【お天気気象転結】逆境に立ち向かい続けた最後の姿
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「佳子・純子のお天気気象転結」。気象予報士の伊藤佳子記者・鈴木純子アナウンサーが、毎日にちょっと役立つお天気情報をお届けしています! この記事では全文をご紹介。
▼9月29日配信号 担当
鈴木純子
今日は中秋の名月、十五夜です。
中秋の名月は旧暦8月15日の夜に見える月のことを指し、中秋の名月を愛でる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。
日本では農業の行事と結びついて「芋名月」などと呼ばれています。
今年は満月と中秋の名月が重なっていますが、来年以降、満月と中秋の名月がずれてしまい、次回重なるのは2030年なので、今年はじっくりと楽しみたいですね。
さて先週、中秋の名月のように光輝いた野球選手の引退試合を観戦しました。
元埼玉西武ライオンズ、北海道日本ハムファイターズの木村文紀選手です。
引退試合が昨日9月20日(水)古巣のベルーナドームで行われました。
私は2019年からライオンズナイタースタジオ担当になり、最初にファンになったのが木村選手。ひたすら努力する姿と、ドラマを生むバッティングと守備に魅了されました。
引退を知り、思わず文化放送スポーツのディレクター黒川麻希ちゃんにLINEしたところ、「純子さん、引退試合、観に行ってはいかがですか?」と返信が。
急だし無理。と思ったのですが、家族に話すと「行ってくればいいよー」と送り出してくれたので、夕方のニュースパレード終わりで駆け付けることにしました。
久々のベルーナドーム+方向音痴。緊張感いっぱいでライオンズナイターを聴きながら電車に乗っていると、すでにドームで観戦している先輩から「西武球場前駅に着く時間を知らせてくれれば改札に迎えに行く」と。
もうこの時点で涙が。スタメンで4番!の木村選手は途中交代の可能性大。
第1打席はライトフライとのことで、観られる可能性があるのは第2打席。
サクサク試合が進み、ドキドキしながらも到着。
うわーん。お迎えありがとうございます!!!1ミリも迷わず球場に入り席までいくと、えのきどいちろうさんはじめ皆がよく間に合ったと出迎えてくれました。席に着くとちょうど木村選手がバッターボックスへ。
初球狙いかなと思ったらホントに初球をレフトにツーベース。
一塁を迷いなく駆け抜ける木村選手にドキドキしたけれど余裕で二塁セーフ。このあと三塁まで進塁してホームに帰ってくるかと思いましたがスリーアウト、目の前で最後の勇姿を堪能できました。
その後レフトの守備につくようにいったんレフトへ向かったあと、交代。
ライオンズの選手が全員出てきてご挨拶。日ハムの選手もお疲れ様と。
新庄監督も大きく手を広げて出迎えてくれました。
このシーンは試合中の出来事です。
これが、今季一軍には1度も合流できず、でも一軍目指してバットを振り続けた木村文紀選手の最後です。
試合終了後の胴上げや、ご家族からの花束贈呈。涙で木村選手がかすみました。
「観に行って良かった!」
力を貸してくださった、見守ってくださったすべての皆さまに感謝です。
そしてさらに感激したのが、この日の文化放送ライオンズナイター。
イニング間に2013年5月28日横浜スタジアムでの木村選手プロ初ホームランの実況音声を流してくれました。
実況は松島茂アナウンサー。そしてこの日の試合はライオンズ勝利だったのに最後に木村選手の現役最後のツーベースヒットの実況で締めくくってくれました。
この感動の一日は、黒川麻希ディレクターが背中を押してくれたことからすべてが始まりました。「引退試合、観に行ってはいかがですか?」というLINEのあとに、実はこう続いていました。
「逆境に立ち向かい続けた最後の姿、観ておいてはいかがでしょう?」
こんな素敵なスタッフが文化放送のスポーツ番組を担っています。
これからも熱いスポーツの番組をお届けしてまいります。
スポーツの秋、どうぞ存分にお楽しみください。
気象予報士 鈴木純子