「国を守る」という言葉に気をつけろ!戦時に国のため命を捨てるのが当たり前だったのはなぜか?戦史/紛争史研究家が解説

「国を守る」という言葉に気をつけろ!戦時に国のため命を捨てるのが当たり前だったのはなぜか?戦史/紛争史研究家が解説

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SB新書から『この国の同調圧力』が発売中の、戦史/紛争史研究家・山崎雅弘さんが8月7日の大竹まことゴールデンラジオに登場。日本の同調圧力について大竹と意見を交わした。

大竹「コロナの時には同調圧力が働きましたね。」

山崎「感染症の拡大という状況では、ある程度 医療関係者や医学の専門家の定義に従うということも必要ではあるんですけれども、「マスク警察」とか「自粛警察」みたいな、ことまで行ってしまうと、ちょっとそれは違うでしょうという感じになりますね。」

大竹「地方では「東京から帰ってくるな」という声が挙がったこともありましたね。」

山崎「同調圧力が社会で広がる原因として、防衛本能みたいなものがあると思うんですね。何かの脅威から自分たちの集団を守るためには、全員が同じ方向で一致して行動しないといけないと。それに歯向かうことは、あたかもその集団を守ることに反するかのような思い込みで、少数者に多数派が圧力をかけて従わせるという風潮は根強くあるような気がします。」

大竹「過去の戦争の時でも同調圧力みたいなものが進んで、最後はお国のために命を捨てることが当たり前のような世界になっていきましたね。この戦争の時にはどんな圧力が働いたんですか?」

山崎「政府が国防のためにはこれが必要だとして、国民は一致団結してそれにしたがうことが「国を守るためになるんだ」と決めつけがなされてしまう。そこで本当かなと疑問を抱くべきなんですけれど、こういう方針に従うことが国防に協力する国民で、それに疑問を抱いたり、違うことを言ったりする人間は、あたかも国を守ることに協力しない者だと。当時は「非国民」、日本人ではないという決めつけがなされて、こう言われてしまうと、社会的に厳しい状況に追い込まれてしまうので、みんな呼ばれることを恐れて、行動や発言は政府の意向に従うという態度をとらざるを得なかったと。そういう形で、政府の言ってることに従うことが正しいという思い込みが社会全体を覆ってしまったのが一つ大きな問題だったと思います。」

大竹「どう考えても、攻めてくる敵に対して竹槍で戦うみたいな訓練は、整合性がとれないですよね。」

山崎「そうなんですよ。「国を守る」という言葉も実は非常に注意が必要で、守られる対象の「国」とは何かということです。今の日本でこの言葉を使う人は、「国」というのは自分も含めた日本社会全体のことなんだという前提を、言わずもがなとして共有してるんですけれども、少なくとも前回の戦争、大日本帝国時代には、守る対象の「国」というのは、天皇と天皇を中心とする国家体制の支配層だったんですね。国民は実は守られる側ではなくて、それを守る側の立場だったんです。軍人だけではなくて一般市民も、天皇と国家体制を守るために献身奉仕して、いろんなものを捧げて、最後には命も捧げることが立派な国民としての務めなんだという世界観を植え付けられて。その結果として、特攻や集団自決、あるいは反戦を唱える人間に対する暴力的な弾圧みたいなことが幅広く行われてしまいました。「国を守る」という言葉に、即座に「仕方がない」と思ってしまうのは、ちょっと危険なことだと思います。」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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