。西荒屋地区は液状化現象で甚大な被害に見舞われ、断水も続いていました。
アスファルトは大きく割れて盛り上がり、ビルは1mほど沈み込んでいました。
家の中に入らせていただくと、居間の床はハの字に盛り上がり壁と天井も分断されていたり、玄関が完全につぶれているお宅もありました。
水もトイレも使えない、もう住めないと、アパートの契約や仮契約をしてきたというご家族もおられました。
「傾いた家でも電気は来てるし、ここで暮らしていく、動きたくない」という高齢の女性もいれば、「とりあえすアパートに行くしかないが、地元がきれいに直ってくれるのが一番の願い。そうしないと西荒屋の街はなくなる」と話す男性も…。
避難所の内灘町サイクリングターミナルに行くと、避難している高齢者の方からは
「川みたいに山から水がどーっと流れてきた。畳がふわーっと上がってきた。噴水状態。出ようと思ってもドアが開かない。たまたま開いてた隙間から外に出た。いつも揺れてる感じ。これからどうしたらいいのか…高齢だからローンも組めないし、家を建てられない。仮設に入ったとしても死ぬまではいられない。次のことを行政に決めて示してほしい。そうしたら前向きになれる」と話していました。
内灘町の西荒屋地区は砂地の緩い地盤にあり、断水が解消する見込みは立っていないということでした。
復旧には、まだまだ長い時間がかかりそうです。
引き続き「ニュースパレード」では能登半島地震の影響等をお伝えしてまいります。
気象予報士 防災士 気象庁担当記者
伊藤佳子