「実はけっこう勝てるんです」ジャーナリストが明かす“のり弁”公文書の黒塗りをハズす『審査請求』とは?

「実はけっこう勝てるんです」ジャーナリストが明かす“のり弁”公文書の黒塗りをハズす『審査請求』とは?

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ちくま新書から著書『情報公開が社会を変える ――調査報道記者の公文書道』が発売中の、ジャーナリスト・日野行介さんが12月22日の大竹まことゴールデンラジオに出演。本のタイトルにも使っている『公文書道』について伺った。

大竹「今回のご本は『情報公開が社会を変える ――調査報道記者の公文書道』。『公文書道』とは日野さんが名付けたんですか?」

日野「そうです。情報公開請求という、役所に公文書を出せと迫ることの実践を通じて、社会を良くして行く、開いていくということを、私は『公文書道』と名付けています。」

大竹「新聞記者とか、そういう方々は一生懸命公文書に何が書いてあるのか追求していますが、出てきた文書が黒塗りになってたりしますね。あれは公文書を請求した時に、黒く塗られて出てくるわけですが、どういう意味なんですか?」

日野「一応、情報公開請求に対して『不開示理由』っていう、黒塗りできる理由がいくつかあるんですが、多くの皆さんは個人情報とかは黒塗りしなきゃだめだろうと思いますよね。」

大竹「そりゃそう思いますよね。」

室井「でもあんなに真っ黒になるっておかしいよ。」

日野「そうなんです。本当に問題になるのは個人情報じゃないんですよ。検討情報っていうんですけど、『これは検討中だから今は出せません』とか『これを出すと相手先との信頼関係に関わるから支障があります』っていうのを理由にこじつけて、黒塗りを広く取るわけです。」

大竹「相手先っていうのは各省庁っていう意味ですか?」

日野「省庁間っていうこともあります。例えば、ある省と地方自治体との会議だったり。私は会議の調査資料を主に情報公開請求するので、議事録なんか真っ黒になって帰ってくるってことが結構ありますね。」

室井「大物が関わったりとかするとさ、そうなるよね。」

日野「それが大物だけじゃないんですよ。」

大竹「え、どうして?」

日野「これは、そもそもその政策自体が、嘘をついて進められているからってことが多いからだと思います。でも会議の中では、嘘を前提にして話を進められないので、どこかで本音がぽろぽろ入ってるわけです。その本音が明らかになってしまったら、国民から『この政策は表向き言ってるスローガンとか全部嘘じゃないか』と突っ込まれかねないから、議事録を全部黒塗りにしてしまおうという力学が働いてるんだと思います。」

大竹「調べれば、誰が何を言ったのか、この政策がどうやって決まったのかも分かる。それが、闇に葬られたり、のり弁だったり、いろんな形で出ている。そういう、のり弁にしちゃいけないとか、いいとかっていう規定はどっかにあるんですか?」

日野「それは先ほど言った個人情報とか検討情報とかあるんですけど、問題は、その情報がどうとでも読めるんですよ。『これは検討中ってことにできるなあ』とか『これは相手との信頼関係に支障が出るっていうふうに読めるなあ』とか、役人の側からするとこじつけやすいわけです。じゃあ黒塗りにしてしまおうという形で簡単に黒塗りにできちゃうわけですね。それに対して請求した人は『また黒塗りだ、しょうがない』って諦めてしまうと、役所の側は『やった!しめた!諦めてくれた』って考える。でも実は諦めなくていいんですよ。」

大竹「どういうことですか?」

日野「審査請求という手続きがあって、役所に対して『この黒塗りはおかしいから、ちゃんと黒塗りを解いて、もう一回開示してください』って申し立てることができるんですよ。で、実は結構な確率で勝てるんですよ。」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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