新たな経済対策「減税」は本当にあるのか?
10月3日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、政府・与党が検討している「新たな経済対策」について意見を交わした。
消費減税はカルト的な意見じゃない
日本銀行が10月2日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標となる大企業・製造業の業況判断指数が、前回6月調査から4ポイント改善。改善は2四半期連続。
「景気の動向について、田中さんどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「総じて業績は改善していて、良い数字ですよね。ただ個人的に不安なのは、これを基にして日本銀行は先行きの日本経済にかなり楽観的で、“将来的に経済状況は好転する”という確信を強めているんじゃないか?と懸念しています。昨日発表された日銀の金融政策決定会合の主な意見が話題になってるんですよ。そこには短観の良い数字を基にして、来年の1~3月くらいに好循環が確定する形を受けて日銀の金融緩和、たとえばマイナス金利やYCCの事実上の撤廃。あるいは利上げを匂わす発言が主な意見で出ている。それがかなり楽観的だと思うんです」(田中氏)
田中さんは、状況証拠から逆算して、近いうちに日銀に動きがあると予想する。
「デフレをもたらした昔の日銀に好意的なマスコミの人に限って、この楽観的な見通しに注目してわざわざ教えてくれてるんですよ。“主な意見”は匿名性ですけど、昔の日銀に好意的なマスコミの人が注目するってことは、ひょっとしたら日銀の執行部、総裁や副総裁が話した意見かもしれません。前回もそこからYCCの形骸化が始まったんです。そうなると来年、早ければ10月くらいから、日銀で何らかのアクションがあってもおかしくないと思います」(田中氏)
自民党の森山総務会長は講演先で、新たな経済対策について減税が検討されていることを踏まえ、「税に関することは国民の審判を仰がなければならない」と述べた。衆議院解散の大義になりうる、という考えを示した発言と見られている。
経済対策の指示にあたって岸田首相は、「成長の成果である税収増を、国民に適切に還元すべきだ」と強調して、税や社会保障負担の軽減に取り組むとした。
「新たな経済対策で“減税”が検討されている動き、田中さんはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「選挙する理由に“減税”や“社会保険料負担の軽減”を掲げて選挙を戦うのであれば早くやってほしいし、正直言って選挙の結果によるんじゃなくて前倒しでやってほしいですけどね。今は消費が停滞してますから消費減税を訴えるのであれば、党内に反対勢力もいますし財務省とかも反対しますから、それを黙らせるために選挙のテーマにするのはありえるでしょうね」(田中氏)
今月中に経済政策をまとめる方針で、賃上げや国内投資に積極的な企業への減税処置、低所得者向けの給付措置を検討している、と伝わってきている。
与党内には、物価高対策として所得税減税を求める声も上がっている。
「企業だけじゃなくて、田中さんのご指摘の通り、直接私たちにも……っていう気持ちですよね?」(寺島アナ)
「自民党の政治家にも限界がありますよね。党内から出てくるのはなんで“所得税減税”なんですかね? 可処分所得が増えたとしても貯蓄に回ったらあまり意味がないんですよ。消費にまわすためには消費減税の方が効果があるんですけど、与党の人たちは“消費減税”っていうと粛清でもされちゃうんですか? 消費減税は現実性が無いようにマスコミをあげて取り上げて、消費減税がカルト的な意見のように取り上げられちゃうのが非常に不本意です」(田中氏)
「消費減税、諸外国は簡単にやりますよね?」(寺島アナ)
「日本の場合は、憲法を変えるより難しい感じですよね。憲法改正は口にすることできますけど、消費減税は与党の人たちあまり口にしない。めちゃくちゃおかしいですよね?」(田中氏)
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