最低賃金を巡る議論が本格化。全国平均1000円を超えるには何が必要?
7月6日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、最低賃金の引き上げを巡る議論について意見を交わした。
藤井氏「法人税を上げて、消費税・社会保険料を下げればいい」
最低賃金を巡る議論が本格化している。
政府は初の全国平均1000円達成に向けて旗を振り、企業側からも人手不足解消のために引き上げを容認する声が出ている。
政府は来年以降も、さらに高い水準の引き上げを目指す考えだが、賃金に回す余力が乏しい中小企業からは「息切れしかねない」という懸念も出ているという。
ニッセイ基礎研究所は「最低賃金は政府が直接関与できる賃上げだ」と指摘して、今後も政府主導の議論が続くとみられる。
実際、政府は今年の「骨太の方針」で「今年の夏以降、1000円達成後の方針について議論を行う」と明記をした。
2023年春闘の最終集計結果について、「連合」は基本給を底上げする「ベースアップ」と定期昇給分を合わせた平均賃上げ率が、前年の同じ時期と比べて1.51ポイント増加の3.58%だったと発表した。これは1993年以来、30年ぶりの高水準となった。
寺島アナ「藤井さん、これはどうご覧になりますか?」
藤井氏「勝手に旗振ってもいいんですけどね、本当は最低賃金を上げるために何が必要かというと、最低賃金を苦もなく上げられる状況を作ることが必要なわけですけど、苦もなく最低賃金を上げられるようにするために何が必要かというと、たとえば法人がお金を儲けたとしましょう。そのうちの一部を賃金に回すわけでしょ?
たとえば年間1000万円あって『この1000万円を寺ちゃんさんにあげよう』と僕が社長で思ったとしたら、いきなり社保庁が『300万出せや』って言って、1000万円渡したら300万円持っていくわけですよ。
で、700万円しかないところに今度は財務省が『消費税分90万円出せや』って言って、90万円持っていくんですよ。消費税っていうのは11分の1ですからね?だから寺ちゃんさんの手元には610万円しか残らないわけですよ。そこから所得税引かれるんですよ? 450万円ぐらいになるわけですよ。どう思います?」
寺島アナ「社会保険で『300万円持ってきます』って言われて、あとは消費税も『90万円持ってきます』って言われて……、所得税も持ってかれて……」
藤井氏「最低賃金上がるかぁ! 賃金上げたいんやったら社会保険料下げて消費税下げろや」
寺島アナ「そうですよね、その二つをもう少し下げてくれれば」
藤井氏「ちなみに法人税を下げてもこれは変わらないんです。なんでかっていったら僕が1000万円を寺ちゃんさんに『あげるよ』って言って残った分に法人税がかかるから。むしろ僕が寺ちゃんさんにお金を2000万円あげたら2000万円分、法人税のベースが減るんです。だから法人税なんて上げたって全然いいです。賃金を上げたかったら法人税を上げて消費税を下げて社会保険料を下げればいいんです。そうすれば賃金はもう一瞬で上がる! 最低賃金1000円なんて一瞬で超える!」
寺島アナ「それをしないで『最低賃金を1000円にしましょう』なんて言ってるんですもんね? 普通、誰かを説得するんだったら『こうこうこうしますから』っていう前の努力が必要じゃないですか」
藤井氏「そうそう。『最低賃金を上げるためにあなたの身銭を切りなさい。私も身銭を切ります。保険料を5%下げます。消費税を5%下げます。これで、こんだけ身銭を切るんだから賃金上げれますよね』っていう話なのに、どういう拷問やねん!」
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