「実はロシアに経済制裁している国は少数派なんです」…“新しい戦前”と呼ばれる今を読み解く

「実はロシアに経済制裁している国は少数派なんです」…“新しい戦前”と呼ばれる今を読み解く

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朝日新書から発売中の『新しい戦前 この国の"いま"を読み解く』を、内田樹さんと共著した、思想史家・政治学者の白井聡さんが11月24日の大竹まことゴールデンラジオに出演。「新しい戦前」ともいわれる現代の問題点を指摘した。

大竹「今回の本のタイトルは『新しい戦前』。これは徹子の部屋の中でタモリさん言った言葉ですが、どんな思いがありますか?」

白井「新しい戦前という言葉が出てきて、日本でも話題になったんですけれども、世界を見渡すと戦前じゃなくて戦中になってるところがぼつぼつ出て来ちゃってます。なんといっても、まずはウクライナとロシアの紛争ですけれども、あの戦争もいろんな面があります。ロシアとウクライナのいわゆるスラブ民族同士のいさかいという面だけではなく、ロシア対NATOでもある。NATOの中心にはアメリカがいるわけで、アメリカ・NATOのある種の代理としてウクライナが戦っている側面があるわけです。」

室井「武器とかガンガン新しいの入れたりしてるもんね。」

白井「あの武器供給がなければ、ウクライナは戦争の継続を全くできないわけですから。さらに、その構図が拡大して、中国がロシアよりの中立という立場をとってるわけですよね。それで世界中を見渡すと、ロシアに対して経済制裁をかけている国が、どのぐらいあるのかというと、実は少数派なんです。」

室井「そうなんだ。」

白井「ヨーロッパのほとんどの国々は経済制裁をかけています。それから北米の2カ国、アメリカ・カナダ。それからオセアニアの主要2カ国、オーストラリア・ニュージーランド。アジアでは、日本、韓国、台湾、シンガポール、だけなんですよ。つまり、例えば中南米だとか、アフリカだとか、中東だとか、そういったところの地域の国々では、口先の批判ぐらいはしても、ロシアに対する経済制裁なんかには全く同調してないんですよね。アメリカの理屈はこうです。ロシアのやってることは極めて帝国主義的で、「ウクライナは俺のシマなんだからヨーロッパだのアメリカだの入ってくるのはけしからん。だからシマを移るんだったら、こうしてやる」と言うような理屈で(戦争を)やっててけしからんから、みんなで経済封鎖しましょうって言ってるわけだけど、中南米の国からすれば、アメリカはどの口で言うんですか、と。中南米はアメリカにとってまさにシマであり、自分たちの影響圏に置いて、そこから逃れようとすると、さまざまな内政干渉をやったり、クーデターを仕掛けたり、直接的な派兵もやって、自分たちの“庭”にしてきたわけですよね。あるいは、ヨーロッパとアフリカとの関係なんかもそうです。だから欧米諸国がロシアに対してみんなで拳を振り上げようと言っても、みんな聞かない状況になっている。グローバルサウスっていう言葉が人口に膾炙するようになってきましたけれど、だんだんロシア対グローバルサウスっていう構図になってきたんですよね。私が、今年からの世界を読み解く際のキーワードを提案するならば、『グローバル南北戦争』という事じゃないのかなと。要するに、ロシア・ウクライナ紛争で鮮やかに見えてる構図は、制裁をかけてるのは先進国なんですよ。で、途上国はそれに全然乗ってない。」

室井「巻き込まれたらやだと思っちゃうね。こっちは使うだけ使われてきたのに。」

白井「そういう記憶もありますしね。早い話が、富める国が貧しい国に対して、自分たちの意志を押し付ける力っていうのがだんだん失われてきた。あるいは力の格差が縮まったので、もう意思を押し付けられなくなってきた。そういう状況が、あのウクライナ紛争によって明らかになってきているんです。」

大竹「そうだなと思うんですけども、西側諸国と日本・アメリカが今やってることは、人道的な立場からなのでは?」

白井「いや、私は大変微妙な話だと思いますね。」

白井聡さんによるこの後の解説が気になる方はradikoのタイムフリー機能でご確認ください。

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