世界125位で過去最低「ジェンダーギャップ指数」の問題はドコにある?抜かれる前の90年代を振り返る
東京新聞で「本音のコラム」を執筆する文芸評論家の斎藤美奈子さんが7月24日の大竹まことゴールデンラジオに登場。大竹が気になったコラムについて、お話を伺った。
大竹「コラムで一番驚いたのはLGBT理解増進法案が衆院を通過したことです。」
斎藤「直前になってあの変更はないですよね。」
大竹「今までは「差別は許されない」という文言があったのに、「不当な差別はあってはならない」に後退して、それ以外でも理解を増進したいのか差別を助長したいのか、分からないような法案になってしまったと、お書きになってます。LGBTQ当事者にアンケートを行ったところ、自殺を考えてことがある人は10代の48%、20代で40%。10代では実際に自殺しようとした人が14%。自傷行為を経験した人も38%。こういうアンケートがあるにもかかわらず、今回の法案が通ったということをどんなふうにお考えですか?」
斎藤「けしからんと思います。自民党が出してきた案に、維新とかが注文をつけたわけですけれども、それで余計おかしなことになりました。自殺を考えたことがある人が多いというのは、彼ら彼女ら側の問題ではなく、社会の側の問題です。そこを変えていかないと、全く理解増進…本当は差別禁止法にしなければいけないわけですが、今そこまで行っていない国は非常少ないですね。日本は何かと「日本だけ」が多くて、選択的夫婦別姓ができないのもほぼ日本だけですし、ジェンダーに関しては日本だけが突出して遅れている状況が非常に多いと思います。」
大竹「ジェンダー平等についてのコラムでは、こうお書きになっています。『男女平等を示す今年のジェンダーギャップ指数が発表された。日本は146カ国中、125位で過去最低。G7最低だなんていう報道があったけども甘すぎる』と」
斎藤「そうなんですよ、G7最低どころじゃないんじゃないですよ。日本は100位以下をずっとうろうろしていたんですけど、125位は突出して低いわけです。90年代ぐらいまでは、それほど国際水準に遅れていたとは思いません。けれど、この20年の間に各国が、全部も追い抜いていったわけです。韓国もかつては日本よりちょっと下でしたけれど、5年前からぐらい追い抜いてきました。上位を見ると1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランドというのは「まあ北欧だからな」と、男女平等の国だなと思うんですけれども、7位は中米のニカラグア、8位はアフリカのナミビア、12位アフリカ・ルワンダ、14位中米・コスタリカ、16位フィリピン。フィリピンはずっと上位の常連国ですね。こう見ていくと、「北欧だからな」という問題ではなく、世界中が日本を置き去りにして、抜いていったということです。各国はそれだけの施策をとってきてるんです。そういうことを全く、何もやっていないうちに、どんどん周りに先を越されていった結果が125位なのだと思います。」
大竹「日本はここ20年の間にどんどん追い抜かれていったとおっしゃいましたけど、それは安倍政権以降?」
斎藤「90年代にはそれなりの法律ができたりしたんです。例えば、男女共同参画社会基本法であるとか、DV防止法とか、育児介護給付法とか、そういうのは色々整ってきて、90年代は割と獲得できるものが多かったんですよね。その時に大きな力を果たしたのは「自社さ」政権なんですよね。「自民党」と「社会党」、途中から「社民党」になりましたけれども、それと「新党さきがけ」という、今思うと非常に中道リベラルの政権だったんですね。あの時は「社会党」と「自民党」がくっつくなんてって思ったんですけれども、結果的には、あれでできた法案は非常多いんですね。土井たか子さんが「社会党」の委員長で、「新党さきがけ」の議員団長は堂本暁子という、やはり女性だったんです。閣外協力も含めて与党3党のうちの2党のトップが女性だと、そういうふうになるんですよ。」
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