ベンチャー企業社員から老舗煎餅屋の店主へ。松﨑宗平の大胆な転身！

スタジオには松﨑さんにお持ちいただいた「松﨑煎餅」の人気商品を食べた高橋・坂口コンビのテンションは爆上がり！美味しいお土産をいただきながらお聞きした、松﨑さんのちょっと変わった経歴とは？

坂口愛美アナ「松﨑さんは現在45歳。店主を務める『松﨑煎餅』は1804年創業ということで、200年以上続く老舗の煎餅店なんですよね。松﨑さんは2018年から8代目の店主になられました。この老舗を継がれることになった経緯は？」

松﨑宗平「もともと2015年～2016年ぐらいに代表取締役副社長として、つまり父と一緒に代表をやっていた時代があったんですが、あまり覚悟がなくて。うちの父には継いでも継がなくてもいいと言われていたので、実際自分も別の仕事をしていましたし。『どうしようかな？　でも、生まれ育った家の下に煎餅屋さんがあったんで、途切れさせるのもな』っていう、何となくの感情からスルッと入っていったんです」

高橋優「心境としては200年続く煎餅の店の息子として生まれたっていう実感みたいなものは自然と養われていったけど、ご自身はご自身で最初は違う仕事に就こうという気持ちがあったってことですか？」

松﨑「そうですねえ、絵を描くのが好きで、小さい時からずっと絵ばっかり描いていて、高校、大学と進む中で、パソコンを使って絵を描いたりデザインするようになって、そのままそれが仕事になっていったので、それが楽しかったんですよね。やはりベンチャーの会社なんで、若い人ばっかりで、どんどん役職も上がっていって、最後僕はアートディレクターのトップになったんですけど、だけどもやっぱりその会社にいると責任が増えすぎて抜けられなくなるのは明確だったので、父に相談したという感じでしたね」

高橋「やっぱり心の中ではご実家の方への意識もあったという感じですか？」

松﨑「う～ん、自分の父親はどう思ってるんだろう？　というのは思ってましたね。で、父に『今会社でこういうポジションにいて、さらに役員とかになっていくと会社も抜けられなくなるけどどう思う？』って言ったら『好きにしろ』っていわれたんですよ。『好きにしろ』といわれると『じゃあ、継ぐわ』みたいな文脈で決めたんですよね（笑）」

坂口「店主を継がれてから、どういうことをされたんですか？」

松﨑「2019年に僕、1ヵ月半から2ヵ月ぐらい入院してたんですよ。体壊しちゃって、最後は脳梗塞になって。なのであまりその頃って社長業として承認するとかそういうことはしていたんですけど、あまり大きなことは出来なかったんですね。で、そうこう言ってるうちにコロナになってしまったので、まずは絶望的な業績からの抜け出しっていうのが一番大きかったですかね」

坂口「そのためにされたことは？」

松﨑「もともとうちのお店は銀座4丁目の並木通りにあったんですけど、そこから建て替えで5丁目に引っ越してたんですね。そこで長く続けていくんだっていう意気込みでやってたんですが、コロナで銀座から人がいなくなってしまって、やはり家賃も高いので2021年の7月に新しく東銀座の歌舞伎座さんの横に移転しました」

坂口「同じ銀座でも、やはり違いますか？」

松﨑「銀座と東銀座は昭和通りなどを挟むと大分雰囲気も変わりますし、文化も違うので、もちろん家賃も違いますし、今までとは違う仕事の仕方が出来るかなと思ってますね。屋号も、もともと『銀座松﨑煎餅』でやってたんですけど、株式会社化した時に僕の祖父が『株式会社松崎商店』にしたんですね。その意図っていうのが、祖父も色々作家業というか、切り絵のアートや小唄をやったりしていたんで、『煎餅だけじゃなくていいんじゃない？』っていう意味で『商店』にしたらしいです。その文脈がすごく好きで、いつかローマ字表記の『MATSUZAKI SHOTEN』っていう店を作りたいなと思っていたタイミングでコロナの流れがあったので、今こそ屋号を変えてしまおうと思って『MATSUZAKI SHOTEN』にしましたね」

坂口「『MATSUZAKI SHOTEN』になって、お煎餅以外も売られるようになったんですね？」

松﨑「そうですね、仲間の商品を扱ったりとか、あとは東京以外の伝統工芸を扱ったりとか。アクセサリーを売ってたりとか、色々しています」

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