戦前の日本はどのようにつくられていった?
戦中、戦後の歴史は詳しく語られているが、戦前についての資料は少ない。8月8日の「大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)」では、評論家で近現代史研究家の辻田真佐憲さんに戦前の日本について伺った。
辻田「戦前の日本っていうのは神話っていうのを国家の基礎に置いていたわけです。
例えば日本はいつ始まったかっていうと、神武天皇という初代天皇がつくったと、これは古事記、日本書紀っていう神話のテキストに書いてある情報なわけです。それをあたかも事実であるように日本の建国を語る。
ではなぜ、そんなことをしなくちゃいけなかったのか?
明治維新をする時に、それまで江戸時代という平和で長い時代が続いていたわけですよね。民衆だって偉いのは将軍様だろう。京都にいる天皇って誰だっていう感じだったわけですよ。
近代化して西洋列強の植民地にならないようにヨーロッパ型の国家をつくるためには幕藩体制を否定しなくてはいけない。でも当時の一般民衆からすると、天皇はポッと出のように思える。
それを否定するために日本は元々天皇の国だったんですよ。将軍は天皇に任命されただけで将軍の方が大したことないんですよと人々を納得させなきゃいけなかった。その時の根拠として出てきたのが神武天皇なわけです。
日本って神武天皇がつくった国ですよ。その時代に戻るだけですよ。その時代に戻るだけであって別に西洋かぶれになってませんよ……という理屈を作った。それが神話に基づく国ということなんですね」
大竹「作った理屈を信じて、その後、日本が繁栄していくようにみんなで努力したってことになる?」
辻田「最初の頃はハッ?って思うことも多かったと思うんですけど、戦争に勝っていく中で、日清、日露戦争で外国に攻め込む時もですね、神話の世界においても外国に攻め込んだ人がいることから、日本人って昔から対外的に攻めていくような力を持っている国民だと言う。それが戦争に勝った、勝ったっていう興奮状態の中で、あたかもそうじゃないかと浸透していく。
日本は天皇を中心にまとまった国で外国に出ていく力もある。初めは近代化するためのネタとしての神話だったのが、だんだん事実であるかのように受け止められていってしまったんです」
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辻田真佐憲さんは大竹メインディッシュというコーナーに出演しています。
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