村上信五くんと経済クン「山と経済」
毎週土曜朝9時~放送している「村上信五くんと経済クン」。
8月19日(土)の講義は、「山と経済」。
山が好きすぎて山のことだけの仕事をこなす会社を作ってしまった、株式会社山屋・代表の秋本真宏(あきもと・まさひろ)さんを講師にお迎えしてお話を伺いました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【株式会社 山屋とは?】
一言で言うと「山のなんでも屋」。山の中での調査や作業、運搬の仕事を主にしている。土砂崩れが起きたり電線が切れてしまったりした時は、ケーブルを運んだり現地の状況を見に行ったりする。スタッフは70名ほどいる。もともとは登山が好きでやっていたが、ガイドだけでなく、もっと困っている人を助けたい、レジャー以外の仕事をしたい、という気持ちで仲間たちと立ち上げた。ロケ撮影の立ち合いなども行い、カレーを作ったりコーヒーを淹れたりもする。まさに「山のなんでも屋」。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【仕事はどのように取る?】
営業活動はしていない。山を登っていると、困っている人に出会う。「その仕事も僕たちにさせてもらえませんか」と声をかけて、仕事を振ってもらうことが多い。リアルに足で仕事を取りにいっている。そのため思いがけない仕事が多く、3メートル以上ある新しい避雷針を担ぎ上げたりしたこともある。また静岡県のプロジェクトで「富士山を3Dでスキャンする」というのもあり、スキャンする機械を担いでチームでのべ20回以上富士山のあらゆる登山道を登った。他にも、新しく登山道を開墾するという仕事では、30日間ほど、誰にも合わずひたすら道を開き続けた。まったく雑念がなく、山と一体化できる幸せな時間だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【単価は?】
山岳ガイドの基準価格が、雪のない時期で3万5000円~4万5000円。そこを基準にして、危険度や道がある、ない、また業務内容などを加味して見積もっている。シーズンとしては春と秋が仕事が多い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【「株式会社 山屋」を作ったきっかけは?】
17歳の時に友達のお父さんに誘われて木曽駒ヶ岳に登ったのがきっかけで、山に惚れ込んだ。五感がフルに刺激されるような感覚で、「ここでこのまま生きていきたい」という思いが膨らんだ。それまでの子どもの頃の夢は科学者で高専に通っていたが、山と出会った直後、高専に退学届を出しにいった。先生に止められて残って卒業した。高専卒業後は、グーグルマップで山の近くの大学を探して、信州大学に編入した。大学では中央アルプスの植物など、山に関する研究をしていた。その後、木材会社に就職。良い会社だったが、木族建築の設計図を書くような部署になったので、フィールドワークに戻りたい!と退社。ひたすら日本アプルスを端から端まで歩き、山で働いている人、山で生きている人に話を聞いて回った。そんな中でインフラの修理をする人や工事をする人、山小屋の人など色々な仕事の人に出会ったが、全部の仕事をしたい、と思ってしまった。それならひとつの仕事に決めるのではなく、山の色々な面に触れられる仕事をしたいと感じた。その後、山のパトロール隊をしつつ、フリーランスの「山屋」として旗揚げ。色々な調査などを始めた。そんな中で、同じように生きている仲間と出会い、会社設立に踏み切った。今年で起業して3年となる。創業当初は年間300日ぐらい山にいた。仕事ではあっても山にいると充電される感覚になる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【好きなことを仕事にするには?】
「大丈夫?」「やめておけ!」など色々なことを言われると思うが、自分を信じてやり続けることが大切。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【10年後どうなっていたい?】
山で働く人、登山が好きな人が全国で同じように困っている人の仕事を引き受けたり、新しい山仕事をつくっていく流れが生まれると良い。日本の70%が山林といわれる中で、登山は注目されるが、山で人に会わないところで働いている人の存在や働きたい人がいることをもっと知ってもらいたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
途中で村上さんが「秋本さんが大仏に見えてきた」とおっしゃっていましたが、柔らかい表情の中に、強い意志とカリスマ性を感じました。まさに登山道を開墾するように、新たな道を切り開いていかれる姿が素晴らしいです!これからのご活躍も期待しています!
坂口愛美
関連記事
この記事の番組情報
村上信五くんと経済クン
土 9:00~10:00
「経済初心者」の村上信五が、ゲストの方に教えを請いながら 「お金」に強くなってゆく番組です。 「お金持ち」しか持っていない情報を イチ早く皆さんに提供できるよ…