「日体大の救世主」ついに箱根駅伝デビューへ

「日体大の救世主」ついに箱根駅伝デビューへ

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76回連続76回目の箱根駅伝出場を果たす伝統校・日本体育大学が12月14日、健志台キャンパスで共同記者会見を開いた。注目の選手を紹介する。

 

「ピアノの先生だった母が作曲家・滝廉太郎から名前をつけてくれた」という山口廉(3年)は入部後、一身上の都合で全く走っていなかったが、大1の12月に玉城良二監督から「戻ってこないか?」と声をかけられ翌春、新1年生が入るタイミングでチームに合流した。ブランクがあったので、昨季は短いサイクルで故障と復帰を繰り返し「卒業までにちゃんと走れるのか不安でいっぱい」だったそうで、特に去年の今頃は気持ちも落ち込んでいたが、箱根駅伝に出ようとしているエントリーメンバーの姿を見て発奮。今までの一年間、大きな故障はない。

山口は5月の関東インカレ一部ハーフマラソンで入賞を果たす。明治・杉、中央・湯浅、東海・越がいる中に交じる自分は「無名のランナー」と思いつつ「この日に合わせてしっかり春先から走り込んできた。勝てる」と自信を持ってスタートから先頭集団へついていった。15キロ手前で離されたがひたすら粘った。最後に順天堂・石井、東洋・村上と競り合って勝てた。「今季、こういう展開になると箱根の予選会を含めてまず負けることはない。キツいところからもう一回頑張れるからいつでもスパートできる」と山口は自らの強みを誇った。

「地面の反発を使った走り方に自信がある」山口廉(後列中央)

玉城良二監督は「まだまだ本物になりきれていない」と山口に辛口の評価を与えながらも「人生は色々ある。休んでいる者にもチャンスを与えていいはず。よくここまで来たと思う」と優しい眼差しを向けている。山口の台頭はチームにとって大きいことを認めつつ「ロードへの適性は確かに高い。素材は良いのでパッとやるとスッと走れてしまう。いいエンジンを活かすための車体をようやく作り上げたので、本当にこれからの選手。箱根で山口は試される」と語り、重要区間への起用をほのめかした。「ここまで味わった辛さは彼が頑張るための力になっているはず」と玉城監督は頷きながら、自ら集めたスカウト一期生世代へ期待を寄せていた。

「入学する際、5千メートルのタイムは同期で上から二番目だった。その頃に決意した”日体大の救世主になる”という想いを持ちながら練習してきたこの一年間は、僕のプラン通りになっている」こんな熱を帯びた言葉とは裏腹な山口の冷静な表情を前にしてから…彼が花の2区を走ったらどうなるのだろう…と私は夢想している。

(文化放送アナウンサー・斉藤一美)

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