箱根駅伝で「強い鉄紺の再建」を~東洋大学~
本戦まであと13日と迫った12月20日、東洋大学の共同会見がオンラインで行われた。
2009年の第85回大会で初優勝して以来、箱根駅伝では11年連続3位以内という好成績を残した東洋大学。前回は10位とギリギリながらシード権を死守、現在継続中のチームとしては最長となる、18年連続で箱根駅伝のシード権を守っている。
監督就任15年目に入った酒井俊幸監督は「出雲・全日本と苦しい駅伝が続いているが、箱根駅伝へは戻ってきたメンバーも含め調子が上がっている。学生からは3位と力強い目標を打ち出しているのでそこに近づけるように、そして最低限、連続シード権の更新と、強い東洋大学を戻せるような走りを今大会では目指したい」と抱負を話した。
11日の記者発表会でチームに対する厳しい言及があった酒井監督。その真意について「トレーニング自体は比較的計画通りできていた。ただそれを支える生活の裏側に関して、去年は大会が終わってみて改めて崩れているところがいろいろわかってきた。あとチームが本来まとまって臨むのが箱根駅伝だが、そういう絆というところで結束できなかったのが、前回10位というところに出てしまった」と話した。
「本来は11年連続3位以内もキープしてきたチームだし、そういう部分はしっかりできていたチーム。凡事徹底をしっかりやっていこうと。そのチームのカラーが崩れれば10位になるんだと、反面教師として非常にわかった1年になった」と振り返った酒井監督。苦い経験を無駄にしない決意は強い。
19年連続でのシード権獲得、更にその上を狙う東洋大に、心強い存在が帰ってきた。4年生の松山和希である。1年時・2年時とともに2区を走り、それぞれ区間4位・5位と好走。しか3年時の昨シーズンは左脚の故障に苦しみ、箱根路を走ることは叶わなかった。
そんな苦しい時を松山は「やはりモチベーションを保つのが非常に難しかった。ケガがなかなか治らなかくて気持ちが沈むことが多かった」と振り返るが、家族の励ましが大きな支えになった松山。「両親からは毎年大きな大会で必ず連絡をもらい、それが非常にありがたかった。どん底を味わった時も、父や母から『どん底はもう味わったことがあるんだから、這い上がり方も知っているだろう』と励まされる」と話す。
苦しい時を経て復活した松山は「今シーズンはかなり物事をポジティブに捉えるようになってきていると感じるし、行動一つ一つに必ず意味があると思えるようになってきた」と、穏やかな表情で話した。
共同会見中、酒井監督や選手たちから何度も「本来の位置」「本来の場所」ということばが聞かれた。酒井監督は「本来の位置とは?」という問いに、こう答えている。
「箱根駅伝を指導して今回が15回目になるが、これまで先頭争いを演じてきた大会の方が回数的には多い。ただ相澤晃が卒業以降、先頭争いをするシーンがしばらくできていない。
今シーズン先頭争いができるかという点に関しては非常に厳しいと思っているが、やはりそういう位置に戻れるきっかけになるような『鉄紺の再建』になるための走りを、100回大会であるこの大会で目指していきたい。
シード権確保は最低限の目標であり、やらなくてはいけない最低限の走り。やはり3位以内にはこだわってきた。下馬評はだいぶ低いが、諦めないで走るのが東洋大学の真骨頂だと思うので、そこを目指していきたい」。
総合3位以内&19年連続シード権獲得、そして「強い鉄紺の再建」へ。チームの思いは熱く、強い。
取材:文化放送 高橋 将市
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Information
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『文化放送新春スポーツスペシャル 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継』
1月2日(火)・3日(水) 7:30~14:30 *全国33局ネット(放送時間は異なる場合があります)
▼1月2日(火) 往路
解説:大志田秀次(中央大学OB、東京国際大学前監督、Honda陸上競技部エグゼクティブアドバイザー)
プレーヤーズ解説:近藤幸太郎(青山学院大学OB、SGホールディングス陸上競技部)
総合実況:斉藤一美アナウンサー
▼1月3日(水) 復路
解説:大志田秀次(中央大学OB、東京国際大学前監督、Honda陸上競技部エグゼクティブアドバイザー)
解説:柏原竜二(東洋大学OB、二代目山の神、「箱根駅伝への道」ナビゲーター)
総合実況:寺島啓太アナウンサー
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この記事の番組情報
文化放送新春スポーツスペシャル 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継
2024年1月2日(月)・3日(火) 7時30分~14時30分
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