千葉県茂原市 浸水被害現場を取材すると…

文化放送と全国32局の制作協力で、月曜日から金曜日の午後5時からお送りしている「ニュースパレード」
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。

9月8日、台風13号などの影響で千葉県・茨城県・福島県を中心に発生した大雨災害。
気象庁は「線状降水帯」が発生したとして「顕著な大雨に関する情報」を合わせて7回発表、
1時間に100ミリ～120ミリの猛烈な雨が降ったとして「記録的短時間大雨情報」を千葉県で11回、茨城県で8回、福島県で3回発表しました。
茂原市では12時間雨量が観測史上最も多い371.5ミリに達しました。平年9月1か月分のおよそ1.5倍の雨量です。
その茂原市に11日取材に行かせていただきました。
浸水した八千代中央通り付近は、泥水に浸かり使えなくなった家具や畳、洗濯機などの家電が店や家の前に出されていました。


市内を流れる一宮川（いちのみやがわ）や支流の豊田川（とよたがわ）の氾濫などで、広く一帯が冠水し、床上1m20cmなどの浸水被害に遭いました。


これまでも4回ほど浸水被害が起きている場所で、一宮川では川幅を広げる工事なども行われていたということですが、記録的な雨量には対応できなかったとみられます。
住民によると、川の氾濫前に内水氾濫で既に道路は一時冠水していたということです。
千葉県が15日発表した被害集計によりますと、茂原市の床上浸水は445棟、床下浸水も343棟にのぼっています。

4年前には床上1m80cm、今回1m20cm浸水したという山田歯科医院の山田千晴院長は
「ここは水害の街。これまでも経験しているので機械や材料は2階にあげてあった」と備えておいたものの
「ここにきて43年で5回目の浸水被害。ここから離れたくないが、高齢になったら片付けは厳しい。川さえなんとかしてくれれば…」
と浸水当時の写真を見せて下さいました。

割烹料理店「かたおか」では、水に浸かった店の椅子を外に出し、何千枚という皿を消毒するなど、片付け作業に追われていました。



食器は消毒液につけて一旦きれいになっても、乾くとまた泥が浮いてくるそうで、何度も消毒し洗い直す作業が続くそうです。
店の階段まで浸水したので、壁紙などの張り替えをしたり、庭の小さな砂利石も洗って干し、敷き直すそうです。
「割烹かたおか」の片岡雅代さんは
「４年前洪水があって、その後コロナ。飲食店なのでなんとかがんばって、やっとコロナ解除と思ったらまた洪水…心が折れますよね。大変です」と。


ヘアカット専門店の店主は
「店舗設備が全部浸水。地域一番のお店を…と半年前に開業した。少しづつお客さんも付いてきてくれたところで…心が折れそう。
自宅も床上浸水、管理会社が取り壊すから退去してくれと…平常心を装ってないとメンタル状態が崩壊しそう。笑ってないと涙が出てきてしまうかも」と話していました。

整体院の院長は
「床上1m浸水で医療器械がダメになった…車１台買えるぐらいの値段。ものの損害もあるけどメンタル的に大きい。ひと月半で復旧できれば…」
と、ホースでお店の壁を洗う作業をされていました。
こちらも何度も洗わないと、乾くと泥が浮いてくるそうです。

また「これから罹災証明書や保険の申請手続き…高齢者にはかなりの負担になる。公的なものだけでももっと簡略化してほしい」という声も聞かれました。

災害ボランティア活動は13日から始まっています。
詳しくは茂原市社会福祉協議会、
災害ボランティアセンターのHPをご覧ください。

気象予報士・防災士　気象庁担当記者　伊藤佳子