【お天気気象転結】暑さ寒さも彼岸まで
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「佳子・純子のお天気気象転結」。気象予報士の伊藤佳子記者・鈴木純子アナウンサーが、毎日にちょっと役立つお天気情報をお届けしています! この記事では全文をご紹介。
▼9月22日配信号 担当
伊藤佳子
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、真夏日の続く今週初めから、彼岸花が咲き始めました。
東京の真夏日日数は、これまでの記録71日を大きく更新して9月20日現在で88日。1年の約4分の1が真夏日ということになります。
観測史上もっとも暑い夏は、暑い秋に続き、大雨災害も頻発させています。
先週は、9月8日に広く浸水被害に見舞われた千葉県茂原市を取材させていただきました。
建物の前には濡れて使えなくなった家具や家電が出されていました。
19日の被害集計で、茂原市の浸水被害はおよそ1900棟に及んでいます。
台風13号の影響で線状降水帯が発生し、12時間で371.5ミリという、9月の平年1ヵ月分のおよそ1.6倍の雨量を観測。
茂原市を流れる一宮川(いちのみやがわ)が氾濫する前に、8日朝には既に内水氾濫で冠水していたということでした。
▲氾濫した一宮川
実は、この地域はこれまで4回ほど浸水被害に遭っていて、今回が5回目。
川の幅を広げる工事など対策は進められていましたが、これほどの大雨には対応できなかったようです。
被災された割烹料理店では「床上1m 20㎝。椅子、冷蔵庫、カーペット全てダメに。何千枚という食器を消毒液につけている。乾くと泥が浮いて出てくるから何度も洗い直す。4年前の洪水から立ち直ったらコロナ。コロナ解除と思ったらまた洪水。心が折れますよ。大変です」と。
また歯科医院からは「前回は床上1m80cm、今回は1m20cm。前回だいぶ報道されて、県や国も動いてくれたと思う……もっと報道してほしい」という声も聞かれました。
今年は特に全国で大雨被害が頻発していて、一つの被災地としての報道が減っているのは事実かもしれません。今週「地球温暖化がさらに進むと線状降水帯などの極端な大雨はさらに増える」という研究結果も発表されました。
高齢になったら浸水の片付けもできないかも……と話す被災者もいました。
「温暖化」と「高齢化」は、ますます進むとみられます。
敬老の日、川崎の「フロンタウンさぎぬま」で行われた「健康長寿フェスタ」では、厳しい残暑の中、「まだ72歳」と話す男性や80代の女性らがポールウォーキングにチャレンジ。
取材している私にも「ご一緒にやりませんか?」と声をかけてくださいました。
はい! 彼岸過ぎて涼しくなったら足腰鍛えます!! 私もいつまでも自分の足で歩きたい……。
気象予報士 防災士 気象庁担当記者 伊藤佳子