ChatGPTまかせの旅に出よう! ’23 夏<WEBオリジナル記事>
「知らないを好きになる」をテーマにWEBオリジナル記事をお届けしていきます。今回は、今、話題の対話型生成系AIについて取り上げます。
暑い夏、いかがおすごしでしょうか。
ライターのアルパカです。
アラフォーで独身。都内の隅っこで、自分と同い年のアパートで独り暮らし。
とにかくこの時季は部屋が恐ろしく蒸し暑い。これまた年代物の扇風機をまわし、うちわ片手にパソコンとにらめっこする日々を過ごしています。
そこで思いました!
せっかくの夏ですし! 出会いだってほしいですし! 仕事だって幸か不幸かさほど立てこんでいないし!お出かけなんて数年は行っていないし!
そうだ、部屋を飛び出して旅に出よう!と。
でも、いざとなるとどこへ行けばいいのか。
誰かに聞こうにも最近はChatGPTとしか話していない。
こいつはいい。
僕の取っ散らかった取材メモをキレイにまとめてくれますし、冷蔵庫に残った食材を打ちこめば、僕でも作れる料理のレシピも提案してくれます。
Q,「冷蔵庫に食材があります。キャベツ、ブロッコリー、ちくわ、鶏肉 このすべてを使って、ご飯に合うおかずを作りたいので、レシピを教えて」
▼ChatGPTの回答
目的、材料、条件等を設定してあげることで、サクッとレシピを提案してくれます。
ついでに対話型AIらしく、『素晴らしいですね!』『ぜひお試しください!』『願っています』といった、呼びかけや励ましなどもくれます。
そうだ!今回の「旅」、すべて、ChatGPTの回答にしたがってやってみよう。
名付けて「ChatGPTまかせの旅」。
目的地も食べ物も、観光スポットもアクティビティも、丸々ぜんぶ夏の小旅行を ChatGPTに委ねます。
*ChatGPTとは、高度なAI技術によって人間のように自然な会話ができるチャットサービスです。ユーザーの指示に対して自然言語を生成するAIで、インターネット上にある膨大な情報を収集・学習し、複雑な語彙や表現も理解できるのが特徴です。2022年11月に公開されたChatGPTは革新的なサービスとして注目を集め、現在も機能面だけでなく成長性でも注目されています。
*なお今回の企画では、ChatGPTのフリープラン(無料版)を使用します。
①行き先を決める
1日目 8:00 東京駅
というわけで、7月某日。東京駅丸の内口へ。旅の起点といえばやっぱり東京駅。
すこし雨が降っていますが、過ごしやすい日でラッキーです。
それでは「ChatGPTまかせの旅」を始めましょう。
まずはChatGPTに「最初の質問」をします。
Q,「東京駅から一泊程度で行ける、あまり観光客がいないマイナーな穴場スポットをいくつか紹介して」
▼ChatGPTの回答
さすがChatGPT。すぐさま候補地を4つ出してくれました。
1. 奥多摩
2. 水郷湖畔の宿場町・堀内
3. 三浦半島
4. 日光
2つ目の『水郷湖畔の宿場町・堀内』がちょっとどこかわからないので興味がわきます。ChatGPTに追加の質問をします。
Q,「水郷湖畔の宿場町・堀内の行き方を教えて」
▼ChatGPTの回答
青梅線で立川から約50分くらいということなので、今回初めて知った『水郷湖畔の宿場町・堀内』を目的地としたいと思います。
行先が決まったということでいよいよ出発!
出発する前に旅のお供に、東京駅で駅弁を買うことにします。
どんな駅弁を買うかもChatGPTに聞いてみることにしました。せっかくなので東京名物の駅弁にします。
Q,「東京駅で駅弁を買いたい。東京の食材でできた駅弁を教えて」
▼ChatGPTの回答
1. すき焼き弁当
2. かつサンド弁当
3. ちらし寿司弁当
アサリを使った深川メシあたりが出てくるかと思ったら、すすめられたトップは『すき焼き弁当』。ということですき焼き弁当を買うことにしました。東京駅は広いのでどこで買えるかも聞いてみました。
Q,「東京駅の駅弁売り場はどこにありますか?」
▼ChatGPTの回答
『東京駅一番街』『東京キッチンストリート』『グランスタ東京』との回答。
見つけました! “グランスタ東京”。
ありました。“浅草今半すき焼き重”。今半! 黒毛和牛!
税込みで¥1,566-。イイお値段ですが、ChatGPTのおすすめなので買っちゃいます!
では準備完了したのでさっそく青梅方面の電車に乗りこみます。ChatGPTによると『中央線で立川駅まで行ってから、青梅線に乗り換える』とのこと。
②いよいよ、旅がスタート
1日目 8:46 東京駅 出発
旅先での混雑を避けて平日を選んだんですが、通勤通学の時間帯。駅構内はめちゃくちゃ混んでいました。でもアルパカが乗る電車は下り。しかも東京駅が始発だからガラガラです。
1日目 9:40 立川駅 到着
立川駅で中央線から青梅線に乗り換え、“堀内駅” を目指します。
福生駅ってこの辺りなんですね。
横田基地の近くなので、ミリタリーショップとか、本場のハンバーガー屋とかがありそう。せっかくなので帰りに寄りたいところ。ChatGPTが導いてくれることを期待しましょう。
1日目 10:18 青梅駅 到着
電車は青梅駅に着きました。
電車の扉が開いた瞬間、爽やかなマイナスイオンの香りが一気に鼻腔から脳内に流れこんできました。ホントです。ハッキリと空気の種類が変わったんです。
③「堀内駅」がない
ここで、気がつきました。
大変です。駅がありません。
『(立川駅から)青梅線で約50分ほど乗車し、 堀内駅で下車します』って書いてありましたが
▼ChatGPTの回答
改めて、青梅線の路線図を見たところ、堀内なんて名前の駅はありません。
▼ChatGPTの回答
こんなに連発で堀内って回答してるんですが、どうなっているんでしょう。
駅員さんに聞いてみます。
駅員さんが調べてくださった結果は…
駅員さん
「堀内駅はありますね。ただ読み方は “ホリウチ” ではなくて “ホリナイ” です。場所は… 岩手の海沿いですね」
アルパカ
「岩手??? 立川駅から青梅線に乗って50分じゃ 岩手には行けませんよねー?」
駅員さん
「無理ですね」
意味のないやり取りをしました。もしかするとバス停なのでしょうか?
気を取り直して、青梅駅前のロータリーに停車していたバスの運転手さんにも聞いてみます。
バスの運転手さんは、路線図を見ることもなく「堀内なんてバス停は聞いたことないなぁ」の一言で終了。
続いては駅の隣にあった青梅観光案内所のお姉さんに聞いてみます。
お姉さん「ないですね」。
はい、速攻で回答がきました。
ChatGPTやってくれました。まさか目的地が存在しないとは。
ちなみにGoogle で「宿場町 堀内」で検索してみましたが、一件もヒットしません。
ついでに「岩手 堀内(ホリナイ)」でも検索したところ、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」に出てきた海岸の高台にある駅「袖が浜駅」が、実は岩手の堀内駅だそうです。じぇじぇじぇ。
青梅駅前にて、しばし呆然と立ち尽くす。浅草今半の袋が物悲しい。
湖畔を撫でる爽やかな風を感じながら弁当をおいしく食べるイメージが完全にできあがっていただけに、ショックが大きいです。
しかしお腹も空いたので、もう、ここで食べることにしました。
うん、すき焼き弁当は普通にウマい。たぶんどこで食べても美味しいやつです。
でも… なんか、思っていたのとは違う。
隣にお弁当屋さん。いま僕が座っているのは、そのお弁当屋さんのベンチみたいです。
よくわからない罪悪感もあって早食い。でも駅弁は美味しかった。少し元気が出ました。
まだ旅は始まったばかりです。
気を取り直して、最初に検索した行先1の奥多摩に向かうことにしました。
ここはChatGPTに聞くまでもなく、青梅線に乗って奥多摩駅を目指します。
④奥多摩に着きました
1日目 12:20 奥多摩駅 到着
JR青梅線に揺られて青梅駅から40分ほどで奥多摩駅に到着。
でもラッキーでした。おすすめ候補地1の奥多摩と候補地2の堀内が同じ方向で。もし堀内だけだったら旅が終わっていました。
電車を降りると、例の卵のような、温泉のもわっとした匂いに包まれました!セミの鳴き声も束になって襲ってきます。でも都心で聞くそれとは全然違います。めちゃくちゃ涼しいので、避暑地に来た気分です。いや、避暑地です、ここは。
海抜343メートル! だから涼しいんですね。
奥多摩まで来たぞー!のガッツポーズ。東京駅から74.7kmでした。
駅周辺は平日ということもあってか、ヒッソリとしていました。
電車の中ではリュックを背負った外国人や、トレッキングの格好をした日本人老夫婦もいたんですが、終点の奥多摩駅よりも前で降りていったんですよね。もしかしたら登山道の入口は手前にあったのかもしれません。
さて。ではここからどうするか、ChatGPTに聞いてみます。ちょっと信頼が壊れつつありますが。
Q,「今奥多摩駅にいます。観光をしたいのですが、どこに行けばいいですか?」
▼ChatGPTの回答
湖、ピクニック、温泉、キャンプ… わくわくする文字が並びます。
おすすめトップの奥多摩湖に向かうことにします。駅の目の前にバス停があります。
時間帯にもよりますけど、だいたい90分に1本くらいですね。これはタイミングを間違えると大変なことになります。帰りの時刻も考慮して散策しないとキケンです。
⑤奥多摩湖畔を散策
1日目 12:49 奥多摩駅 出発
バスで15分ほどで奥多摩湖に到着しました。
青空は望めませんけど、直射日光ガンガンじゃなくてよかった。曇天万歳!
紅葉のシーズンに来たらめちゃくちゃキレイかもしれませんね。
ところで奥多摩湖ってもちろん名前は聞いたことありますけど、どんな湖なんでしょうか。
ということでChatGPTに質問。
Q,「奥多摩湖について簡単に教えてください」
▼ChatGPTの回答
人造湖なんですね。青梅川によって形成されたダム湖で、水源地としても重要とのことです。
注)青梅川(おうみがわ)は新潟県を流れる川なので、正しくは多摩川です。あとで気づきましたがChatGPTの誤回答のようです。
左というか東の方向を見るとダムがあります。どうやらあれが小河内ダム。小学生のときに東京の水がめって習った気がします。
これもまたChatGPTに聞いてみましょう。
Q,「小河内ダムの歴史や特徴を、300字程度で教えて」
▼ChatGPTの回答
ちょっと待ってください。
『日本の滋賀県に位置する… 石部川の貯水水である…』
滋賀県? 貯水水? すいすい? すいみず?
注)調べたところ石部川は京都にあるようです。こちらもChatGPTの誤回答。もちろん小河内ダムも滋賀県にはありません。
やっぱりChatGPTには不安がありますね。日本語もヘンですし。
ちょっと聞き方を変えてみましょう。「東京の奥多摩にある」と限定してみます。
Q,「東京の奥多摩にある小河内ダムの歴史や特徴を、300字程度で教えて」
Q,「東京の奥多摩周辺にダムはありますか?」
▼ChatGPTの回答
『小河内ダムは奥多摩に位置するではありません…』
『滋賀県にダムます…』
奥多摩にはない? 位置するでは? ダムます?
回答だけでなく、日本語もますます怪しくなってきました。それになんで滋賀県って出てくるんでしょう…
『私のデータベースの知識は2021年9月まで…』
いやいや、このダム、そんなに新しくはないでしょう。
念のため、正しい情報をウィキペディアで調べて記載しておきます。
*正式名称は「小河内貯水池」(おごうちちょすいち)。東京都水道局が保有・管理する小河内ダム(おごうちだむ)で多摩川上流部を堰き止めて、1957年(昭和32年)に完成した。
どうやら東京府西多摩郡小河内村がダムによって沈んだそうです。
着工寸前には東京都と神奈川県との間で水利権を巡る水利紛争が起こり、また太平洋戦争の激化による建設工事の中断などもあって、着工から19年もの歳月をかけて竣工したとのこと。
バス停を降りてすぐに “湖底の故郷” という石碑がありました。
昭和12年に東海林太郎さんが “湖底の故郷” という曲を歌い、大ヒットしたそうです。
こののどかな景色の下に村が眠っているって、なんか寂しいですね。
歩いているだけで命の洗濯ができます。手漕ぎボートとかないんでしょうか。
水面まで降りる道とかはないみたいです。ちょっと水際でバシャバシャしたかったんですが。
爽やかな空気を思いっきり吸いこみます。
奥多摩駅からは8.2km。降りたバス停からは2.2kmの地点です。
ボート乗り場とか展望台とか、神社とか初心者向けのハイキングルートでもあれば、もう少し散策できるんですが、ここまで来るとお土産物屋も喫茶店もなにもないんです。
このバスを逃すと次は90分後か… そう思ったら飛び乗っていました。
1日目 14:33 奥多摩駅 到着
奥多摩駅まで戻って、周辺を散歩したいと思います。
沢の音に引き寄せられて、奥多摩駅から10分ほど歩いてきました。
釣りをしてる人がいますね。“氷川国際釣場”だそうです。ニジマスが釣れるそう。
外国人観光客を発見!
つたない英語で話しかけたところ、ハンガリーから来たとのことでした。
もう15時近いですし、さすがに釣りをする時間はないですね。釣り人をしばし眺めてここは終了して、
東京駅を出発するときにChatGPTが回答してくれた温泉でも探しましょう。
⑥日帰り温泉で足を伸ばす
奥多摩駅から10分ほど歩くと “奥多摩温泉 もえぎの湯”を発見しました。宿泊施設はついていない、日帰り温泉です。
3時間で¥950-。手ぶらで行ったのでタオルも¥200-で購入しました。
まだ筋肉痛は出ていませんが、ゆっくり肩まで温泉に浸かるとします。マッサージ機もありますね。
内風呂は少し熱めの温泉。ジャグジーのブクブクを腰のちょうどいい部分に命中させていたら、寝落ちしそうになりました。
露天風呂は長居できる温めの設定で、こちらもイイお湯でした。
お食事処もあるんですが、ちょっと中途半端な時間なのでここではスルーします。
温泉の脱衣所からは撮影禁止でしたので、外にあった ¥100- の足湯にて、アルパカの入浴シーンを撮影しておきます。
温泉でのんびりしていたらもう夕方でした。そろそろ宿を確保しておきましょう。
しばらく放置していたChatGPTに質問します。
Q,「奥多摩、青梅周辺で、格安で泊まる方法を教えて」
▼ChatGPTの回答
1. キャンプ場
2. 民宿、ゲストハウス、ドミトリールーム
3. ビジネスホテル
なかなか素敵な提案です。
キャンプ場は微妙ですけど、ゲストハウスのドミトリー(相部屋を前提とした部屋)は悪くないですね。さっき出会った外国人観光客のみなさんと、宿のロビーでビールとか飲めたら最高です。
ビジネスホテルは、どこも取れなかったときのキープにしときます。
Q,「奥多摩、青梅周辺で1人で宿泊したいのですが、おすすめのゲストハウスはありますか?」
▼ChatGPTの回答
1. ゲストハウス山水荘(奥多摩)
2. ゲストハウスあおば(青梅)
3. ゲストハウスぽかぽか(青梅)
それっぽい名称なんですが…
Google Mapで調べてもトリバゴ(ホテル、旅館などの宿泊場所を検索できるサイト)で調べても出てこないんです。存在しないんです。またですね…
ChatGPTは固有名詞に弱いですね。
ゲストハウスまではChatGPTに導かれましたのでセーフということで、その先はトリバゴで調べてみます。
周辺のゲストハウスを検索したところ、青梅駅の近くに見つけたので行ってみます。
⑦泊まるお宿は 国の重要文化財
1日目 18:35 青梅駅 到着
青梅駅の南口から徒歩2分。“ゲストハウス&カフェ 青龍kibako”さんに到着!
めちゃくちゃ雰囲気があります。年季が入ってるというか、重厚感があるというか。
正面には登録有形文化財の文字。
もうすぐ築100年に届く歴史のある建物だそう。空いていたら国の指定重要文化財に泊まれちゃうかもしれません。
カフェを併設していて、昼の営業が終われば宿泊者が自由にくつろげる共有スペースになっています。ソファもレトロでおしゃれ。ここで他の宿泊者と夜更けまでビールが飲めるかもしれません。外国人とお友だちになりたいですね。
アルパカ
「今夜泊まれますか?」
オーナーさん
「飛びこみですね、大丈夫ですよ」
アルパカ
「やったーーー!!!」
重要文化財に泊まれて1泊たったの税込み ¥3,900- 。安いです! もちろんゲストハウスなので素泊まりです。
お部屋に案内していただきました。
ドミトリーといえば定番の二段ベッドだと思っていたんですが、今夜は和室を使用してOKとのこと。
5人用のお部屋。12畳くらいです。どんな人と相部屋になるんでしょう。ドキドキします。
ちなみに奥には二段ベッドのお部屋もあるそうです。
電子レンジ、お風呂、トイレ、洗面所がついています。歯ブラシとタオルさえ持っていけば(宿で購入可)、あとは手ぶらで大丈夫。
アルパカ
「で、今夜は僕のほかに、どんな人が泊まりますか?」
オーナーさん
「お客様だけですね」
アルパカ
「えっ?」
オーナーさん
「飛びこみが来られる可能性はありますけど、もうこの時間なのでたぶんお客様だけですね」
アルパカ
「あららら。ほかの旅行者とビールでも飲めるかと思ったんですけど…」
オーナーさん
「残念でしたね。今朝までドイツ人とチリ人のゲストがいたんですけどねー」
なんて日だ! 出会いを求めて旅に出たはずなのに自分だけなんて。
アルパカ
「ちなみにこの近所で、外国人観光客が集まるようなバーとかはありますか?」
オーナーさん
「バーはすぐ近くにあるんですけどね、夜8時で閉店なんですよ。だからいないんじゃないかなー」
うなだれるアルパカを見て、オーナーさんが優しいお言葉を続けてくださいます。
オーナーさん
「飲み屋さんにならいるかなぁ。この辺りの人気のお店、いくつか紹介しましょうか?」
アルパカ
「…はい」
オーナーさん
「おでんが絶品のお店が… 焼き鳥が青梅イチといわれるお店が… 名物女将がいる店が…」
耳に入ってきません。
なぜかというと、実はさっき奥多摩から青梅に戻る電車の中で、この周辺の名物グルメをChatGPTに聞いたのですが、おでんも焼き鳥も名物女将も回答には入っていませんでした。
ちゃんとルールに則って旅を続けます…
⑧ご当地グルメを食べたい
Q,「青梅駅周辺のおすすめの定食屋を教えて」
▼ChatGPTの回答
勘のいい皆さんならもうおわかりですね。
回答にある店舗『お食事処とよみ』『青梅いせや』『とくせん』『味穂庵』、4つすべてが存在しません。
質問の仕方を変えて再度チャレンジしてみます。
Q,「青梅駅から徒歩で行ける、地元食材が食べられる食事処を教えて」
▼ChatGPTの回答
「おすすめの」を 「地元食材を使った」と具体的に。「定食屋」を 「食事処」に変えて広めに聞いてみましたが… この3店舗も存在しません!
店舗名の情報までは紐づいていないんでしょうか。でもなぜ、さもありそうな具体的な屋号が出てくるんでしょう。なぞです。
ということで店舗名までは聞かないことにします。
Q,「青梅駅周辺で夕食を食べます。地元食材を使ったおすすめ料理を教えて」
▼ChatGPTの回答
出ました。そば、川魚料理、山菜料理。
この情報を頭に入れて、Google Mapで探してみました。評価4.0の和食店さんが見つかったので行ってみます。
1日目 19:30 ゲストハウス 出発
徒歩だと30分、電車だと1駅ということで電車に乗りました。
青梅駅のお隣、宮ノ平駅です。電車到着まで20分くらい待ちましたが、タイミングさえ合えば、1駅なのでたったの3分です。
日が長いのかまだまだ明るいです。
駅を出て緩やかな坂を3分ほど下ると見えてきました。
“お食事処 山城屋”さんです。鮎、やまめ、そば、うどんの文字が踊っています。
これならなんとか、ChatGPTまかせの旅というルールを脱線せずに継続できます。
では店内へ。
雰囲気あるお座敷です。誰かの写真つきサインがありますね。絶好調男の中畑清です。 その左隣は「まいうー」と書かれているので、ホンジャマカの石ちゃんですね。
この辺りはうなぎも名物なんでしょうか。鴨鍋もあります。でもここは鮎かやまめですね。
しばし悩みましたが、やまめ定食ミニもりそばセット ¥1,500- を注文しました。
来ました。美味しそうです!
やまめはふわふわで香ばしくて美味です。そばもノド越しが最高でした。
⑨独りっきりの 長い夜
1日目 21:26 青梅駅 到着
結局誰ともお友だちになれていません。ChatGPTとも気まずい空気が流れている気がします。
ぼーと歩いていたら、宿のオーナーさんが教えてくれた絶品のおでん屋さんの前にいました。
近づいていくと店内からは笑い声が…
でもこれで入ってしまったらChatGPTまかせの旅にならなくなるので我慢。
ということでコンビニに寄ってお酒とツマミをゲットしました。
夕飯を食べている間に飛び込みの宿泊客が来ていることを期待していたんですが… これではいつもの夜と変わらないですね。
宿泊者の共有スペースにて、独り。見えない誰かとエアー乾杯します。
こうして東京駅発 ChatGPTまかせの旅に出よう! ’23夏の初日は、静かに幕を閉じました。
⑩青梅の街には 猫があふれている!?
2日目 10:00 ゲストハウス 出発
疲れていたのか、めちゃくちゃぐっすり眠れました。窓を全開にして寝たのですが、夜風が心地よくて一度も起きませんでした。。
さて、では二日目も始めていきましょう。
どこか近くで散策できる良い場所がないかChatGPTに聞きます。
Q,「青梅駅周辺から行けるお散歩コースを教えて」
▼ChatGPTの回答
またまた『青梅川』と出てきましたが、この川は新潟なので却下します。
青梅街道の散策ですね。『歴史建物や伝統的なお店が点在』しているそうです。
では周辺を散歩しましょう。
注)正しくは青梅街道ではなく旧青梅街道です。こちらもChatGPTの誤回答です。
青梅駅のすぐ隣の建物が、もうすでにレトロです。
“まちの駅 青梅”という名のカフェ&お土産店でした。昭和の香りがすごいです。
素敵な小道も発見。青梅はレトロな街並みが残っています。なにで栄えた街なんだろう。
街を歩くと、至る所に猫の看板やオブジェがあります。
こういうときはChatGPTに聞いてみましょう。
Q,「東京の青梅駅周辺を歩くと、猫のオブジェがたくさん見られます。なぜですか?」
▼ChatGPTの回答
『猫のオブジェを遠慮のは…』『た人々に』。
仕事でもありますよね。説得力があるキレイな企画書でも、誤字を見つけてしまうと急に信用できなくなること。いま、まさにその状態です。
確かに『猫のオブジェや看板が街中に設置されています』という回答は正解ですが。
にゃんだこれは?
「ゴジラ」が「ニャジラ」になっています。
こっちにもあります。
「風と共に去りぬ」が「猫と共に去りぬ」になっています。
映画×猫×ダジャレで街おこしをしている看板なんでしょうか。
⑪青梅の街は 昭和レトロ
昨夜泊まったゲストハウスの目の前の道が旧青梅街道。本当にレトロな建物が残っています。このお店は傘屋さん。
こちらは閉まっていますが衣料品店と染物屋さん。
あの建物も古そうだなあ、なんて近づいていったら、その名も“昭和レトロ商品博物館”でした。見学してみます。
年代物のおもちゃに駄菓子、日用雑貨、薬なんかがあります。懐かしいですね。ビニール製のウルトラ怪獣ピグモンのおもちゃ、持ってました。
博物館的な施設を見学した後は、涼やかな風と猫のオブジェ看板に連れられてお散歩を継続。
せっかくなので多摩川まで歩いてきました。
ChatGPTも『川のせせらぎや美しい自然環境を楽しみながら、のんびりと散策をお楽しみください』と言っていましたし。多摩川を青梅川と誤回答してましたけど。
⑫青梅のご当地グルメとは
結構歩いてお腹が空いてきました。ChatGPTに聞いてみましょう。
Q,「奥多摩や青梅周辺で、蕎麦以外の地元グルメはありますか?」
▼ChatGPTの回答
昨夜お蕎麦を食べたので「蕎麦以外で」と条件を絞って質問してみたところ、蕎麦に引っ張られたのでしょうか? うどん、そうめん、ご当地ラーメンと、麺類ばかりが出てきました。『美味しい手打ちうどん』なんて悪くないですね。
2日目 13:00 多摩川 出発
Google Mapで調べたところ、そこそこ評価の高いうどん屋さんを徒歩15分ほどのところに見つけましたので、向かうことにします。
着きました。 “手打ちうどん 根岸屋”さん。
これまた味がある古い造りです。奥には小上がりもありました。
ちょっと昼時を過ぎてしまったので、空いててラッキーです。
通常の「きつねうどん」や「山菜うどん」もありますけど、なんでしょうこのおすすめメニューは。
TOKYO-X? めちゃくちゃ推してきますね。
メニューの解説によると「東京都畜産試験場(青梅)で改良された豚肉で 上品な香りと ほどよい柔らかさと なめらかな歯ごたえのある美味しい豚肉」だそうです!
せっかくですので、こちらの“TOKYO-X DXカレー南ばん ¥ 1,500-“を注文します。
なんじゃこりゃあ! 太陽? ひまわり? メニューの解説によると、青梅の花「梅」に見立てたそうです。とにかくすごいのが着丼しました!
では青梅のご当地グルメTOKYO-Xから頂きます!
あぁヤバいです、めちゃくちゃウマいです。柔らかくてなめらかで、味もカレーに負けずしっかりしてます。
豚肉の下からはごはんが。カレーうどんだと思っていたのでびっくりしました。
その下はうどん。豚と米とうどんの三層構造だったんですね。
水分少なめのドロっとしたカレーは、豚肉にもごはんにも麺にも絡まる絡まる。半熟卵もイイ仕事してますね。並盛にしといて大正解。腹にずっしりときました。ごちそうさまでした!
⑬猫だらけの謎が解けた
青梅駅の隣の東青梅駅のほうまで来てしまいましたので、そのまま電車に乗ってしまおうと思ったんですが、満腹なのでもう少し歩きます。
“青梅織物組合”を発見しました。街中を散策したときも染物屋がありました。
青梅織物組合の敷地にお邪魔すると、シネマネコという映画館がありました(写真:上)。
昭和初期に旧都立繊維試験場として建てられた国登録有形文化財の木造建築物を、映画館にしたそうで、日本で唯一の木造映画館です。
シネマネコの向かいには 繭蔵という食事処が(写真:下)。こちらもその昔は青梅織物組合が使用していた石の蔵だそう。
なお昨日「幻の堀内駅探し」の際に立ち寄った観光案内所で頂いたパンフレットによりますと、青梅は「青梅縞(おうめじま)」や「青梅夜具地(おうめやぐじ)」などの織物の産地として、江戸時代から栄えていたそうです。
青梅縞は 「江戸の粋」ともてはやされた、おしゃれな江戸っ子に大人気だった着物の生地。
青梅夜具地の夜具地とはふとん地のことで、青梅の夜具地生産量は、昭和20年代の最盛期には全国シェアの60%~80%を占めた一大産業だったそうです。
ということで、謎が解けました!
なぜ青梅の街に、猫のオブジェやら看板やらがたくさんあったのか…
青梅は生地で栄えた街でしたので至る所で蚕を飼っており、蚕の天敵であるネズミを退治してくれる猫が重宝されていたんです。なのでその歴史にちなんで猫で街おこしをしているそうです。
⑭ChatGPTよ、私を福生に連れてって
2日目 15:46 @青梅駅 出発
まだまだ全然お腹は空いていないんですが、行きに通った福生が気になっているんです。ミリタリーショップをのぞいてみたり、本場のハンバーガーを食べたりしてみたい!
ということで、先ほどから電車内で一生懸命、ChatGPTが導いてくれないかチャレンジしています。
Q,「青梅駅から東京駅に帰る中央線の途中で、散歩できる街やご当地グルメなどありますか?」
▼ChatGPTの回答
吉祥寺、四ツ谷、神楽坂。いずれも素敵な街なんですが、いま僕が欲している答えではないんです。
質問の仕方が悪いのでしょうか。
直接乗り入れていますが、厳密にいえば中央線は立川駅からですので、中央線ではなく青梅線に変更して追加質問してみましょう。
Q,「青梅駅から東京駅に帰る青梅線の途中で、散歩できる街やご当地グルメなどありますか?」
▼ChatGPTの回答
『青梅線の途中で散策できる街やご当地グルメについては、具体的な情報を提供することができません』。
では、反則ですが福生という名称まで出して質問してみます。
Q,「東京の福生周辺でおすすめの散策場所や美味しいグルメはありますか?」
▼ChatGPTの回答
福生自然公園は存在しませんでした。福生アメリカンスポーツベースはそれっぽいですけど…
グルメに至っては、ラーメン、焼きそば、和菓子。難しいですね、諦めましょう。もうとっくに福生駅を通り過ぎていました。
2日目 17:10 東京駅 到着
かなりフラストレーションが溜まる旅でしたが、なんとか無事に東京駅まで戻ってきました。福生に寄ろうと思っていましたので、かなり早い到着となってしまいました。
一言でいって、なかなか難しい旅でした。
⑮旅を振り返って
最後に、ChatGPTと過ごした2日間で感じた「よかった点」と「イマイチだった点」を書いておきます。
よかった点
1,ドキドキ感はありました。特に行先が決まる瞬間は。
2,自然とか名物といった漠然とした情報は、そこそこ的確に提案してくれた印象です。
3,期待以上の回答もありました。ChatGPTに導かれなければすき焼き弁当も買えなかったですし、湖、温泉、ゲストハウスにも行けなかったと思います。
4,ChatGPTの回答を「キッカケ」として扱えばアリかもしれません。「導かれた知らない街に行ったら、歴史や文化を学べた」とか「Aを目指した先で、新たなBにも出会えた」といった具合です。
イマイチだった点
1, とにかく駅名、地名、店名といった固有名詞に、ビックリするほど弱かったです。
2,知らない、わからないならまだしも、さも存在しそうな名称を堂々と誤回答してくるのがとにかく厄介でした。どういうアルゴリズムでもって、呼吸するように誤回答ができるんでしょうか。
3,電車の時刻や天気、現在地の情報は持っていません。なので『何分かかる』という回答はできても、『いまどこどこ駅の近くにいるから何分後に発車する電車に乗って』とか、『行った先では雨が降ってるから注意してね』みたいな提案までは踏みこんでくれません。これができるようになると対話型AIとしてもっと使いやすくなりそうです。
4,こちらからの質問の投げ方には、工夫やテクニックが必要です。できるだけ条件を細かく出してあげて、答えやすくしてあげないとダメです。
5,日本語の誤字が多いのは改善してほしいです。一気に信用度が落ちます。
ChatGPTの能力は、利用する目的と、利用者からの質問や条件設定のスキルに大きく依存します。
今回の旅ではChatGPTを情報収集として使いましたが、調べものならばGoogleや Yahooといった検索エンジン、飲食店検索ならばグルメサイト、宿泊施設情報ならばトリバゴなどの専門サービスのほうがずっと優れていると思います。
ChatGPTは検索目的ではなく、アウトプットのサポートやコツを聞くのに適しているといわれています。
質問や検索のツールとしてではなく、アウトプットのサービスとして利用することをおすすめします。的確な指示出しと細かな設定条件を繰り返し提示して、希望する回答に導いていくのがポイントです。
⑯番外編「Google Bard」ってどうなの?
今回の旅はChatGPTを使用しましたが、まだ試験運用中ですがGoogleがBardというサービスを始めました。
このGoogle Bardは現時点ではPC版のみでスマホのアプリでは利用できないんですが、ちょっと気になりましたので(というかイヤな予感がしたので)、苦戦した福生関連の質問を投げてみました。ChatGPTに質問したのとまったく同じ文言です。
Q,「青梅駅から東京駅に帰る途中で、散歩できる街やご当地グルメなどありますか?」
▼Google Bardの回答
一発で『福生駅』と出てきました!!!
ミリタリーショップやハンバーガー屋までは出てきませんが。とりあえず駅名だけはすぐに出てくるんです。ほかにも河辺、拝島、立川などもおすすめされます。
それでしたら昨夜めちゃくちゃ苦労した、青梅周辺の食事処も質問してみましょう。なんか怖いですね。
ChatGPTが存在しない店名を連発で回答してきた質問を、こちらも一言一句まったく変えずに投げてみます。
Q,「青梅駅周辺のおすすめの定食屋を教えて」
▼Google Bardの回答
『うめや』『はちのこ食堂』『登嶋家』との回答。
そこでGoogle Mapで裏を取ってみると…
なんとすべてのお店が存在してるんです! 信じられません!!!
ちょっと悔しくなってきましたので、Bardのアラ探しもしてみましょう…
2つ目にすすめられた『はちのこ食堂』さんをGoogle Mapで検索してみます。
『青梅駅から徒歩10分のところにある定食屋』と回答されていますが、地図では2駅先、2.7kmも離れていて徒歩34分なんです! 誤差はなんと24分。
ちなみに徒歩5分と回答された『うめや』さんは、Google Mapでも同じく徒歩5分。
徒歩15分と回答された『登嶋家』さんは、Google Mapでは徒歩2分でしたので、こちらは誤差が13分。
ChatGPTが苦手だった店名ですが、Google Bardではスムーズに出てきました。が、詳細情報の裏を取ると怪しくなってきます。
Google Bardはまだ試験運用中ですので現在はPC版のみ。スマホアプリで利用できるころにはもっと精度も上がっていることでしょう。
ついでに今回使用したChatGPTは、質問をすればするほど学習していくそうなので、こちらは引き続き話し相手になってもらいつつ、今後の成長を温かく見守ることとします。
ということで今回はこれにて。以上、『ChatGPTまかせの旅に出よう! ’23年 夏』でした。
「知らないを好きになる」今後の記事の参考にさせて頂きたいので、記事を読んでのご感想、ご意見などあればメールでお寄せください。よろしくお願いいたします。
- (C)文化放送エクステンド